イスラーム地域研究(IAS) 6班 イスラーム関係史料の収集と研究
アラビア語写本史料研究会
 
 
『カリフ宮廷の儀礼』日本語訳注
A Japanese translation
from
Hilal al-Sabi's Rusum Dar al-Khilafa


*毎回の研究会の開催案内はIASのメーリングリストでお届けします。参加の申込やお問い合わせは、谷口(taniguti@kyoto-wu.ac.jp)へお願いします。
テキスト:Hilal al-Sabi'. Rusum Dar al-Khilafa. Ed. `Awwad, Mikha'il. Baghdad, 1964.
英訳:Salem, Elie A. (tr.) Rusum Dar al-Khilafa: The Rules and Regulations of the 'Abbasid Court. Beirut, 1977.


 
 
 
著 者 に つい て
 

 著者 Abu al-Husayn(or al-Hasan) Hilal b. al-Muhassin b. Abi Ishaq Ibrahim al-Sabi' al-Harrani は、359/970年にバグダードで生まれ同地で育つ。彼の属した Banu Zahrun はサービ教徒の家系であったが、5/11世紀初頭にイスラームへ改宗したようである。諸史料の伝えるところによると、ヒラールは399/1008,09年から403/1012,13年にかけて、夢の中に現れた預言者ムハンマドの命じるままにイスラームを受け入れるに至ったという。

ヒラールは、アッバース朝の文書庁(diwan al-insha')の長官であった祖父アブー・イスハークの下で働き、その後ブワイフ朝大アミール Baha' al-dawla, Sultan al-dawla のワズィールであった Fakhr al-mulk Abu Ghalib Muhammad b. `Ali b. Khalaf に書記として仕えた。このような中央政府での勤務経験が、『カリフ宮廷の儀礼』を記す上で大いに役立ったと思われる。

彼の著作としては、本書の他に『宰相の書』、叔父 Thabit b. Sinan の歴史書の続編など数点が知られている。448/1056年没。

 *以上の記述に当たっては、活字本テキストの前書き5-39ページを参照した。


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日本語訳注 目次

 *以下では、活字本テキストのページ数を表示しています。
 

第1章 素晴らしき宮殿 第2章 つとめの作法 第3章 ハージブ(侍従)職の規則と儀礼 第4章 カリフたちの着座、パレードにおける彼らの着衣、カリフたちの御前に加わる側近たちやもろもろの階級の人々の着衣 第5章 任命・委任・名誉・宴会の賜衣 第6章 任命ならびに、クンヤやラカブによって名誉を与えた際にカリフが贈られるもの 第7章 カリフとの書状のやりとりの決まり事──書き出し・宛名・祈願の定型句・最後にもう一度繰り返す祈願の定型句について── 第8章 書状におけるカリフの呼称と祈願の定型句 第9章 カリフからの書状の決まり事 第10章 カリフから書状の受取人への祈願の定型句──当初行われていた決まり事と最終的に行われるようになった決まり事──
第11章 信徒の長のマウラーであることの表明
第12章 書状の末尾に述べられる語句:「何某の息子何某記す」
第13章 カリフとやりとりする書状が書かれる紙、中に書状を入れてやりとりする通信袋、その上に押される封印
第14章 ラカブ
第15章 ミンバルにおけるフトバ
第16章 礼拝時に太鼓を叩くこと
第17章 婚礼のフトバ
第18章 下僕が供する終章

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凡  例
 

訳注掲載の手順など

 ・毎回の研究会(輪読会)では、担当者が報告する日本語訳注をよりよいものにすべく、参加者が情報を交換し議論を重ねています。担当者は研究会当日の成果を踏まえて訳注の改訂版を作成し、編集担当者(現在は谷口)にテキストファイルを提出することが義務づけられています。

 ・各担当者から提出された訳注テキストファイルは、原則として内容を変更することなく公開しています。したがって訳語や文体の不統一が見られる部分もあります。作品全体を読み終えた後、訳語や文体の統一を検討する予定です。

用語の転写・表記

 ・アラビア語などの固有名詞や用語のローマ字転写に際しては、ラテン文字に無い記号は省いてあります。

 ・アラビア語語彙などのカタカナ表記については、原則として『イスラム事典』(平凡社、1982年)に従いますが、以下の点が異なっています。

括弧の用法

・( ) 直前の語の説明。ローマ字転写。
・〔 〕 1.翻訳上補った語句のうち特に表示すべきもの。2.テキストと英訳のページ。
・[ ] 典拠となる引用箇所。
・< > 直接引用文の範囲。ただし、長い引用は1行空けて始めることによって示す。
・「 」 会話文の範囲。ただし、長い引用は1行空けて始めることによって示す。
・──  ── 祈願文など挿入句。

略 号(一部のみ掲載)

・txt.:活字本テキスト。
・tr.:英訳本。
・ms.:写本。
・EI2:Encyclopaedia of Islam, New Edition. Vols. 1-10+. 1960-, Leiden.
・GAL:Brockelmann, C. Geschichte der arabischen Litteratur. 5 vols. Leiden, 1937-1949.
・NID:Bosworth, Clifford Edmund. The New Islamic Dynasties. Edinburgh, 1996.
・Vizirat:Sourdel, Dominique. Le vizirat `Abbaside de 749 a 936. 2 vols. Damas, 1959-60.


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研究会代表者:谷口淳一 (Junichi Taniguchi)
(イスラーム地域研究6班)

京都女子大学 文学部 史学科
Tel. 075-531-9115(研究室直通)
Fax. 075-531-9120(校舎事務室)
E-mail: taniguti@kyoto-wu.ac.jp



 

最終更新日:2002.2.1 管理者:谷口淳一

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