北村　陽子

専門は近現代ドイツ史であり、とくに20世紀の二つの世界大戦期に人びとの生活がどうであったかというミクロな視点と、社会構造の変化というマクロな視点の双方から社会を分析して、福祉国家の生成をめぐる諸問題に取り組んできた。
研究課題には、次のものが挙げられる。

1. 戦争障害者および戦没兵士遺族への公私合わせての支援システムの変遷
2. 戦時期に発展した社会政策が戦後社会でどのように一般化されていったかという福祉国家生成との関連性。なかでも戦争障害者支援として発展した、盲導犬や補装具の貸与といったさまざまな施策が一般の障害者支援にどう拡張したか、その際どのような論理展開があったか、といった戦争と福祉の関係
3. 戦争の犠牲者を含めた戦時下および戦後社会におけるジェンダー関係の変化
4. 戦争の受容や追悼・祈念といった戦争をめぐる記憶文化

主著は、『戦争障害者の社会史――20世紀ドイツの経験と福祉国家』（名古屋大学出版会、2021年）、翻訳書にタラ・ザーラ『失われた子どもたち――第二次世界大戦後のヨーロッパの家族再建』（監訳、みすず書房、2019年）がある。