文学部のひと

 

文学部とは、人が人について考える場所です。

ここでは、さまざまな人がさまざまな問題と取り組んでいます。

毎月ひとりずつ、「文学部のひと」をご紹介します。

編集部が投げかけた質問はきわめてシンプル、

ひとつは「今、あなたは何に夢中ですか?」、

そして、もうひとつは「それを、学生にどのように伝えていますか?」。

 

唐沢 かおり教授(社会心理学研究室)

第1の答え

現在行っている研究は、他者の心の推論と道徳的な判断との関係、自由意思信念 と自己制御、社会心理学の方法論の検討、科学コミュニケーションなどです(詳細ホームページに掲載しています)。いずれも、今日の社会心理学で活発に研究が行われているテーマです。ただ、これらの研究を、社会心理学内部に閉じた形で行っても、あまり面白くないと感じています。これまでの研究を踏まえた、手法的にも確立したものを用いたお行儀のよい研究も、確かに必要なのですが、そこで議論できることは、ある一定の枠を出ることがない。むしろ、科学哲学、複雑系科学、実験美学、言語学の研究に携わっている人たちとともに、概念分析や研究手法を検討するレベルから議論する中から、思いもかけなかったような問い、そしてそれに答えるためのアプローチが見えてくることがあります。ということで、今夢中なのは、他領域の人たちと議論を土台に、社会心理学の枠を少しずつ壊しながら、その領域を拡大していくこと。

 

第2の答え

他領域の知識を受け止めて、まともに議論するためには、まず、社会心理学が何者であるかを把握している必要があります。しっかりと社会心理学を学ぶこと、 積極的に研究会や学会で他者と議論することなど、ごく当たり前の活動を重視する、いわば基礎トレを怠らないように伝えています。そのうえで、研究者になる人には、自らの「専門的知」を駆使して、他領域の人たちともコラボレーションしつつ、新しい問題を発見し、解いていくことができるようになってほしい。また、そうでない人も、自分がいまだ知らない「知の領域」に対する好奇心と敬意を持ち、そことかかわっていくことが楽しいことなのだと思える人になってほしい。そのためには、他領域の研究者とのコラボレーションが楽しく、実りあるものだという実例を見てもらうことが重要なのだと思います。つまり、私が友人の他領域研究者と、議論したり共同研究している様子を見せて、「楽しそうだな~、いいなあ」と羨ましがらせること…ですね。

 


過去に掲載した文学部のひとについてはこちらをご覧ください