文学部のひと

 

文学部とは、人が人について考える場所です。

ここでは、さまざまな人がさまざまな問題と取り組んでいます。

毎月ひとりずつ、「文学部のひと」をご紹介します。

編集部が投げかけた質問はきわめてシンプル、

ひとつは「今、あなたは何に夢中ですか?」、

そして、もうひとつは「それを、学生にどのように伝えていますか?」。

 

梶原 三恵子准教授(インド語インド文学研究室)

第1の答え

研究の対象にしているのは古代インドのサンスクリット語文献、とくに紀元前10世紀ごろから前3世紀ごろまでに成立した文献群です。語形や文法に頭をひねりながらテキストを読みつづけていると、ときたま、単語や語句の背後に、異なるテキストとのつながりと文脈が「見える」瞬間が訪れることがあり、それを楽しみに仕事を続けています。テキストの流れが見えるときというのは、古代インドの社会と文化の歴史の流れの一端が垣間見えるときでもあります。わからないことの多い古代社会史・文化史の奔流に、小さな光をあてて、少しずつそれをつなげていき、社会文化史の全体像が見えてくるようにしたいと考えています。夢中というより、夢みているといったほうがいいかもしれません。

 

第2の答え

授業で一緒に原典を読むことで、文献学のおもしろさが伝わればいいなと考えています。学問はどの分野でもそうでしょうが、古代文献の読解も、はじめからひとつの正解があるわけではありません。一緒に苦労してテキストを読むこと、教員が苦労して読む様子を見ることが、学生に「夢中なこと」が伝わる早道であるように思います。校訂や訳読は孤独な作業ですが、先人たちを含め周囲の人々の声に耳を傾けながら進めることで道がひらけていきます。大学は周囲にさまざまな専門のひとがいて教えてもらうことのできる恵まれた場所だと思います。

 


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