文学部のひと

 

文学部とは、人が人について考える場所です。

ここでは、さまざまな人がさまざまな問題と取り組んでいます。

毎月ひとりずつ、「文学部のひと」をご紹介します。

編集部が投げかけた質問はきわめてシンプル、

ひとつは「今、あなたは何に夢中ですか?」、

そして、もうひとつは「それを、学生にどのように伝えていますか?」。

 

鈴木 淳准教授(日本史学研究室)

 

第1の答え

史料を読むのに夢中です。と言えてしまうのが底の浅いところで恥ずかしいのですが、好きなことを仕事に選んでいるのでやむを得ないでしょう。

教員の仕事もいろいろあるので、実際に史料を見に出かけたりする機会はそれほど多くはありません。しかし、近頃はインターネットで画像を見られる近代史料がかなりの勢いで増えているので、ほぼ毎日、新しい史料を見ては、時が経つのを忘れています。面白い史料を見つけ、本気で読もうとすると紙にプリントすることになります。そこで、研究室も自宅も日々紙が増え続け、収拾がつかないことになっています。それでも、史料を読んでいると必ず新しい発見があるので、やめられません。

もちろん、電子化されていない史料を文書館に見に行くのも、時には未整理の史料の目録作りなど手伝い、さらには新たな史料を探しに未知の人を訪ねるのも、それなりに楽しみです。しかし、史料をまとめて論文を書くのは、史料を探して読むことほどには好きではないので、部屋は散らかるばかりです。

文献史料のほかに、近代の遺跡や遺物を見るのも好きです。学生時代は史料調査のついでの気分転換だったのですが、これも近頃は仕事になりがちです。

 

第2の答え

これがなかなかむずかしいところです。本郷での講義では、自分が読んだ史料を紹介し、あるいはそれを検討してわかったことを話しています。また、学部演習は、夏学期に歴史学の論文に触れてもらった後、夏休みに好きなテーマを決めて自分で史料を読み、冬学期にその成果を発表する、という形で進めています。

講義の準備で史料を読むのは楽しいのですが、講義内容を練るのは得意ではないので、あとから振り返ると、自分が最後に感心した史料に振り回されて話がわかりにくい講義になっていることが多いようです。また、演習では適当なテーマや史料を探すことに苦労する学生も多いようです。

講義の改善は必要なのですが、直接史料から組み立てる学問の意味さえわかってもらえれば、これから生きていく上で財産になるだろうと思っています。自分で史料を読み、研究テーマを見出すことが面白くなればそういう道を目指すことも考えられましょうが、それは本人次第で、私に左右できるものではないように思います。

 


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