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日本史学は、日本列島の歴史を多面的かつ総合的に考究する専門分野である。研究の基礎は、古文書・記録・史書などの文献史料を正確に読み、内容を批判的に検討し、そこから論点を引き出して歴史像を構成することにある。当研究室の教育・研究システムは、そのための力量を養成することをめざしている。

演習では、文献史料を正確に解読し、優れた先行論文を批判的に検討することが中心となる。講義では、各教員の<史料をしていかに歴史を語らせるか>を軸とした先端的な研究を披露する。最近の日本史学が検討対象とする史料は、文献のみでなく絵画や文学、遺跡や遺物、民俗行事、地図や地名などへと広がっており、こうした広範な史料にも挑戦している。またゼミ旅行、史料調査や各種の研究会など、多様な学習の機会を得ることができる。

現在、研究室の専任教員は7名で、古代(大津透)・中世(高橋典幸・三枝暁子)・近世(牧原成征・村和明)・近現代(野島[加藤]陽子・鈴木淳)の各時代を担当している政治・経済・社会・対外関係・文化・史料論などの諸分野をカバーするバランスのとれた構成であり、時代の枠を超えて積極的に発言しあう気風をもっている。

東京帝国大学の国史学科の伝統を受けつぐだけに、研究室の図書は充実しており、また学生・大学院生から教員までがともに語り合う開放的な研究室の雰囲気の中で、教員・助教や先輩の大学院生から懇切な指導・助言を受けることができる。また、関係の深い部局として東京大学史料編纂所があり、その所蔵する原本・影写本・写真版などの膨大な史料を利用する便宜がはかられるほか、同所員の優れた日本史研究者の指導を仰ぐこともできる。

学部での勉学で重視される卒業論文は、自ら日本史上の課題を設定し、研究対象となる史料群や先行研究と格闘して、オリジナルな論点を積み上げ、それを説得力ある論文に結晶させることになる。その経験は、人生にとってかけがえのない財産になるはずである。卒業後は、マスコミ関係・教職などに就職する者と、大学院に入学して専門研究を続け博士論文の作成を目指す者とに分かれる。