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本研究室の前身は「支那哲学」という名称であった。その後、国内の他大学にあいついで同名の講座が設けられるが、日本や中国に伝わる旧来の方法論を踏襲するだけではなく、中国古来の思想的営為を西洋伝来の「哲学」という学術によって分析・理解しようとする立場をとる点に、本学の特色があった。第二次世界大戦後に「中国哲学」、1994年からは「中国思想文化学」と改称し、現在にいたっている。1995年以降、大学院では「東アジア思想文化学専門分野」となった。

本研究室の学問的特徴は、上でも述べたように、中国の学術・思想を体系的・歴史的に整理して理解しようとするところにあり、その伝統は今でも継承されている。当初はいわゆる諸子百家の思潮と朱子学・陽明学とに関心が偏っていたが、しだいに他の時代や思想を研究対象として意識するようになり、現在では狭義の哲学的営為のみにとどまらず、宗教・科学・政治思想・教育思想など幅広い分野にわたって研究・教育が行われている。また、中国と関連する範囲で日本・韓国の思想も扱われている。

本研究室の卒業生は累計してもその数は決して多くないが、学界・教育界をはじめとする各界で活躍している。学部学生は大学院に進学するほか、学校・官庁・企業に就職する者も少なくない。また、他大学を卒業してから本研究室の大学院課程に入学してくる者も多い。全体に占める留学生の割合が高いことも特筆される。

授業形態は他の研究室と同様、一般的に当該分野の基礎知識・研究動向を伝達する概論概説講義、非常勤講師を含めて教員が各自の最新の専門的知見を披歴する特殊講義、学生に研究方法を指導する演習とからなる。大学院の場合は授業のほとんどが演習形式で行われる。演習では文献読解のためのさまざまな技法が具体的な材料を扱いながら指導される。近代・現代の資料を除き、本研究室に関する資料は古典中国語で書かれており、それらを当時の語法や句法に忠実に一字一句もゆるがせにすることなく読み解いていくことが求められる。しかも、対象とする資料の時代や性質に応じて語法・句法は千差万別であり、学生は自分の問題関心・研究テーマに即して必要なものを修得していかなければならない。なお、ここで言う資料とは、後世に書物の形で伝承されたいわゆる伝世文献のほかに、近年の考古学的成果により発見された出土資料を含む。

現在、専任教員は3名。それぞれ中国の思想文化の多様性を反映して、専攻する時代や分野がそれぞれ異なっている。さらに、大学院では総合文化研究科・東洋文化研究所・社会科学研究所所属の専任教員にも授業を担当してもらい、日本を含む東アジア全域にわたる教育指導ができるような体制となっている。