研究科長・コーディネーターからのメッセージ

研究科長からのメッセージ

人間という存在の根源を、思想・歴史・言語・文学・心理・社会・資源・地域等の多側面から問うところに、人文社会系の学問の意義と可能性とがあります。われわれは東京大学の創立時から「文学部」として、時間・空間の差異を俯瞰する国際性・現代性において、今ここにいる人間と、人びとが生きてきた社会の在り方を相対化し、その意味を批判的・創造的に検証し続けてきました。現代世界のグローバル化、情報化、不安定化のなかで、人文知の公共的・社会的な意義が問われています。人文社会系研究科の専攻・専門分野が蓄積してきた知識と方法論に深く学びつつも、細分化や不活性化の隘路を打開する新たな学知の必要性があらためて意識されつつあります。人文社会の専門知の高みから問題の本質を剔出し、叡智を未来につなぐ次世代の人材を育成するため、われわれはこの「国際卓越大学院人文社会系研究科次世代育成プログラム」に取り組みます。学部の26の専修課程、大学院の7つの専攻のすべてが協働してつくりあげる学・修・博連携のプログラムです。学問の未来を切り開く意欲のある学生諸君のチャレンジを期待しています。

佐藤 健二 文学部長・研究科長


コーディネーターからのメッセージ

平成30年4月、「国際卓越大学院 人文社会系研究科 次世代育成プログラム」が開設されました。本プログラムは、研究科各専門分野において蓄積された人文知の基礎の上に立ち、かつてない規模と速度で変化し複雑化する価値観に柔軟に対応しつつ、人類の健全な発展に貢献し得る博士人材の育成を目的としています。本研究科諸学における基礎的な研究能力の修得を目的とする専攻・専門分野のプログラムに加えて、新たな研究領域開拓や国際発信等を旨とした本プログラムを履修する二層構造になっているのが特徴です。

本プログラムは、修士課程から実践的な研究活動を促進するための「学術活動課題演習」を必修としている他、様々な事象を俯瞰的に見渡し、多様な人々の声に耳を傾け発信する能力を養うために設置された選択必修科目を履修します。修士課程から奨励金が支給され、博士課程では国内外での研究活動を支援する仕組みも今後整えて行く予定です。学部・修士・博士連携プログラムであるため、学部プログラムからの一貫した履修が原則ですが、修士からの履修も可能です。

本プログラムは、ある特定の所与の分野を卓越したものとして研究を推奨するものではありません。短期間で価値の変わる「最先端」の分野を目まぐるしく追いかけるのは人文学の本分ではありません。今ここにいる自己を人類の多様性と悠久の歴史の中に位置付けて相対化し、絶えずその意味を確認する作業が欠かせません。時流に迎合しない余裕のある立ち位置を維持するには、一時の毀誉褒貶に自己を見失わない覚悟も必要でしょう。本プログラムの履修者が、重厚な知の伝統と今日的な諸課題との均衡の取れた学修・研究の中から、卓越した新たな叡智を生み出す力を身に着けて行くことを期待しています。

大西 克也 卓越大学院運営委員長