第42回心理学研究室セミナー(田谷修一郎先生) 2018年12月10日開催


文学部心理学研究室では,第42回心理学研究室セミナーとして以下のような講演会を開催しますので,ふるってご参加下さい。なお,講演内容は大学院生以上を想定しております。


第42回心理学研究室セミナー

日時:2018年12月10日(月) 午後5時から

場所:法文1号館3階 312教室

【講師】 田谷修一郎先生 (慶應義塾大学)


【演題】 「経験は奥行きの知覚をいかに形作るか」

【要旨】

目に映る世界は二次元像であるにもかかわらず我々が世界を三次元空間として捉えることができるのは,網膜像や眼筋等の情報が奥行きの手がかり(depth cue)として利用できるためである,と教科書等では一般にこのように説明されるが,「手がかりがあるから奥行きを知覚できる」は説明として不十分である。例えば遠近法(perspective cue)を用いて面の傾きを見積もるには,面の“本来の”形状について何らかの仮定をおく必要がある。また両眼網膜像差(binocular disparity)から奥行き量(相対距離)を見積もるには左右眼間の網膜像のズレの大きさと外界の奥行き量とを対応付けなくてはならない。この二例が共通して示すように,手がかりが奥行きの推定に有用であるためには,外界の有り様についての仮説が不可欠であり,このために奥行き知覚は経験(学習)を足場とした一種の推論とみなせる。日々の経験や実験室場面での体験が我々の三次元空間の見かたをどのように変えるのか,主に筆者らの研究結果に基づいて解説する。