開催日 2016年1月13日

文学部心理学研究室では,第31回心理学研究室セミナーとして以下のような講演会を開催しますので,ふるってご参加下さい。なお,講演内容は大学院生以上を想定しております。

第31回心理学研究室セミナー

日時 2016年 1月13日 午後5時から

場所 法文1号館1階113教室

【講師】 宮脇 陽一 (電気通信大学先端領域教育研究センター)

【演題】 「ヒト視覚系における物体画像表現の時間構造」

【要旨】 ヒトの物体認識は高速かつ正確であり、敏捷な行動応答を実現するうえで重要な役割を担っている。このように高速かつ正確な物体認識がどのようにしてヒトの視覚系において実現されているのか、その神経メカニズムについては不明な点が多い。その理由のひとつは、ヒト脳活動を空間分解能と時間分解能を両立した状態で計測し、解析する技術が未発達なことにある。この問題を解決するため、我々は時間分解能に優れた脳磁場(MEG)信号計測と空間分解能に優れた機能的磁気共鳴画像(fMRI)信号計測を組み合わせる手法を用い、物体画像観察時のヒト視覚皮質上の神経活動の高時空間分解能解析を行っている。さらに、解析で得られたヒト視覚皮質上の神経活動の時空間パターンに含まれる情報をデコードすることにより、物体画像の情報が脳内のどこで、いつ表現されるのかを同定する試みを行っている。本講演では、ヒト脳活動の高時空間分解能解析ならびにデコーディング解析の基礎を解説したのち、これらの解析技術によって得られた我々の最近の研究結果ならびに現在進行中の行動実験の結果も併せて紹介し、ヒト視覚系における物体画像表現のダイナミクスについて議論を交わしたい。