開催日 2014年6月17日

文学部心理学研究室では,第21回心理学研究室セミナーとして以下のような講演会を開催しますので,ふるってご参加下さい。なお,講演内容は大学院生以上を想定しております。


第21回心理学研究室セミナー

日時:2014年6月17日(火) 午後5時から

場所:法文1号館1階 113教室

【講師】 宮川 剛 先生 (藤田保健衛生大学・自然科学研究機構 生理学研究所)

【演題】 遺伝子・脳・行動:遺伝子改変マウスを用いた研究

【要旨】 演者らは知覚・運動機能や情動性・記憶学習能力・社会的行動などの行動のテストを含む「網羅的行動テストバッテリー」を用いて、遺伝子改変マウスの表現型を解析している。これまでに90以上の研究室の共同研究として、160以上の系統の遺伝子改変マウスの行動を評価してきた。この中で、活動性や作業記憶、社会的行動などの顕著な異常を示す系統を複数同定することに成功している。これらのマウスの脳を網羅的遺伝子・タンパク発現解析、組織学的解析、電気生理学的解析など各種の手法で調べたところ、ヒトの統合失調症患者の脳で報告されている現象と酷似した表現型が複数確認された。さらに、海馬歯状回でほぼすべての神経細胞が未成熟な状態でとどまっている「未成熟歯状回」という表現型がいくつかのモデルマウスで共通して生じていることを発見し、これと同様な状態がヒト患者の死後脳でも見られることを明らかにした。本講演では、遺伝子改変マウスを用いた精神疾患の研究を例にとりつつ、遺伝子・脳・行動の関係について考えてみる。