職名 助教
専修課程 日本語日本文学専修課程
専門分野 日本語日本文学専門分野
研究室 国文学研究室

日本の近・現代文学を専攻。戦前・戦中・戦後を通して活躍した探偵小説家・久生十蘭を主な研究対象としている。ジャンルの中心で活動したとは言い難い作家であるが、周辺に位置するものが却って何よりも中心的価値観を構造化していることはありうるだろう。十蘭が作中に本格探偵小説の構造を作り出しながらも、常にそれを相対化し、「本格」では条理を把握しきれない虚無的な世界を描き出していることを重視している。久生十蘭の執筆活動を通して、探偵小説ジャンルが時代状況の中で持っていた社会批評的な可能性を明らかにするとともに、従来の文学史理解を問い直すことを企図している。ほか、探偵小説界と同時に演劇界でも活躍したという十蘭の稀有な立ち位置から、両ジャンルの相互作用にも注目している。主な論文に「久生十蘭『湖畔』論」(「国語と国文学」2020.7)、「演劇人から探偵小説家へ――久生十蘭『黒い手帳』論――」(「国語国文」2021.3)、共編著に『『新青年』名作コレクション』(筑摩書房、2021.4)などがある。