職名 特任助教
関連施設 死生学・応用倫理センター

専門は哲学、とりわけマルティン・ハイデガーを中心とした19世紀末から20世紀初頭のドイツの哲学。人間の理解・解釈行為の本質的諸条件を考察・分析するハイデガーの「解釈学的現象学」と呼ばれる方法に着目して研究を行なっている。人間の理解能力に歴史拘束性・文化拘束性という本質的な構造があるという解釈学の問題系を背景にしつつ、しかし安易に歴史的・文化的相対主義には与せず、なお真正な理解を求めるとすればどのような形でありうるか、という問題を主たる研究課題としている。このテーマはまた同時にケア理論の分野において、個々人それぞれの歴史的・社会的・文化的背景が異なる中で、個人の解釈視点による制約を認めつつ、なお「真の意味で相手を理解する」ということはいかにして可能か、という他者理解の問題に繋がる。社会的背景や(医療者-患者など)専門知識水準の異なる者同士が理解し合うためには、様々なレベルで解決すべき困難があるが、ハイデガー哲学の知見をそうした問題の解決の手掛かりとして展開することを試みている。