
かぐや姫を主人公とする『竹取物語』は平安時代初期の成立。『源氏物語』絵合巻(えあわせのまき)に「物語の出(い)で来(き)始めの親」と評されることなどから、物語の祖とされる。竹の中から発見されたかぐや姫は早々と成人、多くの男性が求婚し、ついには帝までが求婚するが、そのすべてを拒んで月の国に帰るという話。この絵巻は、江戸時代前期の絵師、土佐広通・広澄親子が、1649年に描いたもの。当該画面は、かぐや姫の昇天の場面。かぐや姫から帝にあてた手紙と不死の薬を、天人が頭中将(とうのちゅうじょう)に取らせようとしている。かぐや姫の昇天ののち不死の薬は、帝の命によってかぐや姫への返歌とともに富士山頂で焼かれたという。