開催日 2018年2月13日

東京大学社会心理学研究室では、2ヶ月に1回程度のペースで「新・社会心理学コロキウム」を開催しています。
一人の話者につきQ&Aを含めて1時間半お話しいただき、参加者との活発な議論を楽しむ集まりです。
事前の登録などは一切不要で、自由にご参加いただけます。

 

平成29年度第3回目は、お二人の先生をお招きして、2月13日(火)午後1時半から5時までの予定で開催します。
どうぞ奮ってご参加ください。

 


  

日時: 2月13日(火) 13:30 ~ 17:00
場所: 東京大学本郷キャンパス 法文2号館 1番大教室 (http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_02_j.html

 


 

 

講師: 阿部修士 (京都大学こころの未来研究センター・准教授)
講演タイトル: 社会神経科学による正直さの研究
講演概要:
 私たちの社会生活では嘘をつくことで利得を得られる場面が少なくないが、そうした状況における意思決定の神経基盤は未だ明らかではない。
 本講演では、正直さを定量的に評価する課題を用いた社会神経科学による研究成果を紹介する。具体的には、1) 正直さの個人差を規定する報酬感受性の神経基盤についての研究、2) パーキンソン病を対象とした神経心理学的研究、3) 米国刑務所内のサイコパスにおける不正直さの特徴と神経基盤についての研究、を紹介する。
 正直さと不正直さの研究における課題や限界点についても触れ、今後の研究の方向性についても考察したい。

 

講師: 鈴木貴之東京大学大学院総合文化研究科・准教授)
講演タイトル: 道徳性にかんする経験的研究の哲学的意義
講演概要:
 近年、社会心理学、認知神経科学、行動経済学などの領域で、道徳性にかんする実験研究が数多く行われている。これらの研究は、これまで哲学者の専売特許だと考えられてきた道徳・倫理の問題に新たな光を投げかけ、ときには解決をもたらすとも言われる。他方で、経験科学の対象である事実の領域と道徳哲学・倫理学の対象である規範の領域のあいだには、超えることのできないギャップがあるという見方も根強い。
 本発表では、道徳哲学・倫理学の基本的な問題図式を概観したうえで、近年の経験的研究は重要な意味を持つ論点を明らかにし、さらに、いくつかの論点について、哲学者はどのような教訓を得ることができるのかを考察したい。具体的には、道徳における感情の役割、個別事例にかんする直観とバイアス、道徳の文化的多様性などについて論じる予定である。

 


 

◆当研究室HPのイベントページ
 http://www.utokyo-socpsy.com/events.html

 

◆問い合わせ先
東京大学大学院人文社会系研究科 社会心理学研究室
E-mail: sphisho [at] L.u-tokyo.ac.jp