開催日 2024年3月17日
開催時間 13時~17時
定員 定員1000名
開催場所 Zoomウェビナーでの開催(申し込み:https://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/ja/event/240317.html)

シンポジウム趣旨

 医療・ケアの現場では、一人一人を人として尊重し、それぞれの価値観・人生観・死生観に沿った医療・ケアを人生の最終段階(end-of-life care: EOL)まで提供することが求められています。そのため、緩和ケアと意思決定支援はますます重要になってきています。
 適切な緩和ケアを受けることは患者/利用者(以下、「本人」)の基本の権利です。そして、心身の苦痛が可能な限り緩和されることによって、本人は意向を表出することも可能になります。つまり、緩和ケアは本人を苦痛から解放するという医療・ケアの目的そのものに加え、意思決定支援上の基本条件でもあるのです。
 現代、医療・ケア・療養場所等の意思決定においては、本人・家族等と医療・ケアチームが対話を通し共同意思決定(shared decision-making:SDM)に至ることが推奨されており、医療・ケアチームには意思決定支援が求められています。SDMのプロセスを繰り返しつつ、EOLケアのための話し合いを進めると、それがACP(advance care planning)になります。
 認知症を有している人は次第に意向を表出することが困難になります。そのため、緩和ケアと意思決定支援の適切さは一層重要になるといえます。
 このような認識のもと、厚生労働科研「療養場所の違いに応じた認知症のエンドオブライフ・ケア充実に向けての調査研究」では研究を進め、成果を発表するに至りました。
 本シンポジウムは日本老年医学会と共同主催致します。日本老年医学会は高齢者のEOLケアの改善のため、これまで「立場表明2012」、「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン」、「ACP推進に関する提言」、「新型コロナウイルス感染症流行下において認知症の人を含めた高齢者と家族を支えるための学会員への提言」等を発表し、EOLまで本人を人として尊重し、本人らしく生きることを支援するための医療・ケアはどうあるべきか、多くの医療・ケア従事者や市民とともに考え、実現しようとしてきています。
 日本老年医学会のこうした活動の目的は、東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター上廣講座の研究・実践活動が共有するところです。
 今回のシンポジウムでも参加者みなさまと研究・臨床実践の成果を共有し、臨床現場に おける問題を解決するための道を探り、実現につないで参りたいと思っております。ご一緒にお考えいただければ幸いです。

 
                         厚生労働科学研究費補助金認知症政策研究事業「療養場所の違いに応じた認知症の
                         エンドオブライフ・ケア充実に向けての調査研究」研究代表者
                         国立長寿医療研究センター 在宅医療・地域医療連携推進部 部長 三浦久幸

                         東京大学大学院人文社会系研究科 死生学・応用倫理センター上廣講座 特任教授
                          一般社団法人日本老年医学会 エンドオブライフ小委員会委員長  会田薫子