開催日 2023年11月10日

文学部心理学研究室では、第60回心理学研究室セミナーとして以下のような講演会を開催しますので、ふるってご参加ください。なお、講演内容は大学院生以上を想定しております。


第60回心理学研究室セミナー
日時:2023年11月10日(金)午後5時から
場所:文学部3番大教室(国際学術総合研究棟1階)


【講師】 木村健太先生(産業技術総合研究所)

【演題】 演題:内受容感覚により生じる心理と行動の“ゆらぎ”

【要旨】

内受容感覚は、自律神経系を含む身体内部の生理状態から生じる信号の感知、解釈、統合などの処理過程を指し、ヒトを含む生物が自身の生理状態を知覚・制御するために必須の感覚であるといえます。近年、心臓の周期的な活動や身体中のホルモン分泌といった身体内部の生理状態が、私たちの知覚、認知、感情に影響を及ぼすことが分かってきています。このことは、内受容感覚が生理状態の制御に関わるだけではなく、私たちの心理と行動を調節する働きをもつことを意味しています。講演者は、これまでに外部感覚刺激の呈示を心臓の周期的活動にリアルタイムに同期する実験系や体液中のバイオマーカーを取得する実験系を構築し、身体内部の生理状態が人の認知、感情、意思決定に及ぼす作用を検討してきました。本講演では、これまでの研究成果に基づいて、内受容感覚がヒトを含む生物の心理と行動にゆらぎを与える可能性と、その背後にある認知神経科学的な機序、生物学的な意義についてお話したいと思います。


(問い合わせ先)心理学研究室 shinri -at- L.u-tokyo.ac.jp  -at-@に変更)