職名 | 助教 |
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関連施設 | 次世代人文学開発センター |
日本語日本文学を専攻している。研究関心は、和歌における「辺境・周縁」の表象を手がかりに、人間と地理空間、中央と地方の権力構造がいかに言語化されてきたかを考察することにある。
現在は、主に院政期から鎌倉初期に焦点を当て、鎌倉幕府第三代将軍・源実朝の和歌と、その和歌が詠まれた場としての二所詣を中心に研究を進めている。実朝の和歌において、東国や陸奥の歌枕がいかに描かれ、そこにどのような意識が看取できるのかを考えている。二所詣については、中央から遠く離れ、宗教と政治が重層的に交錯する場において、武士が和歌を詠む意味を検討している。また、幕府の二所詣に影響を与えたと考えられる院による熊野詣にも注目しており、今後の研究に取り入れていく予定である。
なお、日本の古典文学にとどまらず、文学作品における遥かなる土地のイメージの編成に広く関心を持っている。作品の個別性に注意を払いながら、言葉を紡ぐ人間と、その内面をかたちづくる地理空間との相互関係という普遍的な問題を追求したい。
論文に、「源実朝「世の中は」歌に関する一考察:『古今和歌集』「東歌」の享受から」(2023)、「源実朝の「塩釜の浦」考」(2024)がある。