職名 助教
関連施設 次世代人文学開発センター

専門は日本近現代文学、表象文化論。大江健三郎作品を中心に、日本の現代文学作品に描出される死生観、スピリチュアリティのあり方について、研究を進めている。文学作品のみならず、広く「精神世界」にまつわる言説に注目しながら、社会・環境とのインタラクションを視野に収めつつ、超越的存在や異世界をめぐる想像力に迫ることを目指している。

また、大江をはじめとする作家の自作リライトの研究にも関心を寄せている。ある特定の主題やイメージの作品ごとの変容のプロセス、あるいは一作品の草稿~最終稿にいたるまでの加筆・修正のプロセスの分析を通して、作家の創作過程における微細な運動性を明らかにしていくことも、今後の大きな目標である。

著書に『犠牲の森で―大江健三郎の死生観』(東京大学出版会、2023年)、主要論文に「「後期の仕事(レイト・ワーク)」にあった「希望」―大江健三郎の小説作品における死者とのコミュニケーションに着目して」(『日本近代文学』2017年5月)、「●を超えて、あるいは●のなかで―『うたびこ』『0』に見る「喪」と「メランコリー」」(『ユリイカ』2020年3月)、「「テン窪大檜」の表象に見る「魂」の救済可能性―大江健三郎『懐かしい年への手紙』、『燃えあがる緑の木』の比較分析を通して」(『超域文化科学紀要』2021年1月)がある。