職名 | 教授 |
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関連施設 | 次世代人文学開発センター |
詳細情報 | https://researchmap.jp/read0061059 |
歴史考古学を専門としている。中世後半から近世期にかけての都市遺跡、特に江戸遺跡、大名藩邸、および出土陶磁器の流通・消費についての研究を行っている。1984年から東京大学学内遺跡の発掘調査・研究に従事した中で、活動の装置である遺構や道具であるモノ資料の様相を通して、近世、都市江戸の人間の社会・経済・文化的諸活動の解明を志向している。フィールドである本郷構内は、近世には加賀藩、水戸藩などの大名屋敷域が広くを占め、これまでの調査とその分析から、大名の活動諸相の復元が可能である。
私の研究テーマである陶磁器は、広範囲で流通する商品であり、消費地の需要様態や動態は、江戸や国内のみならず東アジア、ヨーロッパとの影響などを踏まえた評価が必要である。こうした視点から消費需要の形成や変化要因、消費が生産に与えた影響などの復元に取り組んでいる。
その中で、その時代の政治的・文化的範囲を超えて広域流通する貿易陶磁器は興味深い素材(資料)であり、日本では政治や社会的な側面をも有して受容された唐物として、あるいは市場のトレンドなど、時代や場を表出する道具として評価できる。一方、モノの消費に関する志向性について、ヨーロッパや近年では台湾雲林縣北港遺跡出土陶磁器の共同研究からその普遍性などについて考えてきた。
学位論文は、『近世陶磁器の消費に関する考古学的研究』(2009)、最近の主な業績として、『重返古笨港 雲林北港出土文物臺湾與日本合作研究』(編著、2024、雲林縣政府)、『18・19世紀の福建・広東諸窯の貿易陶磁器 資料報告』(編編著、2021、東京大学埋蔵文化財調査室)、『東京大学本郷キャンパス 140年の歴史をたどる』(共著、2018、東京大学出版会)、『赤門-溶姫御殿から東京大学へ』(共編著、2017、東京大学出版会)、「江戸遺跡出土貿易陶磁器の数量分析-需要の検証-」『貿易陶磁研究』第42号(論文、2022、日本貿易陶磁研究会)がある。