職名 助教
専修課程 西洋古典学専修課程
専門分野 西洋古典学専門分野
研究室 西洋古典学研究室

専門は西洋古典学。卒業論文ではパピルスで見つかったギリシア語の抒情詩の校註を見よう見まねで行い、修士論文では抒情詩に見られる叙事詩の影響を調べ、博士課程の後半では古代ギリシア語の歴史文法に取り組んだ。

博士論文では、ゴルテュン方言に遺されている異様なomnysという形態(本来は -ynsのはず)に関して、定動詞が前接し連声によって音素nが脱落しているためであることを発見(おそらくこの例が唯一)したのをきっかけとし、定動詞の前接が原因で現れると考えられる特徴を古期ギリシア語碑文中から探し出した。比較言語学により、古インド・アーリア語(ヴェーダ語)と同様にギリシア語でも定動詞がアクセントをもたなかったことがすでに示されているが、これにより碑文資料でも確かめることができたと考えている。

博士論文で文法学を扱ったのは、文献学においてはじめに要求される分野だからという理由もある。今後はふたたび韻文作品に戻り、引き続き文法学にも注意しつつ、校註を施す作業にも取り組みたい。言語文献学(Wortphilologie)にはだいぶ時間をかけたので、今後は事物文献学(Sachphilologie)の観点からも取り組みたいと考えている。

 

[主な業績]

(論文)「ゴルテュン方言における語末の -νςと動詞のアクセントについて」『フィロロギカ』10 (2015), 54–57.

(博士論文)「古期ギリシア語碑文に見られる定動詞の接語としての性質について」(東京大学大学院人文社会系研究科,2021).