職名 助教
専修課程 スラヴ語スラヴ文学専修課程
専門分野 スラヴ語スラヴ文学専門分野
研究室 スラヴ語スラヴ文学研究室

1917年のロシア革命後に国外に亡命した作家や詩人による第一次亡命ロシア文学を主な研究対象として、その知覚イメージから、亡命者たちが描いた「ロシア」とその境界を探っている。第一次亡命ロシア文学は強く「ロシア」を志向する。革命以前のロシア文学の沃野に育まれた作家や詩人たちは、その伝統を維持し、継承することを使命とし、幼くして亡命した者たちは、寄る辺ない亡命生活の中で、定かな記憶すら持たない「ロシア」を追い求めた。傷つけられ、失われた「ロシア」は亡命者たちを呪縛し、作品の中に幻想の「ロシア」を生み出していく。その実体を離れた「ロシア」のイメージを探り、文学といういわば普遍的な領域に息づく「ロシア的なもの」とは何かを考え続けている。20世紀前半のロシア文学を代表する作家の一人であるイワン・ブーニンを研究の中心に据えながら、その他の亡命作家や詩人の作品にも関心を持っており、視覚や皮膚感覚などのイメージを軸に研究を進めている。著書に『ブーニンの眼――イメージの文学』(水声社、2013)がある。