TEL: 03-5841-3851
FAX: 03-5802-8870
E-MAIL: l_sel[at]l.u-tokyo.ac.jp
*[at]を@に入れ替えてお送りください。

国内では2番目、現在までのところ最新のイタリア語イタリア文学研究室は、1979年に文学部に設置され、南欧語南欧文学研究室と称した期間(1994-2025)を経て、今日に至る。現代イタリア語を学ぶだけで、ダンテ、ペトラルカ、ボッカッチョという13世紀から14世紀にかけてトスカーナ地方が生んだ「三大作家」を読み解くのも難しくはないとされているように、文語の伝統の強さはイタリア文学の特徴のひとつである。三者に続いて、各時代(ルネサンス、バロック、近現代)を代表する作家や作品は数多く挙げられ、明治中期以降、日本に積極的に紹介されてきた。そこにはヨーロッパやキリスト教の精神を知るため、同盟国間の文化理解を深めるためといった社会的かつ政治的意図がはたらいていたが、戦後に文学テクストをそれそのものとしてとらえる時代を迎え、実際にそのようなアプローチが可能となる数少ない場のひとつであることに、本研究室の意義が認められる。

現在は3名の専任教員(日本人とフィレンツェ人)、および5名の非常勤講師が、イタリア文学の専門講義を担当し、なによりもまずイタリア語で書かれたテクストを正確に読解する訓練を行っている。それだけでなく、作文や会話の面でも学生が現代イタリア語の運用能力をしっかり身に付けられるよう意を用いている。学生は各自の興味に従い、卒業論文のテーマを選ぶことになるが、古い時代の韻文だけでなく、ファシズム期以降の小説を取り上げる例など、さまざまである。教養課程から進学する者、学士入学する者、それぞれ年平均数人おり、1から2名が大学院へ進学する。学部卒業後の進路はさまざまであるが、大学院を修了したのち、研究職に就くだけでなく、イタリア文化の紹介や翻訳業で活躍する者もいる。

本研究室における研究活動は、紀要『イタリア語イタリア文学』に収斂する。しばしば国内外の研究者が訪れては、集中講義や講演会、シンポジウムを行っている。