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本専修課程の母胎は初代主任木村彰一教授の下に1971年創設された「ロシア語ロシア文学」専修課程で、1994年に「スラヴ語スラヴ文学」専修課程と名を改めた。

創設以来本研究室では、中世から現代までのスラヴ学全般を視野にいれ、ロシアおよびスラヴ各地、また欧米におけるスラヴ研究を広く参照しながら、テクストを正確に読み取る力と、テクストの背後にある文化的文脈を理解する力を涵養することを目指してきた。

本専修課程の特色は、中世から近代・現代に至るまでの約1000年に及ぶロシアおよびスラヴ各地の語学・文学・文化を、幅広く視野に入れている点にある。とくに、スラヴ世界の文学研究と言語研究は、車の両輪のように不可分の関係にあるという信念のもと、「スラヴ学」研究という視点が重要であるという認識に立って、スラヴ地域の文学と言語に関する授業を幅広く開講してきた。伝統的には、専任教員の専門の関係から、ロシア文学およびポーランド文学に力を入れてきたが、その他のスラヴ域の言語・文学についても非常勤講師の出講をもって充実させてきた。過去には、古教会スラヴ語、ウクライナ語、チェコ語、ブルガリア語、クロアチア語、中世ロシア文学、スラヴ民俗学、ロシア思想史、ロシア音楽文化史など、多様なテーマが掲げられてきた。平成25年度よりは、従来のロシア・スラヴ文学とならび、スラヴ語学とくに南スラヴ語圏言語研究を本専修課程の主要な柱の一つとしている。

本研究室は発足以来40年を経て、学部卒業生は120人を超えた。またその数と重複するが、大学院の修士・博士両課程修了者は100名を上回る。卒業・修了者からは出版・報道・貿易・教育ほか様々な分野に有為の人材を数多く輩出しており、その中にはロシア、スラヴおよび欧米の言語・文学・文化の研究・教育の第一線で活躍している者も少なくない。また国際的な研究交流も盛んで、これまでに韓国、中国、台湾、ロシア、ポーランドから留学生や研究員を受け入れ、そこからは博士号、取得者も出ている。また東京大学はワルシャワ大学、モスクワ大学、ロシア国立人文大学、ベオグラード大学などと学術交流協定を結んでおり、さまざまな形での交流が推進されている。

スラヴ学は広く深い可能性を秘めている。ロシアに関しては、18世紀バロック・古典主義文化、いまも世界に冠たる19世紀ロシア文学、ソビエト期を挟む20世紀ロシア等、組み尽くせない多様な研究テーマがある。西欧とロシアにはさまれた「東欧」とよばれる地域には、その複雑で多難な歴史の中から、豊かな言語文化が生み出された。ポーランド文学、チェコ文学、あるいはバルカンの多文化環境から生み出された独自の民族文学、さらには中欧に点在するスラヴ系少数民族の文化などは、それらを生み出した言語のあり方とともに、研究の宝庫であり、二十一世紀の多様な世界を反映して、東欧の文学・言語研究はますます魅力的な様相を呈している。