行事予定
臨床死生学・倫理学研究会 (死生学特殊講義 「臨床死生学・倫理学の諸問題」)
概要
- 開催日
- 水曜 (不定期)
- 時間
- 午後6時50分~8時30分
- 定員
- 約1000名(先着順)
- 実施方法
- Zoom ウェビナーを利用したリアルタイムのオンライン研究会
- *オンライン研究会への参加には、インターネット接続環境(WiFiもしくは有線LAN)が必須になりますので、予めご了承ください。
- *参加登録いただいたメールアドレス宛に、後日オンライン研究会に使用するZoom URLおよびZoomマニュアルをお送りします。(開催のためのURLは各回で異なります。)
参加について
臨床死生学および臨床倫理学の諸課題に関して、医療と介護の現場の実践家や、医学・看護学・保健学・哲学・倫理学・社会学・教育学などのさまざまな分野で取り組んでいる研究者らからご講演いただき、質疑応答で理解を深めて参りたいと思っています。
どうぞお気軽にご参加ください。
2025年11月5日(水)共に紡ぐ物語とナラティブブック秋田~患者の「物語」と「語り」の共有による医療~
伊藤 伸一(いとう しんいち) 先生
(秋田県医師会副会長、伊藤医院院長)
【伊藤先生より自己紹介文と講演紹介文をいただきました】
東京医科大学卒業。大学では小児外科医、消化器外科医として働く。1994年米国UCLAで肝移植と小児外科の臨床研修。2000年秋田県で開業。山里の診療所で子どもからお年寄りまでを診る「家庭医療医」として仕事をしている。地域に根ざした診療所、病気を治すだけでなくその人が自分らしく生きることを支え、患者と家族の「物語と語り」に寄り添う医療を心がけている。生命の終焉に直面する現場において、どのように生き、どのように死を迎えるかという問いは、単なる医療の問題ではなく、人としての尊厳や生き様に関わる倫理的な問いである。こうした問いに向き合うためには、患者一人ひとりが歩んできた「物語」や「語り」に耳を傾け、医療・介護の現場において共有し、その人が「どのように生きたいか」を言葉にし、それを支える周囲の方々と支えることが重要である。我々は「患者の情報は本人に持たせるべきである」という理念のもと、ICTを活用して患者の主観的情報を記録・共有する「ナラティブブック秋田」を運営している。本システムは、患者や家族が望む暮らし方や価値観、日々の変化を自由に記録し、医師・看護師・介護職など多職種が加筆・共有することで、本人の想いをケアの軸とするものである。ナラティブブック秋田は、2018年にグッドデザイン賞Best100およびグッドフォーカス賞(地域社会デザイン)を受賞し、その革新性と地域医療介護への貢献が高く評価された。本取組の本質は、患者の「情報の一元化」ではなく、「物語の共有」にある。つまり、患者の想いに寄り添いながら意思決定を支援し、人生の最終段階においても「自分らしく生きる」ことを支える仕組みである。今回、こうした実践を通じて、科学的・制度的なアプローチに偏重しがちな医療の在り方に対し、人間の生き方に寄り添う実装例として本取り組みについて紹介したい。
前期の開催日程
- 10月15日(水)
- 医療における自己決定権の意味―法律家の視点から
竹口 文博 先生
(東京医科大学 統合管理室長・腎臓内科客員准教授、弁護士) - 11月5日(水)
- 共に紡ぐ物語とナラティブブック秋田~患者の「物語」と「語り」の共有による医療~
伊藤 伸一 先生
(秋田県医師会 副会長) - 11月19日(水)
- エナジーサイクルを回せ!―在宅看護奮闘記―
亀井 紗織 先生
(株式会社 ナースエナジー 代表取締役(実務教育学修士・看護師・介護支援専門員)) - 12月3日(水)
- 2つのリスクに備えるために~自然災害と社会構造変化の津波~
神野 正博 先生
(社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院 理事長) - 12月17日(水)
- 倫理的な組織文化とはなにか―医療の組織の中でのあたりまえと倫理
勝山 貴美子 先生
(横浜市立大学大学院 医学研究科看護管理学分野 教授)
これまでの研究会
2025年10月15日(水)医療における自己決定権の意味―法律家の視点から
竹口 文博 先生
(東京医科大学 統合管理室長・腎臓内科客員准教授、弁護士)
【自己紹介文と講演紹介文】
弁護士としての専門は医療訴訟、医師としての専門は人工透析。両方の専門性を活かして執筆した主な論文に「透析の見合わせに関する刑法的許容性の根拠の検討」(日本透析医学会雑誌49号561-569頁)があります。最近は医療機関のガバナンス、コンプライアンスやハラスメントに関する業務にも従事しています。医療と法律の境界領域について研鑽するなかで、医療における自己決定の意味と責任について考えるようになりました。
現在、多くの医療機関で共同意思決定(SDM)は当然とされています。しかし、SDMでの決定結果は医療者でなく患者に生じます。共同意思決定の結果は患者が負うなかで、医療従事者は決定にどこまで関与が許され、どこまで関与すべきなのでしょうか?本講演では、「説明義務違反」が医療訴訟で問題とされている現状と、具体的な裁判例を通じて、患者の自己決定権についてご案内いたします。
≪医療・介護従事者のための死生学≫基礎コース
- 参加
認定 - 受講生の方は、2回参加で1コマ分の「死生学トピック」ないし「臨床死生学トピック」として認めています。
オンライン開催のため、単位シールをご要望の方はご自身の住所・氏名を書いた封筒(110円切手を貼付してください)を上廣講座にご郵送ください。取得された単位を申告していただきますと、その分の単位シールをご返送いたします。
郵送先:
113-0033
東京都文京区本郷7-3-1法文2号館3階25号室
東京大学大学院 人文社会系研究科
上廣死生学・応用倫理講座
特任研究員 野瀬彰子 宛
大変恐れ入りますが、ご協力いただければ幸いです。
これまでの活動は こちら