概要

臨床倫理プロジェクトについて

本講座のおもな研究・実践活動の1つは《臨床倫理プロジェクト》です。「臨床倫理」は、医療・介護の現場で、医療・ケア従事者たちが、患者(利用者)本人や家族と応対しながら医療・ケアを進めて行く際に起きる諸問題について「どうするのがよいか」を、本人を中心に考える営みです。本プロジェクトは次の3点をおもに目指しています。

  • ●日本の文化に合った臨床倫理の考え方と検討の方法を見出し、それを普遍的に理解できる言葉で表現すること。これまでの研究の成果である、「カンファレンス用ワークシート」などの臨床倫理検討シートを用いた事例検討の演習を、全国各地で行っている臨床倫理セミナーに組み込み、現場における実装を目指すこと
  • ●現場の医療・ケア従事者との協働で実践的研究を進め、医療・ケアの質の向上、今後の医療・ケアの望ましいあり方の実現に寄与すること
  • ●医療・ケアの現場で死生の問題をどう考えるべきかという臨床死生学の課題を臨床倫理的に検討すること。それによって新しい時代の看取り文化の創成に貢献すること

本プロジェクトの基本的なコンセプト

●意思決定プロセスの「情報共有―合意」モデル

医療・ケアを提供する側が有する情報と医療・ケアを受ける本人・家族側が有する本人の生活と人生に関する情報を互いに提供して共有することをベースにしつつ、コミュニケーションを通して合意を目指します。これは清水哲郎前特任教授が国内の医療・ケア従事者と30年にわたる協働によって開発した、国内独自開発の共同意思決定(SDM:shared decision-making)のモデルです。

●生命に対する人生の優位

私たちのいのちには、生物学の対象になる生命という相と、自分のいのちの物語りを創りつつ一歩一歩進む人生という相があります。身体が支えてくれなければ、人生は展開できません。ですから、人生を豊かに展開するために、生命を整える必要があるのです。

臨床倫理セミナー・ファシリテーター養成研修の開催

「臨床倫理プロジェクト」の活動として、全国各地で医療・ケア従事者のための臨床倫理セミナー・ファシリテーター養成講座を開催し、基本的な考え方のレクチャーと事例検討の演習を行ってきました。2019 年度は全国で約 2,600 名にご参加頂きましたが、2020 ~2021 年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響下で対面研修を縮小する一方、e-learning コンテンツを公開しました。2022 年度はリモート開催の拡大を目指します。右記は事例検討の演習で使用している臨床倫理検討シート(カンファレンス用ワークシート)です。

検討シートを用いて分析する臨床倫理の方法は、 2022 年 2 月に『臨床倫理の考え方と実践 ― 医療・ケアチームのための事例検討法』として東京大学出版会から刊行されました。同書については本リーフレットの裏面もご参照ください。
臨床倫理検討シートは、こちらのサイトからダウンロードしてください。