概要

講座紹介

 上廣死生学・応用倫理講座は、東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター内におかれた寄附講座です。公益財団法人上廣倫理財団を出捐団体としています。本講座は2007 年度に開設され、これまで臨床死生学および臨床倫理やケア倫理、生命倫理等の応用倫理を主たる担当領域として、研究と教育および実践活動を進めてきました。
 2026 年度はこれまでの3 期15 年間の実績を踏まえ、第4 期の5 年目に入りました。今年度は後半から山崎浩司特任教授が本講座に着任し、新たな体制・方針で一層の研究展開と社会貢献を進めてまいる所存です。
 死生学は単に「死について」の学ではなく、死を生に伴い、また生が伴うものとして、「死生」を一体として考え、人間が死生をどう理解し対処してきたかについて、人文知を背景に広く考えようとします。その意味で東京大学の死生学研究は2002 年以来、死生学を“thanatology(死の学問)” というよりも“death and life studies” として捉え、人文社会系を中心とする学際的な研究プロジェクトを進めてまいりました。
 本講座の活動は、日本における死生学の中核領域である臨床死生学と臨床倫理の研究と実践活動を軸に、これまで展開してまいりました。臨床死生学は臨床現場で実践の知としてはたらく学問です。医療機関や介護施設、在宅医療・介護の場などの医療とケアの現場において、死生をめぐる諸問題に関し、患者/利用者本人と家族等および医療とケアに携わる人々のニーズに応え、死生学が得た知見を医療とケアに活かすことができるようなかたちにして提供しようとします。その際、判断の土台となる医学的な新知見も適宜取り入れます。
 臨床倫理は臨床現場において、ひとりひとりの治療やケアや療養場所などの選択に際し、本人を人として尊重する意思決定の実現を目指します。その実践的研究の成果は医療・ケアの臨床現場に浸透しつつあり、高齢者医療・ケアの領域などで実績をあげてきました。
 以上に加えて、社会学的視座に立脚し、関係性、制度、文化、環境など、生と死をとりまく広い背景・文脈にも目を向ける社会死生学の研究・教育を展開します。また、医療・ケアの実践家を含む当事者が、質的研究等を実施して自ら知を生み出す力を身につけ、高めていくことも支援してまいります。
 このように、上廣死生学・応用倫理講座は文理融合の知を創出しつつ、死生学・応用倫理センターのメンバーの協力も得て、バランスのよい研究・教育・実践活動の展開を目指しています。

上廣死生学・応用倫理講座
特任教授 会田 薫子、特任教授 山崎 浩司