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10:00-10:20 |
Opening Session |
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10:20-11:00 |
ISOGAI Ken'ichi (Kyoto University) |
"Hanafite waqf theory reflected in waqf deeds from 16th and 17th century Bukhara". |
11:00-11:40 |
Christoph WERNER (University of Bamberg) |
"The Winners of Qajar Social Transformation: a Case Study in Landownership" |
11:40-12:20 |
KONDO Nobuaki (Tokyo Metropolitan University) |
"The Vaqf of Ostad `Abbas: The Revision of Deeds in Qajar Tehran" |
13:20-14:00 |
Mansur SEFATGOL (University of Tehran) |
"Majmu'eha: An Important and Unknown Sources of Historiography of the Last Safavids: the Case of Majumu'-e Mirza Moina" |
14:20-15:00 |
Hashem RAJABZADE (Osaka University of Foreign Studies) |
"Irrigation Examined through Documents of Qajar Iran" |
15:20-16:00 |
YAMAGUCHI Akihiko (The University of Tokyo) |
"On the Term 'Resm-i cift' in Ottoman Tax Registers on Iran" |
16:00-16:40 |
Bakhtiyar BABADJANOV (Institute of Oriental Studies, Tashkent) |
"Uncatalogued Irshad-nama from funds of the Institute for Oriental Studies named after al-Biruni (Tashkent)" |
16:40-17:20 |
General Discussion |
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本ワークショップの目的は、まず研究が遅れている文書史料に関する情報交換を行うことであったが、セファトゴル報告およびババジャーノフ報告は現地の学者ならではのこれまで学界にあまり知られていない新しい類型の文書史料の紹介であり、その意味で有意義であった。これに対して磯貝報告は、古文書学とイスラーム法学を繋ごうとするユニークな研究であり、オスマン朝の課税台帳のタームを検討した山口報告とあわせて、我が国の研究が着実に進展していることを感じさせた。ヴェルナー報告は文書を利用してカージャール朝期の土地所有の問題に本格的に取り組んだものであり、ワクフ文書の更新問題を扱った近藤報告、水利権を扱ったラジャブザーデ報告とともに、文書史料の利用によって何が可能かを示した。
レベルの高い報告が続いたが、全体的には発表内容のばらつきが見られ、ペルシア語文書研究が分野として未成熟であることが計らずも明らかとなった。しかし、オスマン朝研究者、アラブ研究者、インド研究者をも交えた活発な議論が行われ、ペルシア語文書研究の世界の水準を明らかにすると同時に、我が国の中東研究の水準の向上をも示すことができたと考えられる。
1999年12月9日
5班・6班合同研究会(於:京都大学文学部)
第一報告
Mansur SEFATGOL (テヘラン大学)
「サファヴィー朝後期(1666-1736)の宗教・社会構造」サファヴィー朝後期の宗教・社会上、3つの顕著な潮流が認められる。第一にタサッヴォフとスーフィーたちの弾圧、第二に宗教指導者内部のアフバリー派とオスーリー派の対立、第三に法学者と哲学者の対決である。これらの潮流は、コム、イスファハーン、マシュハドという3つの都市の三角形の中で展開された。サファヴィー朝がイランにおける12イマーム派最初の本格的政権であったこととあいまって、これらの潮流は、当時の政治的・思想的状況を規定し、複雑化した。
第二報告
Bakhtiyar BABADJANOV(ウズベキスタン東洋学研究所)
「現代ウズベキスタンのスーフィズムをとりまく諸問題」現代のウズベキスタンでは、スーフィズムは極めて重要な政治的問題である。ソヴィエトの崩壊以降、各地でイスラーム、スーフィズムの復興が見られるが、これに関する正確な情報はウズベキスタンにおいても欧米においても非常に少なく、政策決定や現実の対応において困難が生じることが少なくない。スーフィズムの歴史・伝統をふまえつつ、信奉者の発行するビラや教義書等の一次資料に基づいた研究が今こそ必要であり、これなくしては、ウズベキスタン社会は非常な困難に直面するであろう。
アラビア語史料を扱う上でのさまざまな問題点を検討することを目的に発足したものである。具体的な作業としては、10世紀イラクの文人ヒラール=サービーが著した『カリフ宮廷の儀礼』を読み進め、最終的にはこの作品の日本語訳注を出版することを目指している。平成11年度中には15回の研究会を開催した。毎回の研究会は、『カリフ宮廷の儀礼』に関する輪読会形式で進められた。その際、テキストを読み解く上で問題となる重要な用語や固有名詞などに関して活発な議論がおこなわれた。各回の訳注担当者は、研究会での検討結果を踏まえて日本語訳注の改訂版を作成し、順次ウェブサイト上で公開している。物理的に研究会に出席できない研究者も、このウェブサイトを参照することにより当研究会の活動に参加することが可能であり、研究過程および成果の同時公開という意味で、当研究会の試みは新機軸を打ち出したといえよう。なお、11年末時点で、作品全体の約4割についての作業を終えたところである。
資料の詳細については、近日中に6班のホームページに出張報告
が掲載されますので、それをごらんください。なお、6班で収集した資料は、毎週水
曜日に閲覧・公開しております。東洋文庫3階のイスラム地域研究室をお訪ねくださ
い(9:30-16:30)。
アク・コユンル朝からガージャール朝に至る6世紀にわたって、イランの諸国家はオスマン朝と戦争や外交等さまざまな関係をもち、その結果イラン史に関する多くの文書史料が現在のトルコ共和国の諸文書館に残されることとなった。イラン史に関する文書史料の残存状況を勘案すれば、これらの史料は非常に貴重であり、にもかかわらずこれまで十分に研究されているとは言い難い。トプカプ宮殿博物館文書館および総理府オスマン朝古文書局を中心に、さまざまな文書のコレクションの成り立ちについて説明し、イラン史関係の文書史料の種類と残存状況を明らかにした。
エフサーン・エシュラーギー氏(テヘラン大学)
都市ガズヴィーンに残る古い建築物である古金曜モスクにはセルジューク朝期以降の銘文がいくつか残されている。これらはワクフ文書や勅令の写しであり、歴史史料としても価値の高いものである。最初にセルジューク朝のアミール、フマルタシュの12世紀初頭のワクフ文書を紹介し、その歴史的背景を明らかにした。また、サファヴィー朝のシャー・アッバース2世の勅令を紹介した。サファヴィー朝期にはガズヴィーンは一時首都となったため、重要な遺跡が存在するが、それらの一部についてもスライドを使って説明を加えた。
- St.ペテルスブルク東洋学研究所は、旧ロシア帝国以来の収集資料を所蔵する。
写本 約10万点(65の言語による)。アラビア語5000点、ペルシア語1万点ほか。
図書 100万冊(特に帝政時代の中央アジアでの刊行物については納本制度があり、すべて納められている。目録カードしかないため、今後、冊子体または電子メディアによる目録整理が望まれている)
および、雑誌類。- 10の研究部門に分かれ、120名の研究者が従事。詳しくは、ホームページ参照(http://www.thesa.ru)
- 1995年より、Manuscripta Orientalia: International Journal for Oriental Manuscript Research(Helsinki)を季刊で刊行中。所蔵する写本の研究・紹介を行っている。
- 写本の校訂刊行を行っており、最近の刊行物として、以下のものを東洋文庫に寄贈された。
- Rasa'il al-hikma(ドルーズ派の教典)
- Abu Bakr Muhammad al-Suli, Kitab al-awraq
- また、CD-Rom形式での写本の刊行も開始し、現在まで10点がリリースされている。
- 挿絵の多い写本の例として、マムルーク朝時代の武芸書Ibn Abi Khazzam, Kitab al-makhzunをビデオを用いて紹介した。
- 研究所の歴史は、帝政期、ロシア革命とソ連邦時代、ペレストロイカ・ソ連崩壊後と、ロシアとムスリム諸国との生きた歴史を反映している。これについては、研究所の紹介を含め、Asian Research Trends(ユネスコ東アジア文化研究センター刊)に寄稿を予定している。
日時:1998年12月13日
場所:九州大学箱崎文系キャンバス(法文講義棟)
イスラーム地域研究「イスラーム関係史料の収集」班では、九州大学イスラム文明学科研究室との共催により、下記のようなシンポジウムを企画し、アラブ、ペルシア、トルコ、中央アジア史の各分野の第一線でこれらの史料の利用に奮闘している研究者から、写本や文書史料を用いる意義と利用法について、実践的な情報を提供していただくとともに、系統的な史料学の未来について議論を行う。
[報告者レジュメ:pdf ファイルです。読むためには、Acrobat Reader が必要です。]
なお、シンポジウムの開催・運営にあたっては、九州大学文学部イスラム文明学科の大稔哲也助教授をはじめ、同学科の院生・学生の方々の全面的なご協力を頂いたことに、謝意を表します(文:三浦 徹)。
- Christoph WERNER
- 所属:バンベルク大学講師
- 期間:1999年12月2日〜7日
- 活動:
- 12月3日 東京大学東洋文化研究所訪問
- 12月4日 「ペルシア語文書国際ワークショップ」において、報告 "The Winners of Qajar Social Transformation: a Case Study in Landownership". 他に、セッションの司会も務める。(於:東京大学)
- 12月6日 講演 "What is a Mujtahid? Functions and Stratification of Tabrizi Ulama in the Early Qajar Period".(於:東洋文庫)
- 概要:
- ヴェルナー氏は、「ペルシア語文書国際ワークショップ」参加のため来日した。ワークショップでは報告のほか、午後のセッションの司会をつとめた。このほか、12月3日は東京大学東洋文化研究所を訪問、ダイバー・コレクションを見学、6日には財団法人東洋文庫を訪問、6班収集のペルシア語文献を見学ののち、同所で "What is aMujtahid? Functions and Stratification of Tabrizi Ulama in the Early QajarPeriod".という題で講演を行った。滞在はごく短期間であったが、日本の研究者・大学院生と活発な交流が行い、双方にとって有意義な機会となった。
- 所属:ウズベキスタン東洋学研究所研究員
- 期間:1999年12月4日ー10日
- 活動:
- 12月4日 「ペルシア語文書国際ワークショップ」において、報告"Uncatalogued Irshad-nama from funds of the Institute for Oriental Studies named after al-Biruni (Tashkent) "(於:東京大学)
- 12月6日 東洋文庫を訪問、6班収集のペルシア語および中央アジア関係文献を見学
- 12月7日 1班・中央アジアネットワーク主催の研究会で報告 ""The Great Schisim" among the Moslems of Ferghana Valley"(於:東京大学文学部アネックス)
- 12月9日 5班・6班共催の研究会で報告「現代ウズベキスタンのスーフィズムをとりまく諸問題」(於:京都大学文学部)
- 概要:
- 「ペルシア語文書国際ワークショップ」参加のため来日した。本人の多忙とウズベキスタンの諸事情のため来日スケジュールがなかなか確定せず、また、わずか1週間弱の短い滞在で厳しい日程となったが、短い時間のなかで活発に研究報告を行い、学術交流を果たした。 まず、12月4日には、成田から直接会場に駆けつけ、ワークショップで報告を行った。これは、新発見の史料に関する報告で、現地研究者ならではの内容であった。6日には財団法人東洋文庫を訪問、6班収集のペルシア語および中央アジア関係文献を見学、7日には1班・中央アジアネットワーク主催の研究会(於:東京大学文学部アネックス)で、""The Great Schisim" among the Moslems of Ferghana Valley"という題で報告を行った。さらに関西にうつり、12月9日、5班・6班共催の研究会(於:京都大学文学部西南アジア史学資料室)で、「現代ウズベキスタンのスーフィズムをとりまく諸問題」という題で報告を行った。いずれの会にも、多くの研究者・大学院生が参加し、活発に討論が行われた。
収集図書は、すべて、東洋文庫4階のイスラム地域研究6班図書室において公開中。コピーサービスもあります。どうぞご利用ください。また、収集図書の書誌情報データベースを作成中。まもなく、ホームページ上にて、公開します。
中国ムスリム関係資料 梅村坦氏が現地にて、中国語、アラビア語、ウイグル語など資料657点を購入。(詳細は、出張報告参照)
南アジア資料 小名康之、露口哲也両氏をパキスタンに派遣し、ペルシア語、ウルドゥー語、パンジャーブ語など、ムガル朝時代の基本資料630冊を収集した。(『アクバル会典』(1892)、Nawar Kishore 版ペルシア語原典の『聖者伝』、『チシュティの研究(ラホール史)』など。(詳細は、出張報告参照)また、萩田博氏(東京外国語大学)の協力により、文献目録類約90点をパキスタンより入手した。
アラビア語資料 カイロより日本学術振興会カイロ連絡センター駐在の中田考氏(山口大学)のご協力により、思想・宗教関係を中心に(とくにコーランの各種の注釈書類=タバタバーイー21巻、イブン・カスィール10巻、近年の思想研究所など)、約600点(1078冊以上)の図書を購入。また、近年はアラブ世界でもコンピュータを用いた出版により、大型の歴史書が続々と刊行されており、イブン・アサーキル『ダマスカス史』(50巻)、バグダーディー『バグダード史』(24巻)などを購入した。また、モロッコより留学中の佐藤健太郎(東京大学大学院)氏のご協力により、同地の出版物を中心に、約200点の図書を購入。
トルコ語資料 高松洋一(東京大学大学院)氏のご協力により、歴史・言語を中心に約720点の図書を購入。トルコでは、新刊の出版が盛んであるが、いずれも少部数のため刊行時をのがすと良書であるほど、購入が難しくなる傾向があり、今年度はとくに、地方出版物などの近年の新刊書の補充を中心に行った。
ペルシア語資料 イランより、辞書類・雑誌を中心に57点211冊(内雑誌10点、117冊)の図書を購入。主な雑誌としては、『アルマガーン』、『イーラーンシャフル』、『ヴァヒード』、『バハール』、『ナシュリーイエ イエ・ヴァザーラテ・オムーレ・ハーレジェ』など。他にアゼルバイジャン語の辞書1点(3冊)と雑誌1点(15冊)。
中央アジア諸語資料 坂井弘紀(研究協力者)をウズベキスタンおよびカザフスタンに派遣し、ウズベク語、カザフ語、ロシア語などによる文学・歴史・言語関係の資料(新刊書・古書・辞書・雑誌など)266点296冊を収集した(『カザクタル』『タヴァーリーヒ=グジーダ・ヌスラット=ナーメ』などの書籍、『アリシェル=ナヴァイーの著作の言語詳解辞典』などの辞典、『サヤサト』などの雑誌等)。
アラビア語資料 長沢栄治(東京大学、在学術振興会カイロ研究連絡センター)の協力により政治・経済研究の基礎となる次の雑誌資料7点を購入した。『社会問題雑誌』(1940-46、20巻)『フスール』(1980-88、27巻)『カイロ』(1985-97、55巻)『作家』(1961-80、63巻)『法判決』(1985-97、12巻)、『ヒラール』(1951-98、146巻)および『民衆文化』(1965-96、52巻)。
トルコ語資料 高松洋一(研究協力者)の協力により、地方史、会議録、教育、経済、トルコ国内の少数民族の歴史資料を中心に、558点610冊を収集した。『オスマン朝メドレセにおける教育』(マフメット・ギュル著)、『オスマン朝ヨーロッパ金融資本』(ハイダル・カズガン著)、『イスタンブール農業史』(アフメット・タバックオウル他編)など。
ペルシア語資料 教育、宗教、政治、経済、芸術など諸分野の雑誌19点216冊を収集。パフラヴィー朝時代に刊行された『アームーゼシュ・ヴァ・パルヴァレシュ』『エッテラーアーテ・マーハーネ』、『ネギーン』、第二次世界大戦中(1941-45)にロンドンで出版された『ルーズギャーレ・ノウ』。革命後の新聞(月刊)『ケイハーネ・ファルハンギー』(1984-97、1-14号)など。
東南アジア資料 東南アジアのイスラーム世界、すなわちマレー世界に関する基礎文献を、西尾寛治(サバ・マレーシア大学講師)の協力によって収集した。『イスラーム百科事典』(7巻)、『イスラーム百科』(6巻)、『マレーシア百科事典』(17巻)などの事典類、『ムハンマド伝』(10巻 )、『コーラン訳』(11巻)、『コーラン注釈』(3巻)などの宗教書、聖者伝、年代記など計346点を収集した。
アラビア語資料 私市正年氏(第2班)および、大稔哲也氏(九州大学)の協力をえて、今年度は、モロッコとエジプトから単行本375点460冊、雑誌6点173冊を購入した。数点をあげると;マクリージー『諸王朝の知識の旅』ベイルート、1997、全6巻。アル・ムスタファ・グマーヒリ『命の樹 小説』カサブランカ、1998。アリー・ホスニ『憲法と政治学』マラケシュ、1998。ムスタファ・アッスバーイ『東洋学と東洋学者,正と負の遺産』カイロ、1998。ムハンマド・クトゥブ『コーラン研究』ベイルート、1993など。
ペルシア語資料 東洋文庫研究員八尾師誠氏の協力をえて、単行本382点467冊、雑誌67点164冊を購入した。数点をあげると;エズトッラー・ネギャフバーン『イラン考古学の50年』、メフターフ・エルハーメ『バルフ地方とオクセス河地方の歴史地理』、アブドッラー・アンヴァール『世界征服者ナーデル・シャー』、雑誌『ファスルナーメ?イェ・テアートル』(1ー16号、1988-1992)、雑誌『カーヴェ』(1ー70号、1963-1978)など。
トルコ語資料 6班研究協力者高松洋一氏の協力をえて単行本410点458冊、雑誌5点51冊を購入した。数点をあげると;ベトゥル・オズチェレビ『共和国時代の文学批評』(全2巻)、トゥルグト・アクプナル『トルコ人の宗教と法の歴史』、ネシェ・イェシルカヤ『人民の家ーその立役者とイデオロジー』、メフメト・カラ『トゥルクメン語』、メファーイル・フズル『オスマン朝時代のブルサのマドラサ』など。
本班の活動についてのお問い合わせやご意見は下記のアドレスにお寄せください。
メールアドレス:IAS6@toyo-bunko.or.jp