布施郁三博士肖像

布施郁三博士

布施学術基金について

布施学術基金は、布施郁三博士(1905―1995)、 並びにご遺族からの寄付に基づいて、東京大学文学部並びに大学院人文社会系研究科の 研究と教育のために活用させていただいている基金です。

布施博士は、昭和4年(1929)東京大学医学部を卒業され、同11年(1936)以後、 千葉県八日市場町(現匝瑳市八日市場)において眼科医として活躍されるとともに、 地域文化の振興に広く貢献されました。 博士は、医業の傍ら、若い頃から仏教や東洋思想に心を寄せられ、 東京大学在学中も文学部の講義に出席して、大きな感銘を受けられたということです。 このようないきさつから、文学部の教育・研究に役立ててほしいというご意向で、 土地を売却した代金をもとにして、昭和59年(1984)文学部に多額の寄付を申し出られました。 翌年からご寄付が始まり、博士の没後は、そのご遺志に基づいて遺族からのご寄付が続けられ、 最終的に基金は3億850万円にのぼっています。 その功績により、平成14年度(2002)第1回東京大学稷門賞を授与されました。

その高い志を記念して、昭和62年(1987)に建設された文学部三号館地下1階図書室の一角に 布文館という記念閲覧室が設けられました。 布文館というのは、布施家初代の布施文四郎氏の名に拠るもので、 布施博士が地元の青少年教育のために医院の敷地内に設けた施設の名前でしたが、 その名を頂くとともに、文を広めるという文学部の使命を表したものです。 布文館内には、布施記念文庫として基本的な参考図書を配架し、 教員や学生の研究に役立てています。

ご寄付頂いた基金は、その果実を学術講演会、出版、国内外の研究者の招聘や海外派遣、 若手研究者の研究費などに充て、その活用には布施学術基金運営委員会が責任をもって 当っております。 とりわけ、毎年1回行なわれる布施学術基金公開講演会は、 文学部の活動を広く社会に開放するという目的で、多くの聴衆を集め、好評を頂いています。

学問がともすれば狭い専門の知識や技術に局限されがちな現代にあって、 高邁な精神をもって広く社会とともに歩もうとされた布施郁三博士の理想は、 まさに文学部のあるべき姿を示しているということができます。 東京大学文学部・大学院人文社会系研究科は今後永くその精神を受け継いで、 基金を有効に活用させていただく所存でおります。

2007年 5月
東京大学文学部・大学院人文社会系研究科

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