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平成22(2010)年度 文化資源学講義・演習

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各コース共通科目

特殊研究

日本演劇の歴史(1)
古井戸 秀夫 2単位 火3
 日本の演劇・舞踊は、何を描こうとしているのでしょうか。それを人々はどのように受け止めてきたのでしょうか。神楽や舞楽をはじめとする古代の演劇と舞 踊、能に代表される中世の演劇と舞踊、それぞれの演劇や舞踊の誕生と伝承を振り返ることで、日本演劇の持つ普遍性と、それぞれの演劇・舞踊の特殊性につい て考えてみることになるでしょう。
日本演劇の歴史(2)
古井戸 秀夫 2単位 火3
 演劇の歴史は、神々を主人公とする古代から、中世の英雄を経て、近世には等身大の人間の喜びや悲しみを描くようになります。男と女の恋、親子の恩愛、義理 と人情など、人間の織り成すドラマはどのように表現されてきたのでしょうか。モダニズムの洗練からポストモダニズムまで、日本の演劇や舞踊が探し求めてき た表現について考えることになるでしょう。
展示論
木下 直之 2単位 火4
 博物館が社会に対してどのように有効な施設なのかを考えることが、この授業の大きな目標である。博物館における「展示」はその活動の1部ではあるが、本質 に関わる。博物館は、自然物にせよ人工物にせよ、それらを不特定多数の人間に公開することから始まったからだ。しかし、そこには関与する人間の解釈が加わ る以上、展示は開かれた可能性とともに限界を常に抱え込む。今年度は、自然物の中から動物に焦点を絞り、なぜ人間社会が動物展示施設を有するのかについて 考えてみたい。その限界は容易に想像がつくが、それにもかかわらず、税金を投じてまで地方自治体が動物園を経営することの意義はどこに見出せるだろうか。 ここでは、日本の博物館を代表する東京国立博物館が東京上野公園に開館した明治15年(1882)に、その附属施設として上野動物園が開園した事実だけを 示しておこう。受講者は、開講日までにかならず、上野動物園を訪れておくこと。
欧米における日本美術コレクション

ジョン・カーペンター

2単位 火5

 このコースは、欧米における日本美術の購入経路、展示方法、そして解釈のされ方を中心に考察する。毎週、欧米の収集家もしくは博物館によって購入された美 術品、または国外の地へと貸出され展示されているものの中から作品を選び、それらについて研究をする。このコースのテーマの一つは、伝統的な詩や物語など に言及する作品が、日本古典文学になじみのない観衆にどのように理解され得るのか、そして、楽しんでもらえるかということある。講義や討論は原則的に日本 語で行われるが、研究書の多くは英語で書かれたものである。
 日本美術を比較研究する目的のために、国内の美術館、博物館において、収蔵作品がどの ように展示されているかを考察する。東京近郊を中心に調査へ出掛けることも、このコースの一環となる。

展覧会の諸問題
村上 博哉(国立西洋美術館) 夏冬 2単位 金2(隔週)
 英文テキスト数本を講読しながら、美術展の歴史、展示の空間、作品の公開と保存、キュレイターの役割などの問題について考察する。あわせて、日本における 展覧会の現状に関する諸問題についても随時とりあげる。

演習

文化資源学フォーラムの企画と実践
木下・小林・古井戸・渡辺・中村 夏冬2単位 木4(隔週)
 フォーラムの企画から実践まですべての作業を学生が中心に行う実習であり、文化資源学修士課程1年生の必修とする。夏休みまでに企画会議を重ね、フォーラムのテーマと構成を決定し、夏休みから秋にかけて、テーマに関する理解を深めるための研究会・交渉・広報などの準備を行い、年度内に公開フォーラムを開催する。公開で行われることが条件で、規模とスタイルは問わない。終了後は報告書をまとめる。
文化資源学の原点
木下 直之 夏冬 4単位 木5・6(隔週)
 文化資源学研究専攻の教員・学生全員が参加し、各学生の修士論文・博士論文のテーマをもとに毎回議論する。学生がそれぞれの論文の起点(動機や関心の所在)=原点を確認し、その方向性や方法を検討するとともに、文化資源学として研究を成立させるための原点を探ることをも目的とする。

近代日本の文化政策

木下 直之 夏冬 4単位 金5
 日本国が戦争を「放棄」(憲法第9条)して久しく、やがて戦争経験者はいなくなる。その経験と記憶を後世に伝える上で、ミュージアムでの展示がどのような 限界を抱え、どの程度に有効なのかを考えてゆきたい。「公正中立」な展示はありえない。「公正中立」という名の下に企図・企画された展示があるばかりだ。 そもそも、明治初年に生まれた日本のミュージアムは、戦争とともに歴史を重ねてきた。靖国神社遊就館、広島平和記念資料館、無言館、昭和館、しょうけい 館、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館、大和ミュージアムなど(この中に「国立ミュージアム」は4館あった)、戦争展示の現状を検証しつつ、その歴史と課 題を考えることから始めよう。
画狂人北斎 ― 浮世絵、絵本と摺物 ―
ジョン・カーペンター 2単位 火5
 江戸の絵師葛飾北斎(1760-1849)は「富嶽三十六景」のような大胆な風景画によって世界的な名声を博すのみならず、絵本の挿絵、春画、さらに「摺物」と呼ばれる個人的に依頼された非商業目的の版画にも長けていた。それほどよく知られていないが、北斎は美人画や一般的な浮世絵作品だけでなく、歴史や伝説などからも頻繁に題材をとった非常に巧みで多産な画家だったのである。当コースは、この多彩な「画狂人」北斎のさまざまな側面に光を当てるものである。加えて、最新の浮世絵研究についても、理論的また方法論的側面から見てみたい。西洋における北斎の評価も取り上げる。
特別演習:美術館における教育研究
寺島洋子(国立西洋美術館)・村上博哉(国立西洋美術館) 夏冬 4単位 集中
 2010年度の教育普及インターンシップ・プログラムは、「びじゅつーる」(所蔵作品の鑑賞用補助教材)作成を行なう。「国立西洋美術館インターンシップ募集のお知らせ」(http://www.nmwa.go.jp/jp/education/internship.html)にしたがってあらかじめ応募し、採用された場合に単位として認定する。応募締切:2010年3月26日(金)。

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文化経営学コース

特殊研究

博物館学1
金山 喜昭(法政大学) 2単位 月4
 博物館においてコレクションマネジメントは最も基本的な機能である。本科目の目的は、将来、博物館や美術館などに関連する仕事に従事することを志す者ばかりでなく、文化資源としての博物館コレクションに関心をもつ者に対して、コレクションの歴史と実情や、そのマネジメントに関する理論と実践の知識や技能を修得することを目的にする。 授業では、コレクションマネジメントの先進国である英国の事例を扱いながら、日本の事例とも比較して、日本でのコレクションマネジメント改革の方向性について検討する。具体的には、コレクションの収集・処分、ドキュメンテーション、収蔵目録、安全管理、登録・借用、調査、収蔵管理、コレクションの公開・活用化などを取り上げる。
博物館学2
金子 賢治(茨城陶芸美術館) 2単位 金2
 近代工芸を扱う美術館の特徴を、調査・研究、展示・収集、教育・普及・広報、予算形成などの側面から見ていく。それぞれの項目は近代工芸の歴史、美術との対比で工芸のおかれてきた状況と無関係ではいられない。近代工芸の歴史、工芸論の変遷、現代的工芸論の構築、これらとの関連で美術館での近代工芸を考えていきたい。また近代、特に現代工芸は重要無形文化財制度を軸とした文化行政と密接な関連がある。その点を、美術館活動を絡めながら、実際の作家の制作活動を実地に見聞しながら考える機会も持ちたい。またこうしたことを踏まえ、海外の美術館での工芸の扱われ方、工芸論との比較により、日本の工芸、美術館での工芸の扱われ方の特質を浮かび上がらせたい。
戦後日本の文化政策を検証する(1)
小林 真理 2単位 火2
 戦後日本の文化政策の変遷を確認した上で、同様の政策が海外ではどのように取り組まれてきたかについて具体的な事例を見ながら理解する。
ミュージアム・テクノロジー
西野 嘉章(総合研究博物館)・藤尾 直史(総合研究博物館) 夏冬 4単位 金5
 平成21年度に総合研究博物館で実施予定の各種ミュージアム事業のいずれかのプロジェクトに参加し、そこでの具体的な体験を通じて学芸員、文化事業担当者としての専門的なスキルを修得する。なかで小石川分館を拠点とするデジタルアーカイヴ・プロジェクトについては、藤尾直史が中心となり、それを指導する。事業それぞれのプロジェクトの活動内容と研究成果は、出版物(図録、報告書、目録など)のかたちで公刊される。初回に各プロジェクトへの振り分けを行うが、定員を15人とし、希望者多数の場合には受講者の選抜を行う。
アートと公共経営と市民社会
曽田 修司(跡見学園女子大学) 2単位 月5
 本講義では、現代の日本社会におけるアートの社会的意義を市民社会論の視点から考察し、それを国や自治体の文化政策に反映させていく可能性とその方途を探る。改めて言うまでもなく、アートの価値基準は自明ではない。時代や国や地域やそのときどきの社会情勢によって、アートの経済的な成り立ち、政治的な位置(社会の中での扱われ方)はさまざまに変化しうるし、実際に変化してきた。このような視点からあらためてアートを見直すと、その存在のあり方がいかにも多様で変動性に満ちたものであることに気づくだろう。本講義では、近代以降、時代や社会のあり方によってアートの価値観がどのようにかたちづくられ受容されてきたのか、また、これからどのように変化していくのかを、個人の「自由」や国家や社会における「公共性」との関わりという視点から分析的に考察する。さらに、国家と市場と共同体とをつなぐ存在としてのNPOの特質に着目し、NPOと個人、企業、政府の協働によるアートの実践が「新しい公共」の創出にどのように関わっていくかを考える。
文化と都市の公共政策
後藤 和子(埼玉大学) 2単位 月5
 文化と都市の公共政策について、文化政策と都市政策の両方の観点から考察する。 特に、近年注目を集めているクリエイティブ産業等、新しい産業の動向も視野に入れながら、文化と都市の公共政策の政策ツールである補助金、税制、規制(著作権を含む)等の望ましいデザインについて考える。
著作権/情報と法
福井 健策(弁護士/ニューヨーク州弁護士) 2単位 水5,6
 ディジタル化・ネット化の進展で、情報の海は日々拡大を続ける。 情報は、無限に複製できるという「非競合性」、独占管理が難しい という「非排除性」ゆえに、自由に流通/拡散するのが原則である。 情報へのアクセス確保はまた、「表現の自由/情報の多様性」とも深く結びつく。 他方、情報の内容やそれへのアクセスをコントロールしようとする法制度は数多い。 そのうちで最大・最強の情報独占制度はおそらく著作権であるが、 個人情報・肖像権から児童ポルノやいわゆる「有害情報」などの行政規制に至るまで、 情報の内容・流通に関わるルール/制度が日常の話題にのぼる回数は日増しに増えている。 これらの制度は、どのように正当化され、その限界はどこにあるのか。 それはディジタル化・ネット化の中でどのような変容を迫られるのか。 著作権をはじめとする、各制度の基礎知識を学ぶと共に、その近未来像を、 「Twitter・Ustream中継」「リミックス/マッシュアップ」「電子出版とアーカイブ」 「クリエイティブコモンズ」「個人情報・擬似著作権」「非実在問題」などの 最近のトピックを手がかりに考える。

演習

文化政策の企画と実践
小林 真理 2単位 火5
 日本で自治体が文化行政の取り組みだしてからすでに30年の時を経た。当初自治体文化行政論で掲げられた原則である(1)市民主体の市民文化の育成、(2)基礎自治体主導の方法、(3)行政の自己革新、は達成されたのかという観点からこれまでの自治体文化行政を検証し、文化行政を実践する上での方法論を明らかにすることを目的としている。

論文指導

論文指導 修士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う。 ※修士2年のみ
論文指導 博士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う。 ※博士課程のみ

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形態資料学コース

特殊研究

芸術におけるメディアと記憶
渡辺 裕 2単位 水4
 デジタル機器やコンピュータの急速な発展に伴う芸術状況の変化を受けて、芸術とメディアについての議論が盛んである。たしかに、これら最新のメディアが芸術のあり方を大きく変えつつあることは間違いないが、歴史を振り返るならば、このような変化は決して今に始まったことではない。芸術はつねに何らかのメディアとともにあったのであり、芸術の歴史はメディアの変化の歴史とみることもできる。さらに言うなら、メディアを芸術の「外部」にあるようなものとして捉えること自体、正しくない。「メディア」という語の原義にかえって「媒介作用」全般を指す概念として捉え直すならば、いかなる芸術もそれが社会的に機能しているという限りにおいて何らかの媒介を経て認識されているのであり、そうであるならば、「芸術とメディア」は、芸術と社会との関わりの歴史という、より大きな問題系に関わる問題として捉え返されるべきであろう。この講義では、メディアに媒介される芸術と社会との結節点を人間の「記憶」というレベルにもとめ、その観点からあらためて芸術の歴史と現在を考えてみたい。そのことはまた、近年いささか濫用されて実質を失っている「記憶」という概念のもつ意味をあらためて問い直すことにもなろう。
音楽と映画の文化地理学
渡辺 裕 2単位 水4
 「芸術と都市」をめぐる議論は数多い。しかし多くの場合、そのような問題設定での議論は、都市のありようを念頭におきつつも作家や作品の側へと回収されてゆく結果になるか、逆に芸術作品を都市史研究のためのドキュメントとして使うような結果になるかのいずれかにとどまっており、両者の関係を根本から問い直すことのないまま終始してしまっている。だが芸術作品は、単に同時代の都市のあり方を映し出すドキュメントであることをこえて、都市を形作ったり変化させたりする役割を担う不可欠の登場人物として、都市をめぐる力学の一端を担ってきたし、そのような力学の中で捉え返されることによって、そのたびごとに新たな解釈・新たな相貌がもたらされてきた。都市の側も芸術作品の側も、両者の相互作用を前提としてはじめて成り立っているという認識のもとに、それぞれのあり方をあらためて見直してみることが求められている。そこでの相互作用は、「映画に描かれた東京」、「東京を舞台にした音楽」といった、芸術の個別的なジャンルの枠をこえて、マルチメディア的な相互作用としても捉えられるべきであろう。この講義ではそのための一事例として、地図、写真、映像、音楽といった様々なメディアとかかわりながら「東京」という表象が立ち上がってくる現場のありようを考えてみたい。
柳田國男の歴史社会学
佐藤 健二 2単位 水5
 民俗学者として知られる柳田国男の著作に沿って、その歴史社会学の方法や研究主題の展開を概説し、提起されている問題について論じてみたい。今年は「遠野物語」が書かれてから100年だが、同時に「時代ト農政」がまとめられてから100年でもある。詩人、農政学者、民俗学者、歴史家、国語論者など、多くの局面をもつ柳田国男の可能性の中心を、社会学の立場から著作を通じて概観する。
近世日本の異文化交流とその資料
松井 洋子(史料編纂所) 2単位 水3
 長崎に来航するオランダ船を通した、ヨーロッパ及びアジアとの接触は、日本近世の異文化交流の主要なルートの一つである。出島のオランダ商館の文書、オランダ船によって日本から運び出された文物、異文化と出会った日本の人々が残した絵画や叙述、そして入手した文物、こうした史・資料をもとに、異文化接触の諸相を考えていきたい。

演習

演劇学・舞踊学への招待
古井戸 秀夫 夏冬 4単位 火4
 近現代の演劇・舞踊に関する文献を読みます。具体的なテキストは、受講生と相談して決めたいと思います。
大衆文化とメディア:家庭電化製品に焦点をあてて
佐藤 健二 夏冬 4単位 金3
 「大衆文化」という曖昧な概念をあらためてとりあげ、その批判と再構成について考えてみたい。ここでいう「メディア」は、通信や情報伝達の手段というより、複製技術や生産技術に関わる媒体として広くとらえたい。共通の主題領域を、仮に「家庭電化製品」とするが、具体的な素材はそれぞれの主題関心領域から持ち寄ってよいので、演習の開講時に相談することとしたい。特定の領域にしぼって、共通の文献の購読と現象の分析とを試みてみたいとも思う。社会学研究専攻と合同で行う。
ブラスバンドのグローバル・ヒストリー
渡辺 裕 2単位 水2
 軍楽は讃美歌とともに、西洋が世界にその支配を広げてゆく際にその先兵となる役割を果たした音楽である。世界各地には、その落とし子とも言うべき様々なブラスバンドが残されているが、それらは非西洋圏の諸文化の「西洋化」、「近代化」であると同時に、西洋起源のブラスバンドが各地の文化と混交して土俗化した結果でもあり、とても西洋起源とは思われない不思議な雰囲気を醸し出すものも多く、「文化」とは何かについていろいろ考えさせられる。それらのたどってきた歴史や背景をグローバルな形で俯瞰するような研究はようやくはじまったところであるが、この授業では最近の研究を参照しながら、西洋文化と非西洋圏の文化との文化接触を多面的に考察してゆきたい。「ジンタ」から「チンドン屋」へと続く日本におけるこの種の音楽の系譜も、このようなコンテクストに置いてみることによって、日本文化の近代化に関わる隠れた一面を照らし出すものとなるだろう。
音楽とレコード・メディア
渡辺 裕 2単位 水2
 レコードが誕生してから100年以上がたち、残された録音の膨大な蓄積は、もはや「生演奏」とは別の一つの「文化」を形作っていると言って良く、音楽に限られない音の文化の「アーカイヴ」をめぐる問題が騒がしくなっている。それに加えて、近年のデジタル化、ネット配信等の動きは音楽に関わるメディア状況全体を大きく変えはじめ、そのことは音楽自体のあり方にもフィードバックされており、もはや複製メディアの問題を考えることなしに音楽を語ることは不可能になりつつある。このテーマについては、音楽学や美学はもちろんのこと、メディア論、民俗学、技術史等、多様な切り口をもった学際的な研究が求められている。その研究の最先端の状況をみてみることにしたい。

論文指導

論文指導 修士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う。 ※修士2年のみ
論文指導 博士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う。 ※博士課程のみ

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文字資料学コース(文書学・文献学)

特殊研究

江戸を読む
長島 弘明(国文学研究室) 夏冬 4単位 木2
 『雨月物語』『春雨物語』等の作で著名な、江戸時代中期の文人上田秋成の伝記を細かくたどる。文学関係の資料のみならず、様々な種類の同時代および前後の時代の資料を駆使し、正確な編年順の生涯の復元につとめたい。適宜プリントを配付する。
西洋文献学史の諸問題
片山 英男 2単位 金4
 Richard Bentley: Dissertation upon the Epistles of Phalaris (1697) を用いて近代文献学史を展望する。
中世文書の形態論的研究
林 譲(史料編纂所) 2単位 金2
 「花押と筆跡の史料学ーモノをみる・モノからみる」をテーマに、古文書、特に中世武家文書の読解を講義と演習の形式で行う。本年度は、中世文書のうちでも、鎌倉幕府を開いた源頼朝が発給した文書、また、ながらく信濃守護を務めた小笠原氏に伝来した『小笠原文書』などに関する諸問題を小テーマとして設定する。源頼朝文書については、後世に大きな影響を与えているにもかかわらず、また『小笠原文書』については、活字化されているにもかかわらず、必ずしも十分な検討・研究がなされているとは言い難い。特に、その花押や筆跡、また料紙の紙質など、古文書の形態論的研究については未解決の問題が多い。そこで、写真版コピーに基づいた研究を進め、標記の課題の可能性を探ることとしたい。その結果として、古文書を史料として活用する上での基礎的な態度・技法を身につけること、各自の論文の作成に結びつく実践的な研究能力を養成することを目標とする。
漢籍入門
大木 康(東洋文化研究所) 2単位 集中
 中国古典籍の取り扱いに関する総合的な知識を伝える。漢籍目録の原理、並びにその編纂の方法を教える。
ヨーロッパ書物史研究
月村 辰雄 2単位 水5
 今年度は、年鑑(Almanach)について考察する。17世紀以降の年鑑類の総目録であるJohn Grand-Carteret, Les Almanachs francais : Bibliographie-iconographie des almanachs... という基本書誌、およびBibliotheque nationale de Parisのデジタル・サイトGalicaから取得する資料をもとに、年鑑の歴史的発展、年鑑というジャンルの再検討、年鑑の社会的機能等について調査・研究する。

演習

明治期社会経済史史料演習
鈴木 淳(日本史学研究室) 2単位 水2
 史料の読解、批判とそれに基づく実証論文執筆法を修得する。参加者の発表とそれに関する討論を基本とする。各参加者は、基本的に史料の読解、批判を中心とする発表あるいは論文作成の前提となる研究発表を1回を行う。前者では、国立公文書館所蔵の史料をとりあげる。
歌舞伎を読む
古井戸 秀夫 夏冬 4単位 金4
 今年は、郡司正勝著『かぶきー様式と伝承』を読みます。
小学通史
水谷 誠(創価大学) 通年 4単位 木4
 「小学」は中国学の基礎部門の一つです。戴震はこれを轎夫(かごかき)に喩えました。あの「赤い高粱」に出てくるかごかきです。どうも素性の悪そうな人ですね。日本の落語や芝居でも、登場人物は善人ではなさそうです。しかし、その時代においては必須のものであったことは間違いなさそうです。宋版と大事にされる書物で最も多いのが小学書です。どうやら轎夫が時代と共にいなくなって、小学書はその後に残った道の跡といえるでしょう。話題が横にそれますが、昨年、西安と洛陽の古道の跡をうろうろしました。現代の道や鉄道は尾根に沿って一直線に通っていますが、古代の道は谷間に沿ってうねうねと続き、谷を変えるごとに峠を越えます。この峠に関をもうけます。この講義も、上代から清末までの話をしますが、途中道に迷うこともあるかもしれませんし、雨にたたられて逡巡するかもしれません。また、この轎夫が無能であることも大いに考えられます。このことに留意して、轎の中の皆さんが良い景色を見ることができ、しかも目的地にきちんとつけることが目標です。
アーカイブズ学入門
木下直之・渡辺浩一(国文学研究資料館) 2単位 集中
 アーカイブズ学(archival science)とは、過去の古文書から現代の映像・電子記録まで、行政・企業・大学・個人などの記録史料(アーカイブズ資料)を文化情報資源として保存・活用するための専門科学である。本講義では、国際的な研究動向を踏まえつつ、日本のアーカイブズ(文書館・公文書館)やアーキビストのあり方について考えたい。  本講義の履修者は、7月と9月に国文学研究資料館において実施される「アーカイブズ・カレッジ」を受講する必要がある。「アーカイブズ・カレッジ」の案内と受講申込み用紙は文化資源学研究室にあるので、履修希望者は各自で国文学研究資料館に申し込むこと。ただし申込者多数の場合は選考を行うことになっている。選考にもれた場合は自動的に本講義の履修資格を失うので、あらかじめ了承されたい。なお本講義の履修は、文化資源学研究専攻所属の学生に限ることとする。
文書とその社会的役割(1)
中村 雄祐 2単位 月4
 複雑な人工物に囲まれた現代世界、特に先進諸国において、文書はありふれた道具だが、私たちが生きていく上では欠かせない存在となっている。この授業では、一般使用者の視点に立った文書のデザインについて、先行研究を読んだり、私たち自身の文書の使い方を批判的に見直しながら考えていく。いわば、文書を使いながら文書について考えるワークショップである。夏学期は、認知科学や歴史学などの基礎的な研究を学ぶ.夏学期のみの受講も可。
文書とその社会的役割(2)
中村 雄祐 2単位 月4
 複雑な人工物に囲まれた現代世界、特に先進諸国において、文書はありふれた道具だが、私たちが生きていく上では欠かせない存在となっている。この授業では、一般使用者の視点に立った文書のデザインについて、先行研究を読んだり、私たち自身の文書の使い方を批判的に見直しながら考えていく。いわば、文書を使いながら文書について考えるワークショップである。冬学期は、基礎的な研究に加えて開発援助など応用的な研究も取り上げる予定.冬学期のみの受講も可。
近世近代史料調査法入門
吉田 伸之 2単位 集中
 現在も日本各地に厖大に残されている地方(じかた)文書の調査法(現状記録調査法)・研究法の基礎を学ぶ。2003年度以来調査に取り組んでいる長野県下伊那郡清内路(せいないじ)村において、今回は主に土佐屋(原家)文書を素材として調査を実施する。現地に宿泊し、フィールド・ワークとして行う。受講希望者は6月11日までに、日本史学研究室、文学部教務係のいずれかに申し出ること。なお7月14日(水)4限にガイダンスを行う(場所は古文書学特殊講義「近世・近代初期文書を読む」の教室を使う)。参加者は必ず出席のこと。ガイダンスやフィールド・ワーク実施要項の詳細は、5月末に古文書学特殊講義において配布する。また日本史研究室・文化資源学研究室でも配布し、同研究室掲示板と大学院掲示板に掲げる。

論文指導

論文指導 修士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う。 ※修士2年のみ
論文指導 博士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う。 ※博士課程のみ

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参考:文化資源学共通講義(学部向け)

文化資源学入門(1)文化政策概論
小林 真理 2単位 火3
 文化政策は、使われる時代によりその意図する意味合いがかなり異なる言葉です。まずはその理由や意味を十分に考えた上で、戦後日本が文化に対する施策や政策をどのように展開してきたかを知り、現在の課題を明らかにします。
文化資源学入門(2)
木下 直之 2単位 火4
 文化資源学研究室が学部向けに開設する「文化資源学入門2」で、演習形式の授業として開講する。「文化資源学入門1」(夏学期)は小林真理「文化政策概論」を参照。この演習では、文化財保護法が成立する以前に、日本国がどのような理念からどのような保護政策をとり、制度化してきたかについて理解を深める。ついで、現行の文化財保護法が何を引き継ぎ、文化財概念をどのように展開させてきたかを考えるとともに、その限界や問題点を明らかにし、これからの文化財保護と文化資源の開発について考える機会としたい。参加者は開講日までに文化財保護法を読んでおくこと。

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