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平成17(2005)年度 文化資源学講義・演習 

各コース共通科目

特殊研究

日本民俗学史:理論と実践
アラン・クリスティ 夏冬4単位 月3
夏学期は日本民俗学の根源から戦時下の活動まで、その基本的な理論と実際の実践との関係を検討します。中心人物として柳田国男、折口信夫、南方熊楠、渋沢敬三などの業績と学問化の過程におけるその役割を考慮した上で、フィルド・ワークや、学会の創設と経営に脇役を演じた研究家(早川孝太郎、橋浦康夫、伊波普猷、比嘉春潮など)、そして、地方で調査したり、資料を提供したり、民俗学を消費したりしていた人々の役割も考察します。経験と文字、都市と地方、学問批判と新学問創設、研究する主体と研究される主体との関係というような問題を考慮しながら学問における理論と実践の弁証法的な関係を検討します。

冬学期は以上のテーマーを研究し続けながら、戦後日本民俗学の転換点と二世代のリーダーの業績を考察します。特に戦後の政治問題(安保とか天皇制とか戦争の記憶とか)とどう絡まれてきたかを検討します。両期において「沖縄」という研究場の役割を特に注意したいのです。
マネジメント事例研究〜日本海学の構築をめざして
中井徳太郎(東京大学医科学研究所)夏冬4単位火6
日本海を中心に南北を逆転させた「逆さ地図」をモチーフとし、「循環」「共生」「海」の視点から、日本・東アジアが直面する問題に総合的に切り込むべく生まれた「日本海学」。前財務省広報室長・企画調整室長であり、「日本海学」の立ち上げ当初からプロデュースする担当教官の経験も踏まえ、5年前に富山県の取り組みとしてはじまった「日本海学」が産学官との連携を図りつつ、全国区・国際的な取り組みとして認知されていく過程を事例として、文化経営戦略の実践につき考察する。
近代日本の文化政策
木下直之2単位火4
戦後60周年にちなみ、戦後の文化政策について概観する。現代の日本を方向付けた「文化国家」建設のデザインがどのように為されたかを考察する。併せて、戊辰戦争後、日清戦争後、日露戦争後など、いくつかの「戦後」についても論じたい。
展示論2005〜皇居細見
木下直之2単位 火4
昨年の「上野細見」に引き続き、近代において、皇居とその周辺がいかに変貌したかを検証する。重層化されたある土地の記憶を読み解くことに主眼を置く。では、なぜそれが「展示論」なのかということだが、上野が、明治期に、それまでの宗教空間から展示空間へと劇的に変貌したことと似て、皇居周辺もまた、戦後に展示空間へと大きく変質したからだ。国立近代美術館、同工芸館、国立劇場、国立国会図書館、国立公文書館などの文化施設が建設され、ついには皇居はその内部に三の丸尚蔵館という展示公開施設を抱え込むに至った。それらの建設の経緯を手がかりに、この土地の記憶を「細見」する。12月23日には皇居訪問の予定。

演習

文化資源学の原点
木下直之 他夏冬4単位水5-6(隔週)
文化資源学研究専攻の教員全員が参加し、学生の修士論文・博士論文のテーマをもとに毎回議論する。文化資源学として研究を成立させるための起点、すなわち原点を探ることを目的とする。
記憶の空間と物
アラン・クリスティ夏冬4単位火3
記憶は物質的にも空間的にもどう定義し、維持し、語られているのか。世界各地の例を検討して、記憶の場としての博物館や記念館/祈念館や慰霊碑の政治経済学的な、修辞学的な、歴史社会学的な方法で研究します。記憶の場の選択、デザインと経営を考察する上で、その記憶された過去の意味を伝承するための戦略や、見学者の記憶の受け止め方などについて考察します。
文化資源学フォーラムの企画と実践
木下直之・小林真理夏冬2単位火2(隔週)
フォーラムの企画から実践まですべての作業を学生を中心に行う実習であり、文化資源学修士課程1年生の必修とする。4月・5月に企画会議を重ね、フォーラムのテーマと構成を決定し、6月から9月にかけて、テーマに関する理解を深めるための研究会・交渉・広報などの準備を行い、10月か11月に公開フォーラムを開催する。そのあとは報告書にまとめる。
特別演習・美術館における教育研究
幸福輝・寺島洋子(国立西洋美術館)夏/夏冬2/4単位集中
2005年度の教育普及インターンは、基本的に1年を研修期間とし、内容は鑑賞用教材「びじゅつーる」の開発と夏期プログラムの補助となります。連携を考慮して募集の締切を3月11日(金)にしました。

※国立西洋美術館インターンシップのお知らせ
http://www.nmwa.go.jp/jp/html/intern.html
にしたがってあらかじめ応募し、採用された場合に単位として認定する。
応募締切 : 2005年3月11日必着

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文化経営学コース

特殊研究

文化政策論を読む(1)─文化政策の範囲─
小林真理 2単位 火5
文化政策研究の範囲について論じた文献を素材にしながら、我が国における文化政策研究の可能性と、文化政策研究に関するインフラの整備について考察する。

J.Mark Schuster, Informing Cultural Policy, (Center for Urban Policy Research, 2002) などを読む予定。
文化政策論を読む(2)─文化政策の実践─
小林真理 2単位 火5
昨年度同様、 Balancing act: 21 strategic dilemmas in cultural policy (Council of Europe Publishing, 1999) を素材に使いながら、文化政策を現実の世界で実践していくにあたっての問題点や課題について検証する。今年度は、とくに以下のテーマについて深く議論していく予定である。
Culture as the arts or Culture as a way of life, Cultural democracy or Democratisation of Cultre, Prestige or Community, consumpution or production.
ミュージアム・テクノロジー
西野嘉章(総合研究博物館) 夏冬 4単位 木5
平成17年度に総合研究博物館で行われる予定の展覧会(国際共同企画「遊動するオブジェ」(仮称)展、海外巡回「数学大全(仮称)展)、アーカイヴ事業(古写真、明治・大正期史資料)、来館者調査、ミュージアム企画構想のいずれかのプロジェクトに参加し、そこでの具体的な体験を通じて学芸員、文化事業担当者としての専門的なスキルを修得する。それぞれのプロジェクトの活動内容と研究成果は、出版物(図録、報告書、目録など)のかたちで公刊される。初回に各プロジェクトへの振り分けを行うが、希望者多数の場合には人数制限もあり得る。
歴史遺産評価法
早乙女雅博(韓国朝鮮文化研究室) 2単位 火2
人類が生み出した物質資料が、近代社会のなかでどのように保存され研究の対象とされてきたか、また今後どのような価値観のもとに残していくべきかを考える。具体的には「調査法T」で扱った瓦{土専※}をもとに、楽浪郡から朝鮮時代まで幅を広げ、それらが出土した遺跡や時代に対する評価や、それと関連する研究の成果と問題点について考える。 ※「土」へんに「専」
文化遺産の保存と国際協力
稲葉信子(東京文化財研究所) 2単位 集中
国際的な枠組みにおける文化遺産の保存について、建築、都市や文化的景観など不動産文化遺産を中心に、動産文化遺産、無形文化遺産にも視野を広げながら、文化遺産の保存に関する国際的な理念の歴史、国際機関が行う活動から各国間の国際協力による文化遺産の保存の現場まで、今日の動向を展望し考察する。

具体的には、ユネスコ世界遺産条約など文化遺産に関する国際法の運営の仕組み、各種の憲章を通じて保存の理念の構築に貢献してきたイコモスなど国際NGOの活動、各国のODAにより行われる国際協力の現場についての報告を含み、文化遺産の保存の現場が直面する様々な問題、民族間紛争、開発、観光などとの関係について考察する。
市民社会とアートマネジメント
伊藤裕夫(静岡文化芸術大学) 2単位 月4
文化政策は、近代国民国家の成立過程で「国民」形成策の一環として誕生したものであるが、今日ポスト国民国家としての「市民社会」が展望される中でそのあり方が問われている。本講では、こうした市民社会における文化政策のあり方を、文化に関わる当事者たちの自己統治とネットワーク形成を軸とするアートマネジメントにアプローチすることで、これからの文化・芸術と社会の関わりを検討する。

〈授業計画〉
1・文化・芸術と制度
(1)社会的視点から見た文化・芸術(文化への制度論的アプローチ) (2)国民国家と文化政策の登場 (3)近代市民社会と文化・芸術の制度化(2回)
2.市民社会の変容と文化・芸術
(4)第二次大戦後の文化政策 (5)文化政策の転換とアートマネジメントの登場 (6)市民社会の再生とNPO (7)メセナへの関心とその動向(2回) (8)アートNPO(2回) (9)脱制度化のマネジメントに向けて(2回) (10) 市民社会の文化政策

〈教科書・参考書〉
教科書は特にない(毎回、レジュメ・資料を用意する)
参考書:佐藤郁哉『現代演劇のフィールドワーク』(東京大学出版会)、熊倉敬聡『脱芸術/脱資本主義論』(慶應義塾大学出版会)、『なぜ、企業はメセナをするのか?』(企業メセナ協議会)、『社会とアートのえんむすび1996-2000』(ドキュメント2000プロジェクト実行委員会、ほか)
文化政策と文化経営のための経済学
片山泰輔(跡見学園女子大学) 2単位 月4
文化政策あるいは文化経営に取り組むに際して必要となってくる経済学的な考え方について概観するとともに、現実のデータや、これまで内外で行われてきている研究について検討を行う。

(1)マクロ経済の中での芸術文化
マクロ経済の中における芸術文化の位置づけについての理解を深める。生産面からは、文化産業の種類や規模、支出面からは、芸術文化関連の消費、投資(民間、公的)、輸出入等の問題を扱い、さらに雇用や産業連関(経済波及効果)等にも視野を広げたい。
(2)芸術文化における生産者と消費者
芸術文化の市場における企業(芸術家、芸術団体)と、消費者(鑑賞者)の行動についてのミクロ的な把握を試みる。芸術生産における費用の問題、芸術消費における所得弾力性や価格弾力性の問題等を中心に検討したい。
(3)政府と芸術文化
芸術文化に対する公的支援の問題について、その理論的根拠に関する議論等を中心に検討したい。
博物館学 I
太田泰人(神奈川県立近代美術館) 2単位 月5
今回の講義ではまず、ミュージアム、とくに美術館の活動について、蒐集保存、調査研究、展示、教育普及などその基本的な実践と理念を、具体的な経験に基づきながら、検討する。また、それに加えて「社会に生きるミュージアム」という視点から美術館活動の再検討を試み、ミュージアムの経営戦略(使命設定、施設設計、予算構成、人的組織、広報手法、評価形成など)は現実的にどのように形成すべきかを考えたい。
博物館学 II
金山喜昭(法政大学) 2単位 木2
本講義は、これまでの「文化の殿堂」としての博物館から、「まちづくり」としての新しい博物館のあり方を探究する。

(1)博物館とは (2)博物館の分類 (3)博物館学と地域博物館学 (4)地域博物館とは (5)地域博物館のパラダイムの転換 (6)博物館の歴史 (7)地域博物館の歴史 (8)博物館経営論 (9)博物館機能論T (10)博物館機能論U (11)地域博物館と学校の連携・融合 (12)地域博物館のソーシャル・マーケッテング戦略と新しい地域文化づくり (13)海外の博物館事情 (14)見学会 (15)見学会

評価法:出席などの平常点とレポート、試験
教科書:金山喜昭2003『博物館学入門』慶友社
参考図書を随時指定する。

演習

災害と記憶
木下直之・渡辺裕・佐藤健二 夏冬 4単位 木6
阪神淡路大震災10周年にちなみ、災害をテーマに取り上げる。地震・津波・台風・洪水などさまざまな災害が人間と社会に何をもたらし、何がどのように記憶され、そこから何が生まれてくるのかを考える機会とする。これまでにも、文化資源学研究室では、関東大震災の記録映画を通して災害の記憶を考察してきたが、今年度は文化経営学と形態資料学という異なる観点から、多様な「災害と記憶」を広く横断的にとらえたい。
戦後日本の文化政策を検証する
小林真理 夏冬 4単位 木3
戦後、日本において文化政策という概念が行政レベルで導入されたのはそれほど古いことではない。しかしながら、文化に関する行政事務が行われてこなかったわけではない。消極的な、放任的な政策も政策の1つの選択である。文化行政概念から文化政策概念への組み替え、文化政策をめぐる社会的な背景にも注目した上で、戦後の文化政策を徹底検証する作業を行う。

論文指導

論文指導 修士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う。 ※修士2年のみ
論文指導 博士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う 。※博士課程のみ

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形態資料学コース

特殊研究

音の文化と録音資料(1)
渡辺裕 2単位 水2
文字や楽譜などの書かれた資料をベースにした研究の一面性が指摘され、「書かれない文化」を視野に据えた人文学全体の再構築が叫ばれている。そういう中、レコードなどの録音資料の重要性が、音楽のみならず、文化研究全般において指摘されるようになってきているが、その研究はいまだ緒についたばかりであり、その問題点などが認識されないまま、あたかも無色透明な資料であるかのように無批判的に用いられているのが実情である。この授業では、イギリスで編まれた論文集 ”Aural History: Essays on Recorded Sound” (2001)を講読し、音楽の演奏から、放送番組、歴史の語り、鳥の声にいたるまで、音響資料からみえてくる世界とその問題点を概観する。
音の文化と録音資料(2)
渡辺裕 2単位 水2
夏学期に続いて、音響資料の問題と、そこからみえてくる「音の文化」について考える。冬学期は各自の発表とそれに基づくディスカッションを中心とするが、主にレコードというメディアに焦点を絞り、その発明から百年以上の間に蓄積された様々な録音を材料に、可能な限り多様な視点と研究方法をさぐってゆきたい。とりわけ、日本の初期のSPレコードについては、レコード現物や、同時代にレコード会社によって出版されたカタログ、文句集、PR誌などの一次資料に触れることによって、今日のCDなどとは違ったそのあり方を実感してもらい、それらを材料に皆で一緒に考えてゆくような機会を作りたいと思っている。
事物を読む
佐藤健二 2単位 金3
事物(モノ)の誕生・普及・変容・消滅などの生活史を通じて、文化の形態を論ずることにしたい。モノをめぐる人間と自然、人間と人間との関係性の解読は、モノの「外部」に広がるものばかりではない。モノそれ自体もまた、さまざまな技術や制度の複合体である。『明治事物起原』の視線を近代・現代の事物に拡げて、産業文化・複製技術・家庭文化・消費社会のなかの文化の形について考える。社会学と合同の講義形式で行う。
近世の異文化交流とその資料
松井洋子(史料編纂所) 2単位 水3
長崎に来航するオランダ船を通したヨーロッパ及びアジアとの接触は、日本近世の異文化交流の主要なルートの一つである。出島のオランダ商館の文書、日本側に残る絵画や叙述、そして出入りした文物の記録や実物などの資・史料をもとに、近世の異文化交流の多様な具体像を見ていきたい。昨年度の「交流の場―出島と江戸参府」に続き、本年度は、交流の当事者たちに焦点をあて、出島に滞在したオランダ側の商館長や医師等、彼等とかかわった日本側の通詞をはじめとする長崎の地役人、幕府関係者、蘭学者、商人など様々な人々の交流の諸相を取り上げる予定である。資・史料等の現物を見る機会を何度か設けたいので、人数は20名位までとしたい。履修希望者はやむを得ない事情がない限り、初回の授業に出席のこと。
考古資料論
後藤直(考古学研究室) 2単位 木3
考古学資料(遺跡・遺物)から社会をどのように考え復元するかがテーマである。弥生時代とその併行期の朝鮮半島・中国との交渉を示す考古学資料によって、交渉の実態、文物の受容と変容、対外交渉と弥生社会の動向を具体的に考えることをとおして、考古資料の可能性を考える。
聖遺物の力―「芸術の時代」以前におけるイメージへの聖性の転移
秋山聰(東京学芸大学) 2単位 月2
キリスト教美術が元来聖遺物と非常に密接な関係にあったことは、今日往々にして忘れられがちなようです。かつて聖遺物は、その超自然的な力によって、病気や怪我を治癒し、不幸や不運から身を守ってくれるものと信じられ、人々の崇敬を集めていたことは広く知られています。しかしまた、礼拝の基礎となる祭壇に聖遺物を収めることは半ば義務化していましたし、新たな聖遺物の発見や奉遷が、聖堂の新築・改修を促し、修道院や都市に興隆をもたらすこともしばしばでした。こうした聖遺物には、今日の文化財に似て、適度な公開と安全な保管とが求められ、聖遺物容器はこの相反する要請を満たさなければなりませんでした。本講義では、最近諸分野で盛んになってきている聖遺物崇敬についての研究を横目で見ながら、「芸術の時代」以前におけるイメージの歴史的展開をたどり、「美術」が自律性を獲得するに至るプロセスに聖遺物崇敬が与えた影響を考察してゆこうと思います。具体的に取り上げるテーマとしては、「聖遺物と聖画像」、「聖遺物と祭壇」、「聖遺物の奉遷と聖堂」、「聖遺物容器の多様性」、「金細工師と画家」、「聖遺物顕示の儀式と巡礼記念品」、「聖人崇敬から芸術家崇拝へ」などを予定しています。
映画を文化資源化する
とちぎあきら(東京国立近代美術館フィルムセンター) 2単位 月5
映画・映像をめぐるさまざまな学問・研究領域(映画理論、映画批評、映画技術論、映画史、メディア史、文化史など)の結節点としてある「映画の文化資源化」の問題を、主に戦前日本のニュース映画や文化記録映画を素材にしながら、その方法論的可能性を探っていく。諸領域を串刺しにするテーマとして、映画においてカメラの此岸と彼岸双方において動員されるさまざまなまなざし(たとえば、死者に対する生者の、前線に対する銃後の、外国に対する日本のまなざし)の交換を取り上げてみたい。

演習

災害と記憶
木下直之・渡辺裕・佐藤健二 夏冬 4単位 木6
阪神淡路大震災10周年にちなみ、災害をテーマに取り上げる。地震・津波・台風・洪水などさまざまな災害が人間と社会に何をもたらし、何がどのように記憶され、そこから何が生まれてくるのかを考える機会とする。これまでにも、文化資源学研究室では、関東大震災の記録映画を通して災害の記憶を考察してきたが、今年度は文化経営学と形態資料学という異なる観点から、多様な「災害と記憶」を広く横断的にとらえたい。

論文指導

論文指導 修士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う。 ※修士2年のみ
論文指導 博士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う 。※博士課程のみ

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文字資料学コース(文書学・文献学)

特殊研究

明治の教養
片山英男・月村辰雄 2単位 火6
この授業では、いまだ手探りではあるが、「比較教養史」という研究方法が可能であるかどうか、探ってみたい。まず、19世紀後半のヨーロッパの教養がどのように取捨選択され、また変形されて、幕末から明治初期の日本の洋学的教養となるのか。また、明治初期の段階において、洋学、漢学、国学といったそれぞれの教養体系の内容や教育法がどのようなものであるのか、それら異種の教養体系が相互にどのように影響を与えあっていたのか、などの問題を考えてみたい。
江戸を読む(1)
長島弘明 2単位 水2
浮世草子の創始者である井原西鶴の小説を読む。好色物・武家物の作品を概括的に扱うが、主要な作品からは一話ずつを選び、モチーフや創作方法の特色について詳細に考察したい。適宜、参考資料を配布する。
江戸を読む(2)
長島弘明 2単位 水2
夏学期に引き続き、井原西鶴の小説を読む。後期では雑話物・町人物の各ジャンルの作品を扱い、好色物・武家物とはまた違った小説の方法について考えたい。適宜、参考資料を配布する。
文書学を考える
近藤成一(史料編纂所) 夏冬 4単位 金4
「文書学」は、一方では歴史認識のための方法論と考えられており、他方では文書管理のための方法論と考えられている。ここでいう「文書学」とはその両方の問題意識を踏まえて「もの」としての古文書を研究対象とするものであり、そのような学としての「文書学」がどのような内容を持つべきであるかを創造的に考察するのがここでの課題である・・・と偉そうに書きましたが、この授業は様々な動機から古文書を使おうとしている皆さんのニーズにこたえようとするものです。古文書なんて読んだことないから読めるようになりたいという人も大歓迎ですし、「文書学」の方法論を本気で考えようという人がいれば、これまた大歓迎です。ただし専門を異にする多様な参加者が予想されるので、自分の専門領域とテーマを他の参加者にわかりやすく説明する努力と、他の参加者のそれを理解しようとする努力を求めます。授業内容としては、(1)「文書学を考える」というテーマにもとづく私の問題提起をめぐる討論、(2)参加者各自の問題関心にもとづく発表、(3)史料編纂所架蔵古文書原本を材料とする演習を組み合わせて行うことになると思います。
漢籍入門
大木康(東洋文化研究所) 2単位 集中
中国古典籍の取り扱いに関する総合的な知識を伝える。
(1)「中国版本目録学概説」(2)「四部分類について」(3)「漢籍目録法実習(カードの取り方)」(4)「朝鮮本について」(5)「電脳漢字処理について」の講義及び実習(講師の都合により若干の順序の入れ替わりあり)
6月20日(月)から24日(金)までの集中講義(場所は東洋文化研究所3階大会議室)。実習の準備の都合上、受講希望者は、履修届とは別に6月10日(金)までに文化資源学研究室まで申し出ること(先着10名を限度とする)。
中国古代の金文(青銅器銘文)を読む
大西克也 2単位 金5
中国西周時代(紀元前11世紀〜紀元前8世紀)に作成された青銅器銘文(金文)を取り上げ、器、文字、言葉などについて基本的な知識を概説した後、金文を現代の漢字に置き換えて、文章として読む訓練を行なう。テキスト、参考書は講義の中で紹介する。
幕末外交史料論
保谷徹(史料編纂所) 2単位 水4
19世紀半ばに「開国」した日本は、世界資本主義市場へ強制的に編入されるとともに、近代的な外交関係の構築を迫られた。講義では、1)欧米やロシア、東アジアの史料保存機関(文書館)の役割や所蔵史料の構造などについてふれ、2)彼我の外交文書の様式や外務省史料の構造を比較検討する。さらに、3)尊王攘夷運動に揺れる1860年代前半を中心に、国内史料のみならず、海外の文書館に所在する日本関係史料から幕末の諸事件を分析する。史料編纂所が所蔵する幕末期の外交史料群(旧外国奉行所史料など)や最近の調査によって明らかになった外国語史料、画像史料などを随時紹介してみたい。
日本古典籍の書誌学
落合博志(国文学研究資料館) 2単位 月4
この講義で対象とするのは、江戸時代までに日本で製作された書物、すなわち日本古典籍である。書誌学は書物という〈物〉に即した学問であり、一つ一つの資料について、形状、書写または印刷の年代、伝来や流通の経路などの事項を正確に把握することがその基礎となる。個々の資料から得られるそれらのデータを総合し体系化することにより「書物の学」としての書誌学が構築されるが、その際にはどのような点が問題となるであろうか。書誌調査の実習を交えながら、日本古典籍の書誌学の方法を学ぶとともに、今後のあるべき方向について考えて行きたい。
近世都市と情報
渡辺浩一(国文学研究資料館) 2単位 金6
日本の近世都市を対象として、情報の伝達・蓄積や情報蓄積の展開形態として「記憶」について論じる。あわせて、日本の特質をより明確にする手段として、イングランド近世都市をも比較の対象としてとりあげる。

より具体的には、情報伝達に関しては、特に法令をとりあげ、伝達媒体・方式の多様性と変化を取りあげる予定である。手書き文字という媒体では、掲示(高札など)と回覧(廻状)がある。印刷媒体では、18世紀末からは木版刷りのものが時折出現するようになり、明治初年に至って活字印刷が導入される

情報蓄積に関しては、町奉行所や町会所での文書保管の問題を検討する。

「記憶」に関しては、保管された文書と歴史叙述との関係を、「記憶」を継承する実践との関わりで議論する。

演習

明治の演説
片山英男・月村辰雄 2単位 火6
明治の演説史の諸問題を、各種の演説マニュアルや演説集を中心とした資料を用いて検討する。明治初期を扱った前年度の成果を踏まえて、今年度は明治20年代以降の演説を考える。
明治期社会経済史史料演習
鈴木淳(日本史学研究室) 2単位 水2
基本的に毎回一人が明治・大正期についての研究発表を行い、それをめぐって議論する。日本史学と合同。発表は史料に基づくことが原則であり、発表者は前回(発表1週間前まで)に基本史料1点以上と発表の梗概800字を参加者に配布する。基本史料は、原史料の複写でも、活字史料あるいは史料に基づいて作成した表でもかまわない。
近世近代史料調査法入門
吉田伸之(日本史学研究室) 2単位 集中(9月13日〜16日)
現在も日本各地に厖大に残されている地方(じかた)文書の調査法(現状記録調査法)・研究法の基礎を学ぶ。今年度は、2003年度以来取り組んでいる長野県下伊那郡村下区区有文書の第3回調査を実施する。現地に宿泊し、フィールド・ワークとして行う。受講希望者は6月17日までに、文化資源学研究室、日本史学研究室、大学院係のいずれかに申し出ること。参加者が30人を超えると、制限する場合がある。なお7月14日(木)4限にガイダンスを行う(場所は文学部・古文書学特殊講義「近世・近代初期文書を読む」の教室を使う)。参加者は必ず出席のこと。ガイダンスやフィールド・ワーク実施要項の詳細は、5月末に古文書学特殊講義において配布する。また文化資源学研究室でも配布し、同研究室掲示板と大学院掲示板に掲げる。
アーカイブズ学入門
木下直之・渡辺浩一 4単位 集中
アーカイブズ学(archival science)とは、過去の古文書から現代の映像・電子記録まで、行政・企業・大学・個人などの記録史料(アーカイブズ資料)を文化情報資源として保存・活用するための専門科学である。本講義では、国際的な研究動向を踏まえつつ、日本のアーカイブズ(文書館・公文書館)やアーキビストのあり方について考えたい。 本講義の履修者は、講義の一部として、7月と9月に国文学研究資料館において実施される「アーカイブズ・カレッジ」(計6科目)のうち、「アーカイブズ総論」(7月5日〜9日)を含む2科目以上を受講する必要がある。「アーカイブズ・カレッジ」の案内と受講申込み用紙は文化資源学研究室にあるので、履修希望者は各自で国文学研究資料館に申し込むこと。ただし申込者多数の場合は選考を行うことになっている。選考にもれた場合は自動的に本講義の履修資格を失うので、あらかじめ了承されたい。なお本講義の履修は、文化資源学研究専攻所属の学生で、過去に本講義を受講したことがない者に限ることとする。

論文指導

論文指導 修士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う。 ※修士2年のみ
論文指導 博士論文指導
各教員 夏冬 2単位 月1(隔週)
それぞれの指導教員により適宜個別的な論文指導を行う 。※博士課程のみ

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参考:文化資源学共通講義(文学部)

文化資源学入門(1)文化政策概論
小林真理2単位木4
歴史的に芸術が社会の中で存在していくためには、様々な支援者が存在していた。本講義においては、現代における芸術を支えるシステムがどのように構築されてきたか、また現在どのように危機にさらされているかを明らかにする。

教科書:伊藤裕夫、小林真理他『アーツマネジメント概論』(水曜社、2000年)
文化資源学入門(2)文化財保護の諸問題
木下直之2単位木4
文化資源学研究室が学部向けに開設する「文化資源学入門(2)」で、演習形式の授業として開講する。「文化資源学入門(1)」(夏学期)は小林真理「文化政策概論」を参照。この演習では、文化財保護法が成立する以前に、日本国がどのような理念からどのような保護政策をとり、制度化してきたかについて理解を深める。文化財保護法が何を引き継いでおり、その限界や問題点がどこにあるかを明らかにし、これからの文化財保護と文化資源開発について考える機会としたい。募集定員は20人程度とする。

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