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研究の目的 (1)第二次大戦後、発展途上国の経済発展が世界的関心の対象になったが、それは先進国からそれらの地域への資金・技術の支援による、開発論や援助論が中心であった。しかし両世界の間での南北問題という格差は是正されず、世界的分業体制の確立や途上国の慢性的累積債務などが一般的課題になるとともに、今日では、低開発性の問題を単に量的差異とする認識や西欧的な単線型発展論に疑問が提示されるようになった。イスラーム地域は石油や天然ガスの主要資源国であるため、直接に世界経済に大きな影響を与えている。またムスリムの移民や出稼をとおして形成される独自なネットワークによる金融や労働力の移動も無視できないことは周知の通りである。この世界経済の動向 とイスラーム地域との関係を明らかにすることが第一の研究目的である。 (2)経済開発は市場原理を優先したために、国家と個人との中間にある社会の在り方(運動や組織、共同体)は無視され、人と自然との共生が軽視されてきた。人間関係の疎遠化という近代性の病理や環境破壊、地域紛争の原因も経済開発と密接に関わっている。第二の目的は、経済優位の開発への反省から推進されている社会開発の現状と課題を検証し、イスラーム復興運動などに見られる新しい「共同性の秩序」形成の試みを解明することである。 (3)21世紀は、経済、社会、文化の面でグローバル化が進行し、家庭や地域の中にまで世界的な情報ネットワークが及ぶ時代になろう。そこでの地域社会や国際関係のあり方が欧米や日本の主導下にあるか、どうかは不透明である。第三の目的は、世界の研究動向を多角的に分析し、新しい「地域像と国際社会」の在り方をイスラーム文明の視点(歴史と現状の両面)から検討することである。
研究班2「イスラームの社会と経済」では、中心的研究テーマとして、社会開発、経済開発、研究動向分析、の三つの柱を立て、それぞれグループ(A,B,C)を組織して研究を推進する。
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