発刊:2017年3月31日
2016年度上廣死生学・応用倫理講座の研究成果の社会還元ないし社会貢献に該当する活動をここに報告する。
《医療・介護従事者のための死生学》基礎コースは、東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センターを実施母体とし、同センター上廣死生学・応用倫理講座が担当して行った。加えて、前年度に引き続き同センターの池澤優センター長(兼担)、堀江准教授、そして上廣講座の榊原哲也責任教授(兼担)に協力教員として参加していただき、活動を進めた。
具体的には、本コースの初心者を対象とするものとして〈夏季セミナー〉(8月3日)を、〈冬季セミナー〉として「第1回関西臨床倫理セミナー」(12月18日 大阪)を行った。
加えて、上廣講座主催により、シンポジウム・清水哲郎教授最終講義「 臨床倫理の明日を拓く ― 本人・家族とともに考える臨床倫理 ―」(3月4日 安田講堂)を開催し、1000人に迫る参加者を得た。これは本コースの科目としても単位を認定するものである。
この他、本コースの科目ともなるものとして、本講座主催による「ジョナサン・ピュー氏 公開講演会」(8月25日)、および「有賀徹氏特別公開講演会」(8月27日)を開催した。
今年度、本コースを修了された方は6名である。清水特任教授(年度末に退職)が在職中にレポートを出したいということで頑張っていただいた。それぞれの臨床現場における経験を基礎にしたレポートが多く、臨床に沿った死生学を志す本コースの趣旨に適っており、大変好ましい結果となった。
次に上廣講座の主要な研究活動は《臨床倫理プロジェクト》であり、講座の教員が全国各地に赴き、地域の医療・介護従事者と協働して活動しており、以下に挙げるものは研究成果を臨床現場に還元すると共に、成果の有効性を確認する研究でもある。まず、〈臨床倫理セミナー〉は、講義とそれに基づいて行う事例検討から構成されるが、本年度は都市名で数え挙げれば、札幌(2回)、諏訪、仙台、金沢、鹿屋、東温(愛媛)、大阪、佐久、久留米と、上述の大阪における冬季セミナーを加えれば計11回開催したことになる。
回を重ねるようになった地域では、講義の時間に入門者向けのベーシック・コースとリピーター向けのアドバンスト・コースを平行して行うようになり(札幌、仙台、金沢、東温、大阪)、さらに札幌と大阪では臨床倫理の活動を各臨床現場で活発にするよう働くファシリテーター養成コースも回を重ねつつある。
以上のような各活動について、概要をここに報告する。
清水哲郎 記(上廣死生学・応用倫理講座特任教授(2017年3月まで)/リカレント教育担当)