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文化資源学フォーラム
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文化資源学フォーラム2004「文化経営を考える~オーケストラの改革・ミュージアムの未来」
2004年11月20日(土)13:30-17:30 *募集終了
  • 会場:東京大学法文2号館2階1番大教室
  • 主催:文化資源学会、東京大学文化資源学研究室
  • 協力:美術史学会、日本オーケストラ連盟
  • 構成:
  • 第1部:オーケストラの改革(13:30-14:50)
  • 〈パネリスト〉
  • 佐藤光明(札幌交響楽団前専務理事)
  • 荒木均(札幌交響楽団チェロ奏者)
  • 小林真理(東京大学助教授)
  • 第2部:ミュージアムの未来(15:05-16:15)
  • 〈パネリスト〉
  • 深川雅文(川崎市市民ミュージアム)
  • 加藤種男(横浜市芸術文化振興財団専務理事)
  • 太田泰人(神奈川県立近代美術館普及課長)
  • 総合討議(16:30-17:30)


【開催趣旨】
オーケストラとミュージアムは、ジャンルこそ違うものの、ともに芸術の発展に貢献することを社会的な使命としてきました。ところが、近年の社会変化に伴い、これまでのような運営が継続できない状況が生まれています。その運営を問い返す議論が盛んに行われ、さらに、必要性や存在意義そのものを問う議論も展開しています。

このフォーラムは、オーケストラもミュージアムも、ともに継続的な運営によってこそ使命を果たすことができるという観点から、その持続性を担保する方策を探ろうとするものです。そのために、オーケストラの経営悪化を改革によって乗り切った札幌交響楽団と、ミュージアムの新しいあり方を模索する改革途上の美術館を取り上げ、共有する問題を探り、文化経営の可能性について考える場とします。

第一部では、札幌交響楽団の経営改革の具体的な内容と、楽団員がそれをどう受け止めどう行動したかについて、改革の当事者おふたりに語っていただきます。さらに、オーケストラ業界全体の現状分析を踏まえて、札幌交響楽団の事例から何が一般化できるかを探ります。

第二部では、経営改革に直面する川崎市市民ミュージアム、PFI事業の導入成果が注目される神奈川県立近代美術館、文化行政の改革を構想する横浜市芸術文化振興財団のそれぞれの取り組みについて、現場の視点から現状を分析していただきます。そして、ミュージアム経営の理想と現実の折衝点を探ります。

音楽と美術の経営問題は、これまで個々に議論が進められてきました。今回、互いの問題を認識しあう場を設けたのは、ジャンルを越えた意識の拡大が、かならず状況の理解を促進すると考えるからです。双方から多数のご参加をいただき、新たな人的交流の機会としてくだされば幸いです。
【報告】
                         フォーラムは100名以上の観客を集め、にぎやかに行われました。第一部では、札幌交響楽団の経営改革に取り組んだ佐藤氏と、それを受け止め実践した荒木氏が続けて報告しました。じっさいに行われた改革の具体的なすがたはもちろん、経営側と楽団員のあいだでどのような対話がなされ、どのように合意が形成されていったのかがかなり突っ込んで紹介され、会場の多くを占めた美術館関係者にとって新鮮な事例に映ったようです。市民との交流の実例も提示され、たんなる一成功例にとどまらない、多くの示唆を聞き手に与えました。また、日本におけるオーケストラ経営の歴史と現状について、小林氏より報告が行われました。

第二部では、文化エリアとしての横浜の再構築デザインについて加藤氏が、PFI事業の導入成果とその具体的な問題点について太田氏がそれぞれ論じました。また、マスコミが「民間なら倒産」と批判した川崎市市民ミュージアムについて、深川氏は学芸員の立場からどのように問題解決を構想していったかを、豊富な実例を交えながら説明しました。いずれも、美術館経営問題の最前線に身をおく方々であり、その切実な声と興味深い事例紹介は、聞き手に強い印象を残しました。

最後にすべてのパネリストが登壇し、休憩時間中に観客から募った質問用紙をベースに、1時間の討議を行いました。オーケストラとミュージアムという、同分野にして異業種のふたつが明確に並列された今回のフォーラムは、かならずしも具体的な提案にいたったとは言えないものの、視野の拡大と、論点の相対化に少なくない効果を生んだように思います。とにかく事例が豊かで面白く、まさに、盛りだくさんの会となりました。

なおこのフォーラムの記録は、文化資源学会の論誌『文化資源学』第3号(2005年7月販売開始)に掲載される予定です。


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