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2020年12月6日(日)13:00〜15:00(開場 12:45) | ||||
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【開催趣旨】
2020年に入り、新型コロナウィルス感染症が拡大、流行している。この捉え難い未知の伝染病(疫病)に対し、日本国内では、人々に不安が広がるのと軌を一にして「アマビエ」という、それまで殆ど知られていなかった妖怪の一種が脚光を浴びた。アマビエは、その図像によって瞬く間にインターネット上を中心に拡がって認知され、変容していった。厚生労働省の啓発動画に採用され、グッズや菓子などの様々な商品に展開されて、多くの人々が知るものとなり、社会の多様な場面で利用されるようになったのである。新型コロナウィルス感染拡大防止対策が図られ、生活様式に変革を迫られる中で短期間に拡散したアマビエを取り巻く様相を、ここでは「アマビエ現象」と呼ぶ。本フォーラムは、アマビエ現象に着目し、これをトピックとして採りあげる。
疫病退散にまつわる説話や神としては、蘇民将来、鍾馗、また流行神に疱瘡神などがあった。アマビエは、もともとアマビコという予言獣で、江戸時代後期に肥後国(現・熊本県)の海に現れて、疫病が流行したら自身の姿を描き写した絵を人々に見せれば除災できると予言したとされる、人々にとっての非組織的な信仰対象であった。明治時代の1882年、コレラ流行時にも、その絵図が話題になったと言われる。
2020年によみがえったアマビエは、当初、コロナ禍での疫病退散の意味において受け入れられたと考えられる。アマビエは肥後国に出現したと伝承されるが、特定の地域に根差す信仰対象ではなかった。そして、京都大学付属図書館所蔵の「肥後国海中の怪(アマビエの図)」に表されたオープンソースとなる図像があったことも、アマビエ拡散を促す要因であったろう。拡散のスピードと様態には、インターネット、SNSの機能と浸透が欠かせないが、妖怪の図像定着に貢献した漫画家・水木しげるによるアマビエの絵があったこともあり、アマビエの図を変容させることが肯定的に受け止められたことも、次々に新しいアマビエ像が生み出されたことと無縁ではないのではないか。インターネット、メディアを介して拡散され、その表象を変化させたアマビエは、もはや疫病退散という文脈を超え、商標登録の動きも見られる。一つの愛らしいキャラクターとして認識されつつある。
即ちアマビエ現象におけるアマビエは、疫病退散の信仰の類型としてではなく、今日の社会のありようを映し出す資料、つまりは文化資源としての利用が広まっていると考えられる。
そこで本フォーラムは、以下の構成でアマビエ現象の分析と考察を加える場として開催するものである。
なお、今回は新型コロナウィルス感染拡大防止対策に照らして、オンライン方式での開催とする。第20回を迎える記念すべき節目の年に、オンラインでの利点を活かした新たなフォーラムの在り方の提示に結び付くことを期したい。
【プログラム】
12:45 開場
13:00 開会挨拶、企画趣旨説明
13:10 市川寛也氏講演「文化資源としてのアマビエ -妖怪文化の現代的活用の視点から」
13:40 休憩
13:50 学生による研究発表 「インターネットに始まる拡散と表象の変化」
14:05 休憩(兼質問受付)
14:15 ディスカッション
14:40 閉会挨拶
【 登壇者プロフィール
市川寛也(いちかわ ひろや) |
【お問い合わせ】
第20回文化資源学フォーラム事務局
東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究室内
Email:bunkashigenforum.2020@gmail.com