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文化資源学研究専攻で学んでいる現役の社会人学生の声をお届けします。

▼菅野幸子さん
 文化経営学専門分野・修士課程|独立行政法人国際交流基金 情報センター

— 再び大学で文化資源学を学ぼうと思った動機を教えて下さい。

これまで文化や芸術に近い仕事を続けてくることができていましたが、個人的には内包するパワーはすごいと信じてはいても、日本の社会全体的にはなかなか受け入れられていない、根付いていない現実に往々に直面していました。また、仕事の合間になんとなく各国の文化政策を少しずつ調べていてもいたのですが、仕事をしているとどうしても中途半端にしかならないというジレンマを抱えていました。 そこで、一念発起して、大学院という場と時間が決まっている枠組みの中で集中して研究してみようと思った次第です。

— 大学ではどのような研究をされているのですか?

芸術とは何かという根本的な問いを抱えてはいますが、政策や制度面から捉えようと思うと、やはり他国の事例なりを研究する必要があると思います。英国では、ブレア政権以降、ある意味、戦略的に文化政策を推進しているように思われますので、その経緯や背景を改めて検証してみたいと思っています。また、英国の文化政策はさまざまな人々によって検証されてきているかとは思いますが、自分なりの切り口で検証してみたいということもあります。

— 大学での研究がどのように職場の仕事に生かされていますか?

文化交流の仕事ですので、直接的すぐに生きるというより、やはり仕事を遂行する上で、自分にとっては研究することは大きなバックボーンとなっていると思います。

ー 職場と大学の「二足のわらじ」でご苦労されることは?

やはり、本職の仕事が忙しくなるとなかなか大学に行く時間が取れないことです。さまざまな分野での優れた教授陣や講師がおられますが、最低限の受講しかできないのは残念です。 でも、大学院側では社会人学生に配慮して、フルタイムの学生を1名アシストとし て(正式名称は忘れてしまいました・・・)指名してくれて(対価も支払ってくれています)、講義にでられなかったりした場合にはレジメや情報を届けてくれるなどいろいろ配慮していただいています。
それから、介護や社会人などやはり2年だけでは履修できない場合を配慮して、「長期履修制度」が昨年度から適用されるようになり、私はその恩恵を受けています。

ー 今後の抱負や夢をお聞かせ下さい。

当面の目標は、自分の問いに対する回答としての修論を書きあげることですね。とても現実的ですが 。しかしながら、研究を通じてさまざまな方々にも出会えるのでそれは研究することの醍醐味の一つだと思います。
それから、世界中の美術館やギャラリー、アートスペースを巡りたいというのが夢です。これまで会ったことのない作品を見てみたいので。

ー ありがとうございました。

▼藤元尚樹(仮名)さん
 文書学専門分野・博士課程|勤務先非公開

— 再び大学で文化資源学を学ぼうと思った動機を教えて下さい。

ちょっとひねた、お答えかもしれへんけど、その「文化資源学」って何ですのん?(笑)文化資源学研究専攻のスタートと同時に入れてもろたんですけど、多かれ少なかれ、関係者はみな「なんじゃそりゃ?」と手探りしてはったと思いますわ。自分の興味のある田圃(フィールド)に、文化資源学という水を引っぱって、ほれほれと言い通せたかどうかが問題やったんかも(笑)。せやから、なぜ「文化資源学」って問われても……というとこですな。 普通にディシプリンの確立された研究室が、採ってくれはるんやったら、そっちでかまへんかったんですけど(笑)、ちゃんとしたとこは、得体の知れん学生は門前払いですわな。その点、文化資源学は自分とこも得体が知れんからと、相当、うさん臭い学生を、がまんして拾ってくれはったと思います。 学部生の時は、先生の有り難みなんぞ、それこそ猫に小判で、全然わからんまま、ぼーっとしとるうちに卒業したもんで、正直言うて、特定の先生の教えが受けられる云々やなくて、院生になれば大学図書館にある資料が使えるやろ、というのが実際の志望動機でしたわ。ここは、モノに執着して、そこからスタートしとるとこが「文化資源学」的やったと無理矢理言い通しておきまひょか。

— 大学ではどのような研究をされているのですか?

元々、興味があったんは明治時代の翻訳文化で、創作扱いされとる小説でも、調べてみたら元ネタがあったり、とてつもなく珍妙な翻案小説がそこここにあるもんで、なんやこれ? けったいやなあ、と。 この奇妙な文化状況はいったい何やろ、ということで、ともかくとっかかりとして、西洋の学問を輸入するメイン・ルートとなった東京大学、その前身の大学南校の成り立ちの解明から始めようと思って、あちこちほじくりかえしてます。

— 大学での研究がどのように職場の仕事に生かされていますか?

いや、今のところ仕事にはほとんど何も生かせてませんなあ。そのうち異動で、「文化資源学」を生かせるポジションに動くこともあるんやないかと思いますけど、今のとこは、ときたま職場に無い資料を大学で補ったりとか、その程度ですわ。ま、あとは、優秀な学生さんが、あんなヤツにまかせとけん、私が就職して、あそこを良くしてやろうと、うちの職場を志望して下さっとる事例が、なくはなさそうなんで、反面教師ということで役にたっとるんかな。

— 職場と大学の「二足のわらじ」でご苦労されることは?

残念ながら事実上は「一足のわらじ」ですわ。有給の範囲でピンポイントで講義に出て職場へとんぼ返り、という形なんで、自分が学生であるという実感はほとんどおまへん。博士課程まで置いてもろたおかけで累計滞在時間数がのびて、最近ようやっと、ひょっとすると学生のような気も……、程度には感じられるようになってきましたけど、そんぐらいですわ。いくら面白そうな講義があっても出らへんことのほうが多くて、そこが辛いですわな。 まあ、両立のためには、周りに気を使うばっかりやなくて、気を使わせるように仕向けられるかどうかがポイントやろと思いますけど。もっとも、気、使こてもろても、物理的に何の足しにもならへんということの方が多いんですけど。

— 今後の抱負や夢をお聞かせ下さい。

大学南校(東京大学の前身の一部)では貢進生制度というのを実施して、各藩から選抜された学生を集めるということがありました。これに関しては唐沢富太郎という方が本をお書きになってはります。先駆的な研究とはいえ今日の目で見るとアラもかなりあるんですけど、貢進生といえば唐沢本を参照して事足れりとしている事例がとても多いんですわ。気づかなければそれまでということなんでしょうけど、不備があることを知った以上は、ちゃんと形にして捩れを解消しとかんと、とは思とるんですけど。 あとは、当時の資料を調べていて、ソラキチ・マツダとか、櫛引弓人とか、非常に興味深い人物に何人か行き当たっとるんですが、そうした人物について現在かろうじて流布している情報が同時代資料を見ると、かなり歪んでることがわかるんで、そこいらをきちんと調べ直した評伝を出せたらええなあと、思てます。

ー ありがとうございました。

東京大学大学院人文社会系研究科 文化資源学研究室|All rights are reserved. (c)2000-2008.