研究室について

村上研究室では2005年度に大学院総合文化研究科において研究室発足後、研究室メンバー各自が精力的に研究活動を展開し、2013年度からは大学院人文社会系研究科にて活動を行っています。これまでの主な受賞歴には、日本学術振興会育志賞1件、APCV学会 Student Award 1件、Vision Research Top Reviewer Award 1件、日本心理学会国際賞奨励賞1件、日本基礎心理学会優秀発表賞9件、日本視覚学会ベストプレゼンテーション賞16件、日本基礎心理学会 The Young Psychonomic Scientist of the Year 1件、学内顕彰多数、があります。

村上研究室では研究活動の内容や成果を社会・国民に対して分かりやすく説明するさまざまなアウトリーチ活動を積極的に実施し、「日本基礎心理学会公開シンポジウム」、「三鷹市民と三鷹国際学生宿舎生との集い」、「五月祭」、「高校生のための東京大学オープンキャンパス」、「ひらめき☆ときめきサイエンス」、「丸の内キッズフェスタ」、「日産科学振興財団認知科学シンポジウム」、「東京大学公開講座」、「駒場祭」、「高校生のための金曜特別講座」、「東大の研究室をのぞいてみよう!」、学内談話会多数、などに出展・出講しています。

本研究室では私たち人間の視覚の脳内メカニズムを解明する実証的研究を行っています。 視覚情報処理の入力段階はいうまでもなく眼の網膜投影像ですが、私たちは網膜像そのものを意識にのぼらせているわけではありません。 大脳に送られた網膜像情報その他の生体信号が、互いに影響を与え合いながら複雑な多段階の処理を経ることにより、生活環境に適応して体制化された視覚世界が実現されるのです。

視覚の脳内メカニズムを理解するためのさまざまな実験的アプローチのうち、本研究室では主として視覚健常被験者を用いた心理物理学 (精神物理学) 的測定法を用いています。 特定の視覚刺激を観察したときにどのような知覚が生じるかを被験者に報告させ、刺激と反応との関数関係を記述していくことで、脳活動を直接計測することなしに脳内情報処理のありかたを明らかにすることができます。 どのような視覚刺激を与えるかというところに研究者のセンスが問われ、視覚神経系の挙動に揺さぶりをかける面白い刺激 (錯覚図形など) を考案できれば、それが研究上の重要なツールとなります。 画像呈示用のコンピューター1台 (と被験者) だけで実験ができるのが本研究分野の強みです。 その他、専用装置を用いて眼球運動や身体運動などの生体計測を行い、視知覚におよぼすそれら変量の影響をみることもできます。

村上個人の現在の主な関心領域は、 1. 動いている視対象を認識する運動視知覚のメカニズム解明、 2. 欠損情報を補って完結した視覚世界を実現する補完・充填のメカニズム解明、 3. 大小さまざまなタイプの眼球運動と視覚定位との関係の解明です。 (しかしながら、本研究室に参加希望の方はこれらを参考程度に思っておいてください。 学生自身が主体的に研究計画を立案し実行するスタイルをできるだけ奨励したいと思います。) 積極的・自律的に行動できる学生・研究員の参画を期待します。

本研究室の名称「視覚研究室」は暫定的なものにすぎません。 上に掲げたような、視覚情報処理メカニズムの心理物理学的解明にまつわる狭い学問領域に閉じず、「視覚」をキーワードにもつさまざまな研究分野において本研究室が学問的展開をしていけたらと願っています。

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郵便物宛先

〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学 大学院人文社会系研究科 心理学研究室 村上研究室
Eメール:ikuya@l.u-tokyo.ac.jp