発刊:2019年3月31日
2018 年度上廣死生学・応用倫理講座の研究成果の社会還元ないし社会貢献に該当する活 動をここに報告する。今年度は当講座第三期(2017 〜 2021 年度)の2 年目にあたる。
《医療・介護従事者のための死生学》基礎コースは、東京大学大学院人文社会系研究科 死生学・応用倫理センターを実施母体とし、同センター上廣死生学・応用倫理講座が担当 して行った。加えて、前期に引き続き同センターの池澤優センター長(兼担)、堀江宗正 准教授、そして上廣講座総括監督者である榊原哲也教授(兼担)に協力教員として参画し ていただき、活動を進めた。
同基礎コースの中核の研修は夏季セミナー、冬季セミナー、春季セミナーおよび「臨床死生学・倫理学研究会」である。夏季セミナーは2018 年8 月19日(日)に東京大学にて実施し、同コースの担当教員が死生学と臨床死生学のコア講義および死生学と臨床死生学のトピック講義を行い、また、参加者に学んで頂いたことを活かして頂くために、事例検討のグループワークを行い、全体会でワークの成果を共有し、さらに全体でのディスカッションで理解を深めて頂いた。夏季セミナーにおける事例検討は今回が2 回目であった。
参加者は医療・介護に関わる多職種に従事する専門職者を中心に約200 名であった。
12 月16 日(日)には大阪市立総合医療センターにて冬季セミナーを開催した。同セミナーは臨床倫理セミナーであり、医療・ケアに関するよりよい意思決定支援のため、まず、臨床倫理と事例検討法の講義を聴いていただき、グループワークにて事例検討を行い、その成果を全体会で共有して頂いた。冬季のセミナーでは、約140 名の医療・介護従事者にご参加頂いた。
また、春季セミナーとして、2018 年3 月24日(日)に東京大学キャンパス内の伊藤謝恩ホールにて、「非がん疾患の緩和ケアとACP の役割 ―よりよい高齢者医療とケアを目指して」シンポジウムを開催し、心不全と呼吸不全の領域における緩和ケアの充実とACP の実施による人生の最終段階における意思決定支援について、全国から参加した約500名の医療・介護従事者および市民とともに考えを深めた。
さらに、同基礎コースの一環として、東京大学にて「臨床死生学・倫理学研究会」を10回開催し、延べ約1,000 名の参加者とともに死生の諸課題について討論した。
上記に並び、上廣講座の主要な研究・実践活動に《臨床倫理セミナー》がある。同セミナーでは本講座の教員が全国各地に赴き、臨床倫理の基本と事例検討法に関する講義を行い、事例検討の成果を共有しあうなど、各地域の医療・介護従事者と協働しつつ臨床倫理的な医療・ケア文化の醸成に努めている。今年度は、旭川、札幌、盛岡、仙台、諏訪、佐久、金沢、大阪(3 回)、東温、久留米で開催し、全国で延べ約2,350 名にご参加頂いた。
以上の各活動と関連する諸活動について、概要をここに報告する。
会田薫子 記(上廣死生学・応用倫理講座 特任教授 / リカレント教育担当)