月別アーカイブ: 3月 2015

修士課程院生1年Lさんの場合

中国語中国文学研究室は、とてもい心地いい場所です。私は去年四月に入学してから、ずっとお世話になって来ました。 古典中国語が専門の私にとっては、中文研究室の辞書はとても便利に使えます。『説文解字』から『漢語大字典』『大詞典』まで、古典中国語の辞書は全て揃っているとは言えないが、勉強に随分役立ちます。また、古文字に関する雑誌も何種類もあって、参考書も何時でも好きに利用できます。これまでの資料ではまだ足りないと言っても、漢籍がいっぱい揃っている漢籍コーナーは至近距離にあります。オンラインデータベースも、研究室のパソコンで簡単に使えます。忙しくてご飯を食べる余裕もない時、補佐員さんはコーヒーを入れてくれて、サンドイッチをくれました。レポートを出そうとしている時も、発表寸前で必死にしていた時も、研究室はいつでも最大のサポートをくれました。 夏にも冬にも、時々暇潰しに研究室に来ます。外は暑くても寒くても、研究室は何時も気持ちいい温度です。お茶でもコーヒーでもお好きに、世界各地からのお土産のお菓子もいろいろあります。食べたり飲んだり、友達と気軽に話そう( ̄▽ ̄)。 ずっと私を支えてくれる研究室。今年も一緒に過ごそう。 〔文責:修士課程院生1年L〕  

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木村英樹先生「中国語文法研究」

2014年度は、まず夏学期には中国の著名な文法研究者である沈家煊の論文『“有界”与“无界”』(有界と非有界)を読みました。一文一文、例文も含めて丁寧に読んで、意味を確認していきながら、内容について討論をしました。また、文法の専門用語などが出てきたら、先生や学生が詳しく解説をして、中国語文法を研究する上で知っておくべき諸概念についての理解を深めました。 冬学期には、主に文法専門の大学院生や、中国語文法で卒業論文を書く学生が、それぞれの研究課題について発表をして、皆で討論をしました。学生の研究分野は、現代中国語文法、方言、日中言語対照、古典文法など様々で、幅広い分野に触れることができました。以下は、受講者数名の授業の感想です。 ●基礎から専門知識まで、先生や学生からの丁寧な説明と的確な指摘が大変勉強になりました。(学部生I) ●中国語文法にとどまらず言語そのものについて考えるきっかけづくりができました。高校で習うような学校文法とは違って、ことばのかたちと意味の不思議を考えさせられる楽しい授業でした。(学部生M) ●木村先生や他の受講者の鋭い指摘から、毎回新たな気付きを得られる刺激的な授業です。(院生M) 〔文責:H〕  

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大木康先生「中国随筆を読む」

2014年度の授業では、清初の文人・褚人穫の随筆(筆記)である『堅瓠集(けんこしゅう)』を読んでいます。一口に随筆と言っても、古代中国の随筆はその内容が雑多なのが特徴。詩文にまつわる故事から妖精のような仙女の物語、実用的な書簡の形式の解説から、さらには恐妻家が存在する理由についての科学的な(??)分析まで何でもござれなのです。 実はこれらの文章には「元ネタ」(出典)があり、それを褚人穫が引き写したり編集したりしたものが多くあります(完全オリジナルもありますが)。そしてこれは、実は古代中国随筆、いや中国の文章そのものに多く見られる特徴です。つまり、文章を正確に翻訳するのはもちろんのこと、出典を調べてつきあわせ、編者が言いたいことは何かを探るというのは、古代中国の文章を読む上での大事な「お作法」なのであり、それを学べるのがこの「中国随筆を読む」という授業なのです。 前期では先生がご指定になった文章を輪読し、後期では各学生が興味を持った文章を演習形式で読む、という形をとっています。『堅瓠集』は全部で15集にものぼる大ボリューム。あなた好みのお話もきっと見つかりますよ。 〔文責:S〕  

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M氏(執筆時学部三年生)の場合

~学生たちの研究室利用法・体験談~ アテナイの学堂は大廈高楼(たいかこうろう) であることを須(もち)いない。賢人が集まればそこは自ずから学堂である。輪奐(りんかん)(*)の美ありと雖も桀紂(**)を住まわせれば獣苑の檻に等しい。故に場所を場所たらしめるのは、人間に他ならない。 研究室を予備校の自習室と同じように考えるのは惜しいことではなかろうか。自習室と為さんよりは寧ろ茶楼と為すに如くはない。研究分野や国籍の違う者どうしで語らえば、彼我の得る所は真に大である。そこでわたくしは自ら茶果を持ち来たっては閑を偸(ぬす)んでくつろいでいるのである。或はたわいもない世間話をして、舌の筋肉が衰えるのを防ぎ、或は辞典類に頭を埋めて時を移す。わたくしの過ごし方はかくの如きものである。そして新たにここを訪れる人が如何なる飾りを加えてくれるのか楽しみにしている。編集者注 *建築が壮麗なこと。 **桀(けつ)・紂(ちゅう)。それぞれ中国古代の王朝である夏・殷の最後の王で、残虐無道のため王朝の滅亡を招いたと伝えられる。 〔文責:学部学生3年M〕 2015年1月  

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卒業生の就職状況

・ 就職者本人の掲載許可を得たもののみを掲載しています。 ・ 非常勤教員は掲載していません。大学院生の教員・研究者としての就職については、学位取得ないし単位取得退学後、最初の常勤の職務を掲載しているため、学位取得ないし単位取得退学直後の就職とは限りません。 ・ 時期により調査方法が異なるため、統計の公開方法が一致しておりません。ご容赦ください。 ◆2010~2014年度◆ ☆教職・研究者(大学院生) 徳島大学総合科学部 准教授 1名 立命館アジア太平洋大学 准教授 1名 横浜国立大学教育人間科学部 講師 1名 文藻大学(台湾)日文系 助理教授 1名 中央研究院(台湾)中国文哲研究所 ポストドクター研究員 1名 明星大学人文学部 准教授 1名 日本学術振興会特別研究員 ポストドクター研究員 1名 ☆教職・研究者(学部卒業生) ☆一般企業(大学院生) ☆一般企業(学部卒業生) 日本放送協会 アナウンサー 1名 ☆官公庁 ☆その他(学部卒業生) 九州大学 教授秘書 1名 寺院 僧侶 1名 … 続きを読む

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就職座談会(2004)

◇中文就職座談会◇ (2004.6.16) 参加者:藤井省三  教授    坂田愛美  学部4年・教育機関事務職に就職内定済み    福田素子  修士課程・留学経験&就職経験あり(1999-2002)司会 :高芝麻子  博士課程 高芝:では、座談会を始めたいと思います。今回は中文と就職についてお話をします。中文というのは就職活動をしながら、中国文学という深い文化に触れることができる学科なんだということを駒場生の皆さんにお伝えできればと思います。  藤井先生の方に過去の就職者のデータがありますね。過去、何人くらい就職なさった方がいらっしゃるんでしょうか? 藤井:いま私が中文でいちばん勤務年数が長いんですが、1988年に着任して、それから16年が過ぎました。その1988年以降に就職した人は、じかに接していますから、そこで区切ってお話しますと、1988年から2003年まで80人、学部・大学院からの卒業生が出ています。学部からは約7割が大学院に進学していますね。(「中文就職状況データ」を参照)  3割は学部を卒業して就職した人たちで、それぞれメーカーやマスコミに行っています。福田さんもそうですが、メーカーに行くと中文出身者ということで、やはり中国関係に関わっていくという人が多いようですね。大学院を出て就職する人も2割ほどは一般企業へ行っています。  中文は大学院進学者が7割という学科ですが、実社会に出て活躍するOB・OGとの関係も大切にしていまして、5年前に立ち上げた同窓会では2年に一度の総会を開いており、毎回、お二人のOB・OGにお話をしていただいています。一人は退官された大先生に学問的なお話をしていただき、もう一人は実社会に出て活躍している人に話をしていただくと。5年前の1回目は共同通信記者の方。2回目が福田さん。そして昨年の3回目がテレビ朝日のニュースステーション、現報道ステーションのプロデューサーのMさんですね。社会で活躍している人たちに中国とどう関わりを持っているか、あるいは中国をどう見ているかということをお話ししていただいています。同窓会報に寄稿していただくこともありますね。  OB・OGの中には就職してから転職している人もいますね。例えばパソコン関係の会社に勤めて5、6年で独立して自分で会社を作ってしまった人もいます。中文のビル・ゲイツですね(笑)。  それから太郎次郎社に就職したN君も、現在はフリーの編集者として活躍しており、最近では上野千鶴子さんの著書『サヨナラ、学校化社会』(太郎次郎社)を企画編集しています。 ***   *** 高芝:先生からご覧になって、学部から就職する人にとっては授業がハードでしょうか? 藤井:文学部には大量に読んで大量に書くという伝統があります。特に学期末はレポートが重なるので、私自身もたいへんだった記憶がありますね。3年生でたくさん単位を取って、4年生で就職活動や卒論に力を入れるという傾向があったので、昔は3年が辛くて4年はそうでもありませんでした。いまは就職活動も3年に移ってますね。ですから坂田さんのように4年進学時には就職が決まっているひとも珍しくないわけです。  それにしても、中文に進学してまもなく、就職組は就職活動に入ってしまうので、昔より状況的には厳しいかもしれないですね。 高芝:ここで坂田さんに伺ってみたいんですが、中文に入ってから就職活動はどういう流れで行ってましたか? 坂田:まず11月の初めくらいに東大生協が主催している企業の合同説明会というのがあって、それに参加したのが始まりです。その後は1月2月くらいまで、企業の説明会に行くというよりは、企業のホームページを見てエントリーをしていったという時期ですね。本格的に個別の企業の説明会に行ったり、試験を受けたりするようになったのが1月末です。私の場合は2月の半ばくらいから面接が始まりました。説明会、筆記試験、面接という流れをいろんな会社に行ってやってまして、最終的に希望のところから内定を出しますって言われたのが3月の初めくらいです。正式に内定通知が出たのが3月の末で、そこで私の就職活動は終わりました。 高芝:中文の研究室だと就職活動の経験者や身近に就職活動をする人が少ないので、情報が集めにくいというのがあると思うんですけど、インターネットなどでフォローができるんですか? 坂田:そうですね。就職活動をしている駒場時代の友人とも連絡を取って情報交換をしていました。就職活動のノウハウは本を読んだり、就職ジャーナルを読んだりと、インターネットや本で補いました。 藤井:こういう本を読みなさいっていうのは、就職ガイダンスで推薦図書を教えられたりするんですか? 坂田:文学部の就職ガイダンスというのはあって、私はそれに参加したんですが、各専修課程の先輩が体験談を語ってくださいました。それぞれ違う業界に就職された方が話をしてくださったので、参考にしました。推薦図書というのは特になくて、本屋の就職コーナーに行くといろんな本が置いてあるので、自分の気に入ったものを買うという感じでした。 ***   *** 藤井:3年のときの授業との兼ね合いはどうでしたか?ゼミを減らしたとか、あるいは出ていてもたいへんだと思ったとかはありますか? 坂田:私の場合は授業との兼ね合いがたいへんだと思ったことはあまりないです。就職活動を本格的に始めたのが1月末なので、授業も終わりに近いですから。レポートがあったとしても、その時期はまだ朝から晩まで就職活動をしているという時期でもないので、時間的にそんなに厳しいということはなかったです。  私が1月に就職活動を始めたのは早い方だと思うんですけど、人によっては学校の試験やレポートが終わってから始める人も多いですし、人それぞれで変わってくると思います。4年生になってから始める人もいますし。 高芝:法学部や経済学部の試験は文学部よりも遅くて、2月から3月の初めにかけて多くやっていますね。 坂田:文学部の場合は試験よりもレポートが多くて、空いた時間にレポートを書けるので、そういう点では法学部よりも文学部の方がいいですね。 ***   *** 高芝:面接でアピールするときに中文であることで良かったこと、悪かったことっていうのはありますか? 坂田:面接が進んでくると、それぞれの専門に話が及ぶこともあります。私の場合は履歴書に中国文学と書いてあると、すごく珍しがられて「中国文学なんてやってるんだ?じゃあ中国語しゃべれるの?」なんて聞かれたりして(笑)。でも特に中文だから何かっていう感じはなかったかな。 高芝:メリットもないけれどもデメリットもないという感じ? 坂田:そうですね。あと企業のエントリーシートには研究テーマや卒論のテーマを書く欄があるんですよ。私はそこに「白蛇伝」をやってみたいとか書くと、ときどき面接官の方の中にも白蛇伝とか中国のことを知っている人がいて、趣味の話に花が咲くというようなこともありました。 高芝:坂田さんは駒場の頃から就職を考えていらしたんですよね?進振りのときに中文をいちばんに書かれたんですか? 坂田:はい。そうですね。 高芝:就職するつもりで中文というのはどういうところに引かれたんですか? 坂田:私は中文と就職というのは特に結び付けては考えていませんでした。就職するために大学に来ているわけではないので。私は駒場の2年生のときに進振りでどこに行こうかなと考えたときに、やっぱり中国関係のことを勉強してみたかったので、いろいろなことを考えて中文に来ました。中文は社会に出てから役に立つようなことでもないと考えたこともあったんですけど、でも大学でしか勉強できないことを勉強したらいいんじゃないかとすごく思って。就職に有利な学部に進学する、という考えは私には無く、たとえ将来のためではなくても自分の勉強したいことを勉強して、自分の中で何かの糧になればいいな、と思いました。 藤井:いま坂田さんが言った、大学の勉強っていうのは就職のためにするものではないだろうと、そういう真っ当なことをちゃんと言ってくれる人がいるのは私にとっても嬉しいことですね。ただ、逆に言えば、いま中国や東アジアの日本に対するプレゼンスというのは非常に大きくなっていて、貿易量でも東アジア全体がアメリカ、カナダを合わせた北米を越えてしまっているわけです。そういう意味では、どんなところに行っても否が応でも中国や中国語圏と向き合うというのはありえますね。例えば坂田さんのように教育関係の学校法人に行っても、中国語圏の留学生や研究者を迎え入れたり、逆に日本から送り出したりと、中文だったらこういうことをやって下さいと言われることもあるでしょうし、坂田さんが思っている以上に中文卒というのが役に立つんじゃないかと思いますよ。  昔は中文でやったことが役に立つというのは、テレビや新聞などマスコミが主だったわけですが、いまは一般企業にも活躍の場が広がっていますね。例えばトヨタ自動車の中国進出要員の候補になっているOBもいますから。  福田さんはどうでしたか?中国要員として入ったのですか、それとも入ってからたまたま中国方面の仕事に就いたのでしょうか? 福田:私が入った会社は中国貿易専門の会社です。 高芝:そうすると留学していたことが面接のときにすごく評価されたりしたわけですか? 福田:「評価はしないけどね」って言いながら、いろいろ聞き返されたりはしましたね。中国語ができる連中は総動員されていくっていう感じにはなりますから。 高芝:福田さんの就職活動について伺ってもよろしいですか? 福田:すごく変則的でお役に立てるか、わからないんですけれでも。私はまず中文に学士入学して、上海に1年間留学して、4年生の秋に帰ってきて就職活動を始めました。  私の就職活動は二本立てで、まず安田講堂の中にある学生部の求人案内で情報を集めました。あとは上海に行く前から産業翻訳の学校に夜間通ってまして、そこの求人も見ました。最終的には、学生部に求人を出していた会社に決めたんですけれども。そこはもう電話して会社行って一回の面接で決まりました。 高芝:福田さんの就職活動というのは、その頃ではレアな形だったわけですか。 福田:やっぱり4年の5月くらいがピークだった時代ですからね。 ***   *** 高芝:坂田さんは資格試験のための勉強もなさっていたんですよね。そのお話も伺っていいですか? 坂田:私はまず学部を卒業したら社会に出るっていうことは決めていました。2年生の時点では、公務員になりたいと思っていました。公務員になるにはいろいろな勉強をしなければならず、そのためにはノウハウのしっかりした専門学校に行ったほうがいいと思ったので、3年生の4月から1年間ダブルスクールをしていました。私はもともと、人の役に立つ仕事がしたいと思い、行政に関われば広く人の役に立つことが出来ると思ったので公務員を目指していました。ですが、つきつめて考えてみた結果、もっと狭い範囲で人の応援をしたいと思うようになりました。もともと教育には興味を持っていたので、それなら学ぶ人の役に立つような仕事をしようと思い、教育産業への就職を考えました。ほぼ1年間公務員試験の勉強をしていたのですが、そこで気持ちを切り替えて就職活動をしました。 高芝:ダブルスクールをやめたのは就職活動を始めてからということですか? 坂田:そうですね。だいたい1月末くらいまでは本気で勉強してたんですけど。 高芝:ダブルスクールはやっぱり夜だと思うんですけど、昼間は中文の授業に出て、このふたつを両立させるというのはけっこうハードだったのではないですか? 坂田:結構大変でした。でも、なんとか折り合いをつけて、中文の勉強も公務員の勉強も頑張りました。 … 続きを読む

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大西克也教授

1.専門について 古代中国語文法及び中国古文字学を研究しています。特に上古中国語といわれる秦漢以前の言語と文字に興味があり、『左伝』や『史記』など伝世文献の他に、近年あちらこちらで出てくる竹簡、帛書、青銅器銘文など、同時代の資料を使って研究を行っています。2000年以上前の資料から見えてくる中国語の姿は大変新鮮で、言語の個性と普遍性とをまざまざと認識させてくれます。中国語は歴史的資料を豊富に持つ世界でも稀な言語です。古代中国語の研究を通じて、歴史言語学に少しでも貢献しうる成果を得ることができればと思っています。 2.今はまっていること 学生時代にオーケストラで弾いていたビオラをまた始めました。幼稚園の保護者サークルでカルテットをやりたいという話が持ち上がったのですが、ビオラ奏者が見つかりません。それを知った家内があろうことか私の過去を暴露したのが発端です。20年近いブランクは如何ともしがたく、ピアノならぬビオラ殺人事件の被害者とならないためにも、練習には消音器が欠かせません。それでもたまに近所の公民館に集まって仲間と合奏するのは、ずっと忘れていた何かが思いがけず舞い戻ってきたようで、とても楽しいひと時です。 3.メッセージ 漢文(古代中国語)というのは、文脈によって如何ようにも読めるというお考えの方が多いのではないでしょうか。それが漢文は難しいとか、漢文には文法がないという見方を生み、漢文を遠ざける一つの原因になっているような気がします。私はかつて駒場の学生であった頃、漢文の授業をいくつか履修しました。その時感じた疑問は、漢文の読解が古くからの注釈や読書経験に依存しており、なぜ他の外国語のような文法規則に基づく厳密な解釈が示されないのかということでした。解釈の依拠を客観的に示すことができないことへの苛立ちと不信が私を文法研究の道へ駆り立てたと言えるでしょう。昔の人は漢文をよく読めたと言われます。それはある意味では確かなのですが、しかし漢文(古代中国語)を貫く太い規則の束は、必ずしも明確に認識されてはいなかったのです。それを解明し、読書に応用することによって、詩であれ、伝記であれ、思想的著作であれ、私たちはより高いレベルの読解を目指すことができるのです。さまざまな制約により、古代中国語の文法体系は、これまで十分には研究されてきませんでした。現代中国語文法研究の飛躍的発展と、電子テキストの充実を契機として、古代中国語文法研究は新たな局面を迎えています。これまでさんざん読まれてきた古代のテキストは、決して堆高く積まれた反故なのではなく、実は宝の山なのです。 文学部の全学向け講義『原典を読む』では、10年近く毎年司馬遷『史記』を読んできました。古代の言葉の面白さを少しでも伝えられる講義を心がけています。気軽に参加していただけると幸いです。

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木村英樹教授

本郷キャンパスの「中文研究室」は、「中国語中国文学研究室」の略称です。つまり、私たちの研究室は、「文学」だけではなくて「語学」を研究する場でもあるのです。ですが、私が学生をやっている大昔から、比較的最近まで、わが研究室では、「中国語学」を研究対象として専攻する学生は圧倒的に少数派でした。ところが近年徐々に変化の兆しが現れ、最近では、語学を専攻する学生、それも古漢語を専攻する学生が増えてきており、古漢語専攻の大西先生と私が加われば、ソフトボール・チームを編成することも可能です(実戦するかしないかは別の話ですが)。駒場キャンパスでは、中国語の履修者がフランス語やドイツ語を凌ぐ勢いで急増していると聞きます。当然、その数に比例して「チャイ語大好き!」という学生の数も増えれば、なかには、「文法のはなしが三度の担々麺より好き!」とか、「甲骨文字の難解さにコウコツとさせられる」というような奇特な学生さんもいるに違いありません。身に覚えのある駒場生のみなさんは、明日にでも私の研究室のドアを叩いてみてください。

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藤井省三教授

専門分野: 私の研究教育のテーマは20世紀中国語圏の文学と映画です。具体的に言いますと、 (1)魯迅・胡適から莫言・鄭義・高行健に到る20世紀の中国文学、 (2)佐藤春夫から李昂に到る台湾文学および也斯や李碧華の香港文学、 (3)この百年における日本と中国語圏文化人の交流(この数年は「中国語圏における村上春樹の受容」と「東アジアの魯迅「阿Q」像の系譜」がテーマです) そして(4)中国・香港・台湾・シンガポールの映画批評ということになるでしょう。 最近の著書には新しい魯迅像を描き出した『魯迅――東アジアを生きる文学』(岩波新書)、村上春樹の中国への関心と中国・香港・台湾の村上受容を分析した『村上春樹のなかの中国』(朝日選書)、現代文学史としては『中国語圏文学史』(東京大学出版会)、そして映画批評の『中国映画 百年を描く、百年を読む』(岩波書店)などがあります。それぞれ中国語訳や韓国語訳されて、東アジアでも広く読まれています(但し『中国映画』は中国側が版権取得済みの段階)。 コメント: 中国の悠久なる歴史と広大なる大地は、多様性と重層性に富む文化を育ててきました。中文研究室にも日本の学生さん・院生さんのほかに、中国・香港・台湾・韓国そしてシンガポールや欧米の留学生・研究者が集まっています。こんな賑やかな中文が大好きです。

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