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研究目的





研究班1「イスラームの思想と政治」
(研究拠点:東京大学大学院人文社会系研究科)

 イスラーム世界は、キリスト教世界と並んで一つの独立の文明体を形成してきた。近代に至って西洋への従属を強いられてきたが、やがて政治的に独立し、今日に至っている。その間、何度かの戦争があり、地域紛争があり、緊張や危機があり、それが世界の動向と大きく関わってきた。その間様々な形の近代化(西洋化)が試みられてきた。

 このようなイスラーム世界の動きの中で、この20年間にはっきりしてきたことは、イスラーム世界が明確に自己を主張してきたことである。それは、イスラームの伝統的価値の再主張と「西洋的近代」への挑戦という形で現われ、様々な摩擦や対立・緊張を生んでいる。このような動向に対して、われわれはどのように対応すべきであろうか。ここに、改めてイスラーム思想研究の重要性がある。

 以上の問題関心から、研究班1は「イスラームの思想と政治」を共通のテーマとして、三つのグループを設ける。

A=「現代イスラーム思想」(代表 小杉 泰)
B=「国際関係の中のイスラーム」(代表 五十嵐 武士)
C=「イスラームの法と国家」(代表 鈴木 董)

 まず、aグループ「現代イスラーム思想」では、イスラーム思想全体を視野におきつつ、特に19世紀以降、際立った展開を見せるイスラームの政治、社会思想を動態の中で明らかにする。cグループ「イスラームの法と国家」では、イスラームにおいて政治単位(国家)とそれらの間のルール(法)がどのようにとらえられていたか、を歴史的に明らかにする。

 このようなイスラームの国際関係のあり方が非イスラーム世界での国際関係と比較していかに特殊であるのか、また逆にイスラームの国際関係は、国際関係である以上、どのような意味で他の地域のそれと共通性をもちうるのかを吟味するのが、bグループの「国際関係の中のイスラーム」である。

 また、97年度はムハンマド・シュクリー・サーレフ(マレーシア、マレーシア科学大学)氏を招聘し、イスラーム政治経済学に関する共同研究を行う。

          (文責 中村廣治郎)





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