ヤコヴ・ラブキン教授 『トーラーの名において』邦訳刊行記念シンポジウム

シンポジウムへのコメント

シンポジウム大成功に終わりました。ご来場いただいた皆様ありがとうございます

 

シンポジウム『ホロコーストとイスラエルを考える』は無事に終了いたしました。
開場は超満員、テレビや新聞雑誌、インターネットでも大きく取り上げられ、
ラブキン教授の来日イベントは大成功に終えることができました。

今回のラブキン教授来日諸講演の感想を、
元NHK解説委員の平山健太郎氏と京都大学大学院の役重善洋氏にお願いいたしました。

ラブキン教授関連コメント:平山健太郎(元NHK解説委員)

イスラエルと共存しうるパレスチナ国家の樹立、つまり「二つの国家」構想をどう考えるか・・とラブキン教授に懇親会で質問してみた。シオニズムに否定的な教授の答えは予想通り。イスラエル政府、とりわけネタニヤフ現政権が占領地を手放す意図がない以上、パレスチナ人の国をどこに作ろうというのか??人種差別のない一つの国を目標にする方が現実的だ・・と答えたあと、少し笑いながら「イブラヒミーア」(アブラハムの国)とその国名を口にした。ユダヤ、キリスト、イスラム三つの一神教が共有する先達に因んだ名前だけに理想的な解決案にも見えるが、イスラエル側が、一般市民を含め、賛成する可能性はゼロに近い。パレスチナ側もこの「一つの国家」論は「二つの国家」の実現に向けた圧力材料に使っている。オバマ米政権や国連安保理のより積極的な介入でまず「二国共存」を実現し同時にイスラエル国内でのアラブ系市民に対する差別を撤廃する二本柱で究極の「一つの国」を目指すべきではないか・・と私は考えるのだが。学問的な業績と並んでラブキン教授の見聞の広さや、(失礼ながら)ジャーナリスト適性に驚かされることが多かった。イラク戦争前沖縄の米海兵隊基地にイスラエル軍の専門家がやってきて対テロ戦争の特訓をしたとポツリ一言。毎週担当しているカナダのラジオ局のため東京からキルギスタン情勢(!)の分析リポートを電話で送ったという。

ヤコヴ・ラブキン教授講演会(4月12日於東大)の感想:役重善洋 (京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程)

ラブキン氏の話は多岐に渡ったが、印象に残ったのは、最近のイスラエル/パレスチナをめぐる政治情勢について、概して「楽観的」な評価が目立ったことだ。つまり、イスラエル国家の正当性legitimacyが、現在、確実に揺らぎつつあるという指摘である。それは、世俗的・宗教的の違いや居住地を問わず、ユダヤ人のなかにおいても、さまざまなかたちで表面化しているし、非ユダヤ人においても、たとえば、BDSキャンペーンといったかたちで明確に現れているという。ラブキン氏が特に興味深いとしたのは、ユダヤ人のなかからの反シオニズムの声の多くが、「Not In My Name」という団体名があるように、ユダヤ(教)の名の下でイスラエル国家が犯罪行為を犯すことについて、抗議するというかたちをとっているということである。こうしたシオニズムへの抗議は、もともと正統派ユダヤ教徒のなかで伝統的だったものであるが、同じような主張が、世俗的ユダヤ人の運動にも見られるという点に、歴史的な必然性をラブキン氏は見ているようであった。イスラエル国家はユダヤ人/ユダヤ教徒を代表し得ないという氏の主張に多くの人々が耳を傾けつつあるということ自体が、シオニズムの評価をめぐる不可逆的な転換が起こりつつあることの証左でもあるように思う。



4月18日(日)記念シンポジウム(終了)

シンポジウム『ホロコーストとイスラエルを考える』開催!

 
来る2010年4月18日(日)、ヤコヴ・ラブキン教授の最新作の A Threat from Within: a Century of Jewish Opposition to Zionism (英語版のタイトル、2006年カナダ総督賞を受賞) の邦訳、

『トーラーの名において −シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史−』

が刊行されましたことを記念し、明治大学にてシンポジウムを開催いたします。
詳細は左の「記念シンポジウム」の欄からご覧ください。

主催:『ホロコーストとイスラエルを考える』シンポジウム実行委員会 ・ 明治大学軍縮平和研究所
協力:ケベック州政府在日事務所 ・ 平凡社

シンポジウム日時など


日時:4月18日(日) 午後1時半〜5時半
場所:明治大学(駿河台 キャンパス)リバティホール(リバティタワー1階)
入場無料

会場(明治大学駿河台キャンパス)へのアクセス  千代田区神田駿河台1−1
■JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線/御茶ノ水駅下車徒歩3分
■東京メトロ千代田線/新御茶ノ水駅下車徒歩5分
■都営地下鉄三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線/神保町駅下車徒歩5分

地図   http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

記念パーティとサイン会


■記念パーティ■
シンポジウム終了後。会費制。
時間:午後6時〜7時半/場所:明治大学 リバティタワー23階の「サロン紫紺」

■著者のサイン会■
シンポジウムの小休憩時と終了後に『トーラーの名において』を特別価格で販売します。
また、著者のサイン会を同時に行います。