ユダヤ・イスラーム宗教共同体の起源と特性に関する文明史的研究

本科研の目的

  3つの唯一神教は、国家と宗教の関係に着目すると、国家と教会の二元的支配構造を持つキリスト教と、啓示法に基づく政教一致の支配構造を持つユダヤ・イスラームに分類できる。この両方のタイプともにその起源は初期ローマ帝国時代の古代ユダヤ社会にあり、前者は異邦人キリスト教がローマ帝国の国教となる過程で明確になるのに対して、ラビ・ユダヤ教は西暦3世紀初頭にハラハー(ユダヤ啓示法)の宗教として再生したことに始まる。

  ローマ帝国統治下で両共同体が成立したことに鑑みて、両共同体理論の思想的根拠を明らかにするとともに、ローマの諸民族支配の根拠となるポリス・キウィタス論との関係性を考察し、さらにラビ・ユダヤ教の共同体理論と庇護民を許容するイスラームのウンマ理論の成立との因果関係を明らかにすることによって、異なる国家・宗教関係を生起させた一神教の共同体論の歴史動態的発展の起源と特性を思想的、歴史的、考古学的に論証する。

     

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