「開発と社会運動」第1回研究会報告書

宮治一雄(恵泉女学園大学)

「イスラーム地域研究」第2班Aグループの研究計画の一環として、97年度から「開発と社会運動--マグレブ諸国」文献目録・解題作成のための準備を進めてきた。8月29日に98年度第1回の研究会を開き、年間の研究計画について以下のことを定めた。

[文献作成作業]

  • 概要
    1. マグレブ諸国の「国家と社会」、「開発」、「社会運動」等をめぐる文献(著書・文・資料等)目録・解題を作成する。
    2. 「開発」のなかでも、2班Aグループでは社会開発を重点的に取り上げることになっているが、経済開発との関連に加えて、独立以来進められてきた国家主導のNation Buildingのあり方を含めて考える。
    3. 「社会運動」とは、ふつう労働運動、学生運動、イスラム運動、女性運動、人権運動などを意味するが、社会の動きを示すものとして都市暴動、青少年非行などにも注意を向ける。また、一般に社会問題と表現される都市問題、失業問題、労働移動、などにも注意を向ける。
    4. 時期的には現代とくに独立以降を中心にしながら、運動と問題の歴史的背景を明らかにするために、研究者の関心と必要によって時代を遡る。
  • 分担
    1. 執筆分担は次のとおりとする。
      マグリブ全般:宮治一雄(恵泉女学園大学)
      アルジェリア:渡辺司(東京農工大学)・大月美恵子(中東経済研究所)
      モロッコ:El-Mustapha Rezrazi(東北大学・学振研究員)・中川恵(東大大学院)
      チュニジア:岩崎えり奈(一橋大大学院)・小野仁美(研究者)
    2. そのほか第2班の研究分担者・協力者を中心にひろくマグレブに関心をもつ研究者に研究会への参加とともに、文献目録作成と解題原稿作成への協力を呼びかける。
[予定]
  • 99年度予算で成果を刊行できるよう、98年度中に原稿を完成する。1月の研究会までに原稿を揃え、3月までに宮治が原稿の調整にあたる。
  • 関連文献の収集・整理、目録と解題の入力作業のためにアルバイト予算の計上を要請する。
[研究会開催]
  • 主題に関する発表と意見交換、作業の進捗状況の確認のために研究会を開く。
  • 日程と報告予定者は下記のとおり。
    1. 8月29日:打ち合わせ(宮治一雄)
    2. 10月24日:アルジェリア(渡辺司・大月美恵子)
    3. 11月28日:マグレブ全般(宮治一雄)
    4. 12月21日:モロッコ(El Mustafa Rezrazi・中川恵)
    5. 1月29日:チュニジア(岩崎えり奈・小野仁美)
  • 場所は、いずれもイスラーム地域研究事務局(東大文学部アネックス)会議室、時間は午後1時〜3時30分、1月のみ午後4時から。
[ワークショップ開催]
  • 1月〜2月にマグレブから研究者を招聘してワークショップを開催する。
  • 当初予定していたアイーシャ・ベルアラビーさん(モロッコ)は、大臣に就任したので別の候補者を検討する。
  • 8月の段階ではこれだけで終わったが、その後、2班の全体集会(1月30日)に合わせて「民主化と社会運動」ワークショップを開催することになった。
    招聘予定者はAbdelkader Zghal氏(チュニジアCERES・社会学者)。