第6回スーフィズム研究動向研究会
report

 表記の研究会が、98年10月25日(日)午後1時〜6時、東京・四谷の上智大学におい て行われた。
 マルティン・ファン・ブライネッセン教授の来日を前に、そのタリーカ研究の概要 を知る目的で開催したものである。周知の通り、教授の専門領域は、クルドとインド ネシアに分かれるので、次のように両地域の専門家による発表が組まれた。

1 「マルティン・ファン・ブライネッセンによるインドネシアのタレカット(タリーカ)研究」
 小林寧子(愛知学泉大学)
2 「ファン・ブライネッセン氏によるクルドのスーフィズム研究について」
 山口昭彦(東京大学)

   ファン・ブライネッセン教授と個人的な知己でもあり、今回の招聘責任者でもある 小林氏による発表1は、同教授のプロフィールおよび研究の紹介に始まり、「革新」 と「ネットワーク」をキーワードとして、タレカット研究を論評された。
 クルドの専門家である山口氏による発表2は、教授の博士論文をもとにした、Agha , Shaikh and State: The Social and Political Structures of Kurdistan, Zed Books, 1992 のなかの第4章をくわしく論じたもの。その内容を紹介するとともに、 歴史的実証性の弱さや、オスマン朝の事例への偏りなどの問題点を指摘された。
 この研究会をふまえたうえで、10月30日には同教授を講師に迎えた研究会「クルド とスーフィズム」を、イラン概念研究会(2c)及び聖者信仰研究会(5a)と共催した。
この研究会については、別に報告がなされているので、そちらを参照されたい。
(報告者:東長靖 2c)