主要な研究領域は、ハウジング、コミュニティ、社会調査史である。

 ここでのハウジングは、住まわせる者と住まわされる者のあいだの関係を指している。ハウジングを考えることは、住居の形成と運営、居住の自由と権利、資源の配分と管理を考えることであり、家族研究や福祉研究とのかかわりが深い。また、文化研究の観点からは、ハウジングが住宅と特異な形で結びついたのが20世紀の特徴であったとみることができる。モビリティや仮想現実などのテクノロジーの進展が、住むという経験をどのように変えるのかは、興味深いテーマである。

 コミュニティは、社会学の中心的な概念の一つであり、論争の的になってきた。他方で、日常会話にもしばしば登場し、望ましい社会のあり方にかかわる規範的な意味を帯びた言葉である。そこで、地域生活をはじめとするコミュニティの経験的な研究に加えて、コミュニティの語られ方とその変容にも関心を向けている。 社会調査史は、理論史としての社会学史とは異なった形で、社会認識の基盤を明らかにする。各国で経験的な社会調査の方法が形成された20世紀の半ば、ハウジングとコミュニティがどのように対象化されていたのかを調べている。ゆくゆくは、戦争と社会調査というテーマで、社会調査のグローバルヒストリーに展開したいと考えている

祐成 保志(すけなり やすし)准教授