専門領域は、社会学理論及び社会学史。とくにT. W. アドルノ、M. ホルクハイマー、E.フロム、H. マルクーゼ、J. ハーバーマス、A. ホネットらフランクフルト学派の批判理論を導入、応用し、批判的社会理論の構築をめざしている。

 社会学理論の目的は、個別的な個人の経験や個々の社会現象が「全体社会」やその変化とどのように結び付いているか、また自己と他者とのコミュニケーション、個人をこえる集団組織がどのような仕組みで動いているかを明らかにすることにある。こうした観点から、個人が抱く「リアリティ」と「社会的現実」が生成するメカニズム、人間と非人間的な存在(動物や人工知能)とのコミュニケーション、集団生活の中で生じる人間固有の「やさしさと羞恥」の感情に関する研究に取り組んでいる。

 さらに、社会学史の観点から批判理論の影響下に成立した日本の批判的社会学の遺産を継承し、英語による海外発信に取り組んでいる。

 社会学を学びたい高校生・大学生に向けて『大学4年間の社会学が10時間で学べる』(単著・角川文庫)、『21世紀を生きるための社会学の教科書』(共訳・ちくま学芸文庫)『〈私〉をひらく社会学―若者のための社会学入門』(共著・大月書店)などがある。

出口 剛司(でぐち たけし)教授