14 インド語インド文学
1.研究室活動の概要
インド亜大陸では3千年来数多くの言語が用いられ、それらの言語によって伝えられた文献も多様を極めている。そのうち、本専修課程(略称「印文」)では、明治34(1901)年に「梵文学講座」が開設されて以来(梵語学の開講は、明治18(1885)年に遡る)、古典サンスクリット語を中軸とする古期・中期インド・アーリア語をもって著された文献の研究がなされてきた。サンスクリット語はインドの雅語として古典時代の宗教、文学、哲学、科学などあらゆる分野の文献に用いられたものであり、古典インド文化の精華はサンスクリット語によって伝えられたといっても過言ではない。本専修課程でサンスクリット語の学習を必須とするのもこのためである。他方、平成8年(1996)度より、ドラヴィダ系のタミル語タミル文学の講座も設けられ、これにより、専門的なドラヴィタ系語学文学の研究に携ることが可能となった。タミル語も紀元前に遡る文献をそなえ、その文学は長い歴史と豊かな内容を誇るものである。
本専修課程は、これらの言語をはじめとするインド諸語の充分な知識とインド古典籍の精密な読解の基礎に立って、広くアジア諸地域に伝播してゆくインド古典文化を考究することを目標としている。したがって、専修課程名の一部ともなるインド文学とは、詩歌・戯曲・説話など狭義の文学作品だけでなく、ヴェーダ聖典、マヌ法典・実利論などの学術論書、仏教・ジャイナ教・ヒンドゥー教などの宗教文献なども含むものである。
なお、本専修課程と密接な関係にあるインド哲学仏教学専修課程とは、学部レベルでは別々の専修課程をなすが、大学院レベルではインド文学・インド哲学・仏教学専門分野として単一のコースを形成し、さまざまな行事を共同で行っている。
2.構成員・専門分野
(1)専任教員
教授:土田龍太郎(サンスクリット文学)
高橋孝信(タミル語学文学)
非常勤:矢島道彦、茂木秀淳、矢野道雄
(2) 助手
柴崎 麻穂(しばさき まほ)
在職期間 2003年4月~2007年3月
研究領域 インド説話文学・サンスクリット文学
主要業績
「Brhatkatha起源譚と七人のヴィディヤーダラ転輪王」『南アジア研究』10号、pp.74-91, 1998.
"Somendra's work on the Avadānakalpalatā", Toho 21 (in press).
(3) 外国人教師:(なし)
(4) 内地研究員・外国人研究員:朴紋成(韓国、2007年~)
3.卒業論文等題目
卒業論文
(なし。「特別演習」を履修)
修士論文題目
2006年度
植木夕紀子「Harivamsaの形成過程とyuga説」
<指導教員>土田龍太郎
吉次通泰「『チャラカ・サンヒター』に関する研究―感覚機能篇(インドリヤスターナ)を中心にした古代インドの終末期医療―」
<指導教員>永ノ尾信悟
2007年度
石原美里「Vasu Uparicara説話とIndramahotsava」
<指導教員>土田龍太郎
博士論文
なし。
前章へ戻る / 『年報9』Indexページへ戻る / 次章へ進む