2001. 5. 16
わが談話室より転載します。1) 神話・宗教画より、世俗の場面を描いた絵、そしてバロックの
奇想画のほうがおもしろい。とくにイギリスから grand tour で訪れた
ジェントルマンどら息子たちが、観光記念写真のように持ち帰った
カナレット。彼の青い空と大運河およびアドリア海の水面があまりに
すばらしく、∴渾名 Canaletto.ロンドンの顧客たちがついに彼をイギリスに招待してテムズ川や
田園を描かせていますが、しかし、もっとずっとおもしろいのは、今回
出展されていないが、ロンドン・シティの街並みはそのままに道路を
すべて水で浸して、ゴンドラを浮かべた絵。要するに、カナレットが
世界資本主義の新しい中心ロンドンを、地中海資本主義の中心
ヴェネツィア風に表象した capriccio.
どうせ18世紀ヴェネツィア、 その奇想と銘打って企画するなら、
それくらいのおもしろさを演出してほしい、西洋美術史の先生方よ!そのカナレットの絵いくつかは、こちら↓
www.l.u-tokyo.ac.jp/~kondo/PictureGallery.html2) そのカナレットの使用したというカメラ・オブスクラも展示されて
います。川島さんの訳した『カメラ・オブスクラ年代記』(朝日選書)
を想いつつ観察しましたが、光線のぐあいで、磨りガラスに全然
イメージが浮かばない。6月2日から京都市美術館で開催とのことですが、川島さん、
展示法によろしくご助言を!
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