21世紀COE研究拠点形成プログラム 生命の文化・価値をめぐる「死生学」の構築
HOME活動報告(21世紀COE) > 洋の東西の美術と思想にみられる死後の世界観

洋の東西の美術と思想にみられる死後の世界観

日時2003年3月21日
場所フィレンツェ ウフィッツィ美術館
発表者エンリコ・カステルヌオーヴォ(ピサ高等師範学校教授)
浦一章(東京大学助教授)
長島弘明(東京大学教授)
木下直之(東京大学助教授)*
カテリーナ・リメンターニ・ヴィルディス(パドヴァ大学教授)
小佐野重利(東京大学教授)*
マリア・グラツィア・チャルディ・デュプレ・ダル・ポジェット(フィレンツェ大学教授)
*事業推進担当者
poster

・資料      ・記事 (2003年5月7日・読売夕刊)

2003年3月21日に、フィレンツェの世界的に有名なウフィッツィ美術館内にあるマリアベキアーノ大広間において、21世紀COEプログラム「生命の文化と価値をめぐる『死生学』の構築」が主催する最初の国際研究学会が開催された。

会場は、縦が優に30メートルはある図書館で、17世紀トスカナ大公国時代の貴重な写本・版本文庫(現在はそのほとんどがフィレンツェ国立図書館所蔵)のアントニオ・マリアベキの名前に由来する、近年修復されたばかりの壮麗な大広間である。両脇一面に書架がたち並び、本学会のために四つの大窓を黒布で覆い、特別な設営がなされ、まさに人文学の学術交流学会にふさわしい雰囲気の中で、同COEプログラム研究拠点リーダーの島薗進教授による開会の辞とともに始まった。

フィレンツェ国立美術館連合監督局アントニオ・パオルッチ総監(元文化環境省大臣)の特段の計らいで同会場を提供していただいた。それは、”東京大学と学術交流協定を結んでいるイタリアのフィレンツェ大学、パドヴァ大学、および最高学府のピサ高等師範学校の協力を得て、それら機関より各一名の研究発表者が、東京大学人文社会系研究科四教官とともに、テーマ「洋の東西の美術と思想にみられる死後の世界観」に関連する研究発表をおこないディスカッションする”という学会の趣旨が、日伊学術交流の振興に努められている同氏の意思にかなったからである。パオルッチ総監は、島薗教授の開会の辞に次ぐ歓迎のご挨拶の中でそのことを述べられた。

午前中の第一セッションは、小佐野重利教授の司会でまずピサ高等師範学校エンリコ・カステルヌオーヴォ教授によるピサのカンポサントに描かれた死と救済をテーマとする14世紀壁画群に関する発表、本研究科浦一章助教授のイタリア人参加者も絶賛する流暢なイタリア語による発表、長島弘明教授の日本語による発表(その通訳は同行された早稲田大学イタリア語非常勤講師の鈴木マリア・アルフォンサ先生によった)がおこなわれ、そして同三名の発表に対する質疑応答をもって予定時間に終了。

午後のセッションは、本プログラム関係者およびイタリア側発表者・司会者、招待研究者との昼餐会をはさみ、15時よりピサ高等師範学校校長サルヴァトーレ・セッティス教授の司会の下に再開された。木下直之助教授、パドヴァ大学カテリーナ・リメンターニ教授、小佐野重利教授、そしてフィレンツェ大学マリア・チャルディ・デュプレ・ダル・ポッジェット教授による死と救済の美術に関するイタリア語発表に続いて、それら四発表に対する質疑応答に移った。そして、会場前面に設置された長卓に司会者とともに就いた発表者たちの間でばかりでなく、会場から日伊双方の研究者が加わり、中身のある質疑および議論が交わされた。最後に閉会の挨拶の中で、セッティス教授がこの種の東西文化の比較研究の展望についていくつかの貴重な提言をされ、参加者一同深い感銘をうけた。

参加者は日本側から、現地に留学中もしくはこの学会参加を兼ね短期滞在中の学生・院生・研究者を含め30名余、イタリア人研究者・学生60数名、ゲルハルト・ヴォルフ教授(フィレンツェにあるドイツ外務省所轄のドイツ美術史研究所所長内定者)のほか、パオルッチ総監、セッティス校長、イタリア人発表者および来賓者など、延べ約100名であった。

シンポジウムの様子 シンポジウムの様子 シンポジウムの様子

HOME活動報告(21世紀COE) > 洋の東西の美術と思想にみられる死後の世界観