【日時】 |
2010年7月29日(木)17:00〜19:00 |
【場所】 |
本郷キャンパス法文1号館113教室 |
【講演者】 |
ヒレル・レヴィン教授 (ボストン大学、宗教学科) |
【入場】 |
無料 |
【主催】 |
東京大学グローバルCOEプログラム「死生学の展開と組織化」 東京大学文学部宗教学宗教史学研究室 |
【言語】 |
英語 |
【ボストン大学 ヒレル・レヴィン教授講演会の案内】
ボストン大学で宗教学と社会学を講ずるヒレル・レヴィン教授は、欧州の近代化に遭遇したユダヤ教の歴史社会学的研究の専門家であり、現代の人権問題, 宗教・民族紛争の解決に深くコミットしている学者であり、その活動は3点にまとめられる。
1.レヴィン教授の学術研究の本領は、ユダヤ学と社会学の総合的研究である。その出発点は、18、19世紀ポーランドの近代化によってユダヤ人がこうむった差別と迫害であり、当時のポーランドに出現したユダヤ教のメシア運動フランク派の分析、ポーランドのユダヤ人問題を歴史的に克明に記述した『反ユダヤ主義の経済的起源』、そして、中世ユダヤ教最大の哲学者・律法学者マイモニデスの学問論・科学論『マイモニデスと諸科学』などがユダヤ学の分野の主要著作である。
2.レヴィン教授は、近世ポーランドのユダヤ研究を起点にしつつ、その一貫した問題関心である近代化に伴う社会変動と宗教の変容、現代における国際紛争と人権問題の実践的解決を学術的に発展させ、ワシントンのホロコースト博物館の企画、ボストンのユダヤ移民の変容と共同体の解体を捉えた『あるユダヤ人共同体の死』、リトアニア滞在で触発された『スギハラを探し求めて』(邦訳あり)によって、共感的理解に基づく個人研究、精神分析的手法などを総合的に駆使したノンフィクションに挑戦する。
3.2001年には、世界の紛争と暴力に対する解決と和解のためのNGO(International Center for Conciliation、Brookline, MA, USA)を組織して、所長として精力的に活動する。特に、レヴィン教授は、同じボストン大学で教鞭を取る作家で世界の人権抑圧に対する解決と和解の活動を精力的に展開するエリー・ヴィーゼル氏に深く傾倒し思想と活動を共有する人物であり、宗教的、民族的、社会経済的要因による諸紛争の解決のためのワークショップの企画、諸政府や関連団体への諮問を行ってきた。これまでのワークショップ・講演・諮問の諸活動の実績は、米国、ノルウェー、オランダ、イタリア、ドイツ、モロッコ、インド、カンボジア、韓国、日本に及ぶ。
(文責 市川裕)
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